第1章(4)
朝の出来事から一転して時は、昼休み。場所はHR教室。
あれから急ぎ足で学校へと向かい、なんとか学校へと到着した。
しかし、学校に着いたからといって今朝の出来事が収まったわけではない。事態をどう収集するか。そればかりが頭に浮かび、午前の授業など全く頭に入らなかった。
そして今も、母親特製の手作り弁当を前に全く食欲が沸かずにいた。
「おい津路、なあ。聞いてんのか?」
「おっと悪い。聞いてなかったわ」
「なんかお前、顔色悪いぞ。何かあったのか?」
こうして俺の心配をしてくれているのは、中学からの親友である塩田春樹だ。とても優しくていい奴なんだが、変態なので彼女は当然いない。いや、いい奴なんだぜ? ただ、中学時代に彼女作りに奔走してこともあろうか大失敗。そこでついた名が変態ってだけだ。なんともかわいそうな奴である。
俺は今朝あったことを塩田に話してやった。
「へぇ、そんなことがあったのか・・・・・・。お前も大変だな。でも、これはお前が悪いな。いくら悪気がなかったとしてもきちんと詫びて許してもらうべきだな」
「うむ。やはり、それしかないか……」
確かに、塩田の言う通り悪いのは俺だ。謝らなければならない。しかし、その謝るにもどう謝っていいものかが解らないのだ。なにせ、一年以上も口を聞いていなかったわけだし、何とも気まずいっていうか。
すると、塩田は俺の心を見透かしたかのごとく、
「そりゃ、気まずいだろうよ。でもな、人間やらなきゃいけない時ってもんがあるんだよ。それが、お前の場合今なんだ。ここで逃げたら、せっかくの妹との復縁のチャンスが台無しだぜ? 勇気を出して行ってきな」
「ああ、そうだな。やらないで後悔するより、やって後悔したほうがいいんだもんな」
「おうよ」
しっかし、つくづく思うが塩田は何か度胸があって親父って感じなんだよな。
ようし、決めた。家に帰ったら妹に謝る、と。
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