雪女・中
長編より一話の文字数が多い短編とはいかに。。。(汗)
一寸先も見えない暗き闇の中、ふと雪ん子が覚め立ち上がりあたりを見渡しても何も見えない。
不意にさっきあった事を思い出し頭に手をやると簪がなくなっていた。
「あっ・・・・夢じゃない」
ほっと胸を撫で下ろすと神さまの声が空から聞こえた。
何やら今まで聞いてきた中で一番の怒鳴り声があたりに反響した。
「ゆぅぅぅぅきいいいぃぃんんんんこおぉぉ!!一体何したんだ」
「うるさいよ神さま」
耳をふさぎ自分よりはるかに大きい神さまを見上げると、苛立ちと心配さが入り混じった表情で
小さな雪ん子を見下ろしていた。
「なぜに人間を助けた。」
聞かれても何でかはよく分かりません。
でも好きになってしまったのはわかってました。
「あのひとを 好きになったから」
雪ん子の言葉に神さまは駄目だと怒ります、けれども雪ん子も諦めません。
どうして駄目か、その理由はと必死に喰らいつきます
神さまも雪ん子が産まれてから初めてこんなにも喰い下がるのを聞いて大層驚くと同時に
悲しそうな顔で言いました。
「雪ん子よ・・・・お前は雪でできた我の眷属であり山の子だ」
「うん」
静かにぽつりぽつりと神さまは語ります。
「お前は我の可愛い子、愛おしい子、哀しい思いはさせたくはない
それに、お前とあの人間では生きる時間も心も色んなものが違う」
黙って雪ん子は神さまの話に耳を傾けます。
自分を想ってくれる神さま。
優しくも厳しい神さま。
「人の心は変わりやすい、お前を捨てるかも裏切るかもしれない酷いウソもつく」
産まれた時初めて見たのは神さまだった。
嬉しそうな顔をして私を見ていた。
雪ん子の呼び名もくれた。
「雪ん子は後悔はしないか?」
今、そんな神さまは酷く寂しそうな顔をしている
そんな顔をさせたのは自分だ。
大好きな神さまに言わせたのも自分だ。
「・・・・・・は・・・い・・。」
流れそうな涙を必死に堪えて声をだす。
悲しさで気持ちが折れそうになる
胸が苦しいでもこの想いは譲れない、諦めたくもないだから・・。
「後悔はしません、だから私を人間にしてください・・・・お父様」
お父様と呼ばれた神さまは驚くと笑み崩れました。
初めて父と呼ばれた嬉しさとで笑い泣きの後になぜか爆笑状態で転げまわってた
しばらくすると笑いも収まり涙を拭きながら起き上がり真剣な顔をします。
「さて、これが最後の質問だ 雪ん子人間になりたいか」
「うん」
「・・・人となるならば我ともう二度と逢えなくなるがそれでもか?」
父からの一言に衝撃が走る
お兄さんに逢いたいが大好きな父にもう会えなくなる
嫌だともう一度聞き返した。
「お父様、本当に会えないの!もう会えないの」
「我の姿も声もお前には届かなくなる」
酷く厳しいその言葉が余計に雪ん子を悩ませた、
どっちかしか選べない。
悩んで悩んでものすごく悩み結論をだした。
「決まったか」
「お父様・・・・・私は・・」
真剣な眼差しで互いに見つめあい雪ん子の口が開いた
「どっちも選ぶ!」
一瞬の互いの沈黙ののち呆れた用に神さまのため息がでた。
まったくの予想の斜めをいく娘の答えに呆れた。
「どっちかにしろ、ってかしなさい」
「いやだ!どっちも」
雪ん子のかんしゃくで山で雪崩が起きる神さまは焦る。
止めても今度は雪崩が、今度は地滑りが。
無限ループに神さまにふつふつと怒りが湧いてくる。
「いい加減にしなさい!!」
「いーーーーやーーーーー」
あまりに我が侭に言うので今度は尻たたきが始まった。
一様、雪ん子は神の子なので御仕置き尻たたき×10000回が15セットで行われている。
「ちょ!痛い痛い痛い」
「我も痛いんだから我慢しなさい!」
一日かけで尻たたきを終えると本題に戻した。
後悔しないように選びなさいと言うことをキチンと話して決めた。
「雪ん子、答えは決まったかい?」
「うん・・・お父様、私・・・・・・・人間になるよ」
雪ん子からその言葉をきくと神さまは山の雪をひと掴み握りとると雪ん子に吹きかけました。
すると雪が身体に馴染んで雪ん子は大きく美しく成長していきます。
しばらくすると雪ん子は16歳くらいの女の子へとかわります。
「・・・・えっ・・これが私?」
殆ど一瞬のできごとに信じられないと思いながらも体を見る限り本当に大きくなりました
神さまを見上げてお礼をいいます。
「ありがという」
「いいからいきなさい、あとお前の名を言ってなかったな」
雪ん子の名前を考えてくれたらしい神さまに感謝しつつ名前を聞いた。
「雪花≪せっか≫だ」
雪ん子。雪花が自分の名前を聞くとついにヒビが入っていた氷の心は砕け優しい心が中から
現れました。
そのことに神さまは大層喜び、そして雪花の背を押し麓の村へ行かせました。
いきなりのことで雪花は驚くがでもそれよりもお兄さんに早く会いたい気持ちが強く
服の袖を靡かせて走って山を下るっていた。
走り急ぐ雪花のもとへまだ冬眠してるはずの動物たちが起きて別れを告げに来た。
そのことを凄く嬉しくも思うが本当にこれが最後だと解らせられたそんな気がした。
「雪ん子さん、いなくなっちゃうの?」
「さみしいよ もう遊べないの」
あんなに意地悪も酷いことをしたのい皆口々に行かないでほしいと言ってくれる
なぜか涙がぽろぽろと頬をつたい泣き崩れます。
動物たちは泣きだす事に驚きあたふたと雪花の周りをグルグル廻ります。
「どこか痛いの?」
「私は大丈夫よ・・・・ありがとう」
涙を袖で拭き雪花は皆に手を振り麓へと走ります。
棘がささっても、転んでも直ぐに起き上がり必死に走ります。
しばらくして人里にたどりつきました。
そのことに喜びましたが雪花は男の家を知らないことに気がつきます。
「どうしよう・・・」
ここまで来たのにと目から涙がこぼれ落ちそうになります。
雪花が困っていると何処からか小豆色服の小さな女の子が一人近づいてきます。
「お姉さんどうしたの?おなか痛いの?」
「あのね・・・会いたい人の場所がわからないの・・」
困り果てた雪花はついに泣き崩れてしまいます。
ぽろぽろと泣きだす雪花をみた女の子は話をだまってききます。
「好きになって・・・約束をしたの・・・貴方に会いに行くって」
「お姉さん大丈夫・・・・?」
一時間たっても雪花は泣きやまず女の子はふと問いかけました。
「お姉さん・・・何か目印とかその人の特徴は?」
女の子に聞かれ呟くような声で出会った出来事と髪飾りの事を女の子に言うと
途端に目を見開き雪花の袖を弾けたようにつかみ立ち上がらせました。
「?何」
「あずさ知ってる!着いてきて!」
そう言うと女の子は袖をつかんだまま走りだした。
「えっ・・・ちょ!?」
転びそうになりながらも二人で走りだします。
1/12日少し改変しました