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第1章(5)
俺は家に帰るなり、妹の部屋の前に座り土下座した。
「すみませんでした!」
俺は何度も詫びた。許してもらえなくてもいい。でも、きちんと詫びだけはしたかった。それが男ってもんよ。
すると、ギィーとゆっくりと扉が開き中から妹、津路美咲が口をアヒルのように尖らせながら、
「本当に、本当に反省してるのね?」
「ああ、神様、仏様、妹様に誓います」
「……そう。んじゃ、許してあげるわ」
あっさりと。あっさりと、許してもらえた。
よっしゃあ! やっぱりきちんと謝るっていいことだな。ありがとう、塩田。お前の言う通りだった。
と、俺が喜びに自惚れているのも束の間。
「ちょっと、部屋に入って。話があるの……」
「ええっ! もう許してもらえたんじゃねえのか?」
「それとこれとは別の話よ。フィギュアを壊したのは許すといったけど、不法侵入は許してないんだもん」
「って、まだ怒ってんじゃん。あ、ちょい待ち。今のセリフ可愛かったからもう一度!」
「名誉毀損……」
「ご、ごめんなさい! これ以上罪を増やさないで」