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「――その時に一応、約束したんだけどねぇー。昇任しちゃったら辞めようがないもんねー」
プゥっと頬を膨らませ、膝に乗せているトレートルの頭を優しく撫でながら顔を覗き込んだ。ふと微笑み、時計を見上げる。
「そっか、もう夜も遅いからスリープモードに入っちゃったかな。ちゃんと充電しないとね」
いつから眠っていたのだろう、トレートルを抱えあげてフェネアンのベッドに寝かせると、グランは再び、『自室』へ入った。
久しぶりに、フェネアンと知り合った頃のことを思い出せて、楽しかった。
本当はもっと、彼と今までどんな話をしたのか、どんな風に付き合ってきて、今に至っているのか。もっと話したいことはあった。
だけどそれはおいおい、肴にでもして出していけばいいだろう。
「おやすみ、トレ君」
静かに呟くと。ベッドに潜り、目を閉じるのだった。
「なんだ、グランは帰ったのか。もう少し待っててくれりゃあ会えたものを」
翌日の昼頃に、ようやくフェネアンは戻ってきた。どうやら彼が弄ったバンボルだけではなく研究所の機材やプログラミングについても色々と話があったらしく、今朝早くにようやく出てこられたらしい。
「フェネアンさーん」
「どうした、トレ坊」
「いつか、リベレ研究所に行ってしまうんですか?」
手を伸ばしてくるトレートルを肩に座らせていると、そんなことを聞かれ、フェネアンは苦笑した。体を支えながらもその頭を撫でまわし、煙草を唇に挟む。
「今は行けねぇだろ。てめぇの仕事放棄していくほど、無責任にはなりたくないからな。……ま、いずれ行くことがあれば、その時はお前も来るんだぞ。オレの所持バンボルなんだし」
なんとなく寂しそうな顔をしているトレートルにそう言い。パッと、表情を明るくしながら抱きついて来る彼を支えながら、フェネアンは所長室へ向かうのだった。




