第2章(1)
そしてあくる日の昼休みの教室である。
またもやその日も、弁当を前に食欲が湧かずにいた。
昨日、美咲が学校に行く条件として出した「友達ができれば」というもの。その時はお兄ちゃんに任せろとろくな案もなしに大きく出たのだが――策が未だに思いつかない。
第一、美咲はなぜ学校に行かずにひきこもっているのかも解っていない。しかし、その妹が友達ができたらと言っているということは、学校に友達と呼べる存在がおらず、来づらい、ということが原因ということなのであろう。
はてさて、どうしたものか。
「おい、また考え事か? 今日も箸が全く進んでないな。また、妹のことか?」
「ああ。そうなんだ。実はな――」
こうしていつも何げに俺の相談を聞いてくれる塩田。本当にいい奴だ。本当に、誰か彼女になってあげてください!
俺は塩田に昨日起こった出来事を事細かに説明した。
すると、塩田はしばらく考えるようにして沈黙したあと、何かを思いついたようににこやかに話し始めた。
「つまり、お前がしたいことってのはお前の妹に友達をつくらせてあげて、学校に行かせてやりたいってことだな?」
「ああ、まあそうだが」
「それならぴったりのところがある。実はな、俺の知り合いの妹も不登校になっててさ。そこのところの娘もそこに行ってるっていう集まりがあるんだ」
「へえ……。どんなものだ?」
「なんだか聞いた話によると、あまり普通に学校に行きにくい生徒でもそこなら同じような思いの生徒ばっかだし、気を楽にしていけるんだと」
「へえ、そんなところがあるのか……」
「場所は確か――職員室の隣の部屋、確か相談室って書いてある部屋だったかな。ま、一度行ってみるといいよ」
「おう、情報ありがとな。恩に着るぜ」
「成功を祈っている。グッドラック」