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Bad Guys  作者: ブッチ
Kinky Love
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Fresh Start

「……ップ! ねぇ、起き…ったら、ヴィシ……!」


 暗闇の中に、あどけなさの残る声が響き渡る。ヴィショップが閉じていた瞼を開き、意識を覚醒させたのはその声の主が、現在自分が居候させてもらっている人物の声であることに気付いたからだった。


「やっと起きたのね。もう朝食が出来てるわ。さっ、食べに行きましょう」


 目を空けたヴィショップの視界に飛び込んできたのは、無邪気な笑みを浮かべた少女の顔だった。ヴィショップがゆっくりと身体を起こすと、少女…フレス・バレンシアはヴィショップの顔を覗きこんでいた顔を退けてベッドから飛び降りる。


「ほら、速く速く」

「急かすなよ。つーか、着替えるし先に行ってて構わないぜ」


 部屋の出口の近くに立ってフレスはヴィショップを急かす。ヴィショップは欠伸と共に伸びを一つすると、彼女の返事を返しつつ周囲を見渡す。最後にこの屋敷に止まった時に宛がわれたのと同じこの部屋には、ヴィショップの入っているベッドの他にも三つのベッドがあったが、そのどれもが空だった。

 ヴィショップが『スチェイシカ』を離れ、『グランロッソ』に帰ってから十日程が経っていた。『グランロッソ』に帰ってきたヴィショップは、『パラヒリア』でレズノフとミヒャエルを拾って『クルーガ』まで帰ってくるとかつての依頼主であったバレンシア家を訪れ、屋敷にしばらくの間住まわせてくれるように持ち掛けた。というのも、こうして『クルーガ』まで帰ってきたのはヴィショップ達が所属しているギルド『蒼い月』での活動を再開する為であり、そうした場合ギルドのある『クルーガ』に拠点を置いた方が色々と都合が良かったからだ。かつての借りを踏まえてもそうなる可能性は低かったが断られた場合は、『蒼い月』傘下の『水面の月』を拠点としても良かったのだが、結局その懸念は杞憂に終わり、こうしてヴィショップ達四人はバレンシア家の屋敷に厄介になっているのだった。


「そう言って、前は煙草を吹かしたまま昼まで下りてこなかったじゃない」

「そんなことあったか?」

「あったわよ。この屋敷に戻ってきて、一日二日の間はそんな感じだったわ」


 口を尖らせてフレスが答える。さっそく煙草に手を伸ばしかけていたヴィショップは苦笑を浮かべてその手を引っ込めると、ベッドから降りる。


「分かったよ。じゃあ、俺のストリップが見たいならそこに居るといい」

「み、見たくないわよ、そんなもの!」

「なら分かるだろ? 回れ右だ」


 ヴィショップの軽口にも一々顔を赤くするフレス。ヴィショップが苦笑を浮かべたまま部屋から出ていくように促すと、彼女は渋々といった様子で部屋から出て行った。


「……十日、か」


 フレスが部屋を出たのを確認したヴィショップは、着替えに手を伸ばしながら小さく呟く。

 あの革命から十四日が経とうとしていた。この十四日の間に様々なことがあった。共に戦った女性の墓を作ったこと。ジードとの密談での持ち掛けた協力についての結果を聞きに『クルーガ』の王族区へと向かったこと。そしてヴィショップ達の要求が条件付きで受け要られたこと。ギルドに復帰するや否や『パラヒリア』での功績を称えられてレズノフとミヒャエルのギルドランクがB2へと上げられたこと。そしてその対価と、今までギルドをほったらかしにしていたことの報いだとばかりに様々な仕事を押し付けられたこと。


(だが、依然としてあの仮面野郎の情報は無い……)


 しかし、ヴィショップ達の目下の目標となっているマジシャンを名乗る人物に関しては、全く進展が無かった。


(まぁ、相手は一国の中枢に潜り込むような手合いだ。十日やそこらじゃ何も分からないのはおかしくはないか。この国に来てるとも限らないしな)


 着替えを終えたヴィショップは心中でそう呟くと、扉を開いて部屋の外に出る。

 革命の後にマジシャンについて分かった情報といえば、『スチェイシカ』の国王だったガロス・オブリージュに重宝されてトランシバ城で生活していたことぐらいで、後は不確定ながらも『コルーチェ』がドーマ・ルィーズカァントが繋がるように誘導していた可能性がある、といった程度で、マジシャンの居場所や素性に関しては全くの分からずじまいのままであった。


「ん、来たわね」


 部屋の外で待っていたフレスはヴィショップが部屋から出てきたのを確認すると壁から背を離す。


「あぁ」

「じゃあ行きましょ。あんまり遅いと朝食を下げられちゃうか、レムに怒られちゃうわ」

「俺の場合、そのダブルコンボが来そうだ」


 フレスはそう言って歩き出し、ヴィショップが相槌を打ちつつその後に続く。二人は他愛の無い会話を交わしながら、いくつもの窓から朝の日差しが差し込む廊下を通って一階に降り、食堂へと向かった。


「おっ、遅かったじゃねェかよ、ジイサン。もうこっちは食い終わっちまうぜェ?」


 食堂に入って真っ先に声を掛けてきたのはレズノフだった。その言葉通り彼の眼の前にある皿は殆ど空になっていたが、それでも彼が明らかに二人前の食事を平らげていることは容易に判別出来た。


「つーかよ、朝っぱら女引きつれてご登場とは、見せつけてくれんじゃねェの。あれか? 起きるのが遅いのは昨晩楽しみ過ぎたからかァ?」

「なっ!?」


 デリカシーを母親の子宮の中に置き忘れてきたのではないかと思うようなレズノフの冗談に、律儀にフレスが顔を赤く染める。


「朝っぱらから下らねぇ冗談言ってんじゃねぇよ。飯が不味くなる」

「奇遇ですね。私も同じ意見です。ここにご主人様達が居なくて本当に良かったですわ」


 呆れ顔を浮かべてヴィショップが席に着く。するとデザートの乗った皿が並べられた台を押すメイド服の女性…レム・フレイアがレズノフの前にデザートを置きながらヴィショップの言葉に賛同した。


「そういえば姿が見えませんね、フレスさんの両親。どこかに出かけてるんですか?」

「お二人は用事がありまして王城へと参られております」


 料理をつついていたミヒャエルがレムに問いかけ、空いた皿を下げつつレムが答える。


「そうなんですか。朝っぱらから大変ですねぇ」

「……異なる神とはいえ、とても神に仕える者の口から出る言葉とは思えんな」


 呑気そうなミヒャエルを半目で見ながらヤハドが呆れたような声を出す。


「いやぁ、自分で言うのも何ですが、もうとっくに僕は神様からも見放されてると思いますし…。それに、元々成り行きで神父になったようなものですし」

「そうなのか?」

「えぇ。神父っていうのは、色々と“便利”ですし」

「分かった。後は今この場が食事の場だということを理解して、正しい判断の許に口を閉じてろ」

「嫌ですよぉ、いくら僕だって…」

「こいつでてめぇの“キャロット”を突き刺されたくなかったら、言う通りにするんだ、今すぐにな」


 これ以上ミヒャエルに喋らせておくと、食事が不味くなるどころの騒ぎでは済まなくなることを悟ったヴィショップは人参を指したフォークでミヒャエルを指差して黙るように釘を刺す。ミヒャエルは苦笑を浮かべてヴィショップの懸念を否定しようとするが、全て言い切る前に脅し文句を叩きつけられて素直に口を閉ざした。


「成る程。貴方とレズノフさんは気が合いそうですね」

「言葉の綾だよ。少しは目こぼししてくれ」


 それを横で見ていたレムが冷ややかな視線を向ける。ヴィショップは微笑を浮かべて返事を返すと、フォークに突き刺していた人参を口の中へと放り込んだ。


「そういえばロシア人。貴様、何を読んでいるんだ?」


 そんな中、不意にヤハドがレズノフが何かに目を通していることに気付いて声を掛ける。ちなみにロシア人という呼び名は、ヤハドが名前でレズノフをロシア出身だと判断した結果である。もっとも、本人は「そっちの血は流れてるけどなァ」とだけ言って否定も肯定もしなかったが。


「手紙だよ、手紙。ほら、例の黒坊主からの」


 レズノフはそう言って呼んでいた手紙を軽く振ってみせる。

 彼の言う黒坊主とは、『パラヒリア』でレズノフとミヒャエルと共に事件の解決の為に動き、その過程でヤハドとも一戦を交え、その後ヴィショップ達が帰国の報告をするまで一緒に行動していたジェードのことである。現在彼は、先に妹の死体と共に故郷へと帰った仲間の後を追っているらしかった。


「……あの子供か。手紙には何と?」


 レズノフが読んでいる手紙がジェードからのものだと知ったヤハドの顔に影が差す。もっとも、それは彼の性格を考えれば何らおかしなことではなかった。何故ならジェードとその仲間達がわざわざ『パラヒリア』までやってきた理由である彼の妹を死に追いやったのは、ヴィショップとヤハドと言っても過言ではなかったのだから。


「無事に合流出来たってよ。あの変態の件で貰った報酬のおかげで、案外早く着いたとさァ。他には、またいつか会おうとか、そんなことだな。寒気が走る話だが、まるで長距離恋愛だぜ。ヒャハハハハハハッ!」


 耳に響く笑い声を上げてレズノフは手紙をテーブルの上に置くと、レムが置いていったデザートにかぶりつく。


「…まぁ、ジェードさんにもそんな気はさらさら無いでしょうけど、だからって流石にその対応は同情しますね」

「どういう意味だ?」


 面白そうに笑い声を上げるレズノフを見てミヒャエルが呆れた様子で呟く。その言葉の意味をヤハドが訊ねると、ミヒャエルは皿に盛られたスクランブルエッグを口に放り込み、呑み込んでから答えた。


「いやぁ、ドーマさんが何者かに殺されちゃって、処刑だけは見てから出発しようとしていた他の三人が帰っちゃった後、僕とレズノフさんとジェードさんで一緒にギルドの依頼やら何やらやってたんですけど、かなりジェードさんがレズノフさんに懐いてましてね? 下手したら殺されかねないってのに、何度もレズノフさんと手合せまでしてるしまつで…いやぁ、あの食う、飲む、ヤる、殺すしか頭に無いような人のどこを気に入ったんでしょうかね?」

「……貴様、形だけでも聖職者だったのなら、少しは言葉を選んだらどうなんだ?」


 ジェードと共に行動していた時のことを思い浮かべて、ミヒャエルは不思議そうな表情を浮かべる。その言い振りをヤハドは呆れ混じりの表情で聞いていた。


「ところでヴィショップさん。本日はどのようなご予定で?」


 朝食を食べながらヴィショップがそんなやり取りをぼーっと眺めていると、レムが声を掛けてくる。

 この一日の予定の確認は、バレンシア家に居候を初めてからは定番のものとなっていた。何でもレム曰く、必要の無い食事を作って捨てるのが勿体無くて嫌だとのことだった。フレスの両親が無事に回復した現在でも未だにバレンシア家の財政事情は好調とは言えず、使用人もレム一人のままである。その為そのような考えをレムが抱くことに何ら問題はないのだが、それでもその理由を聞いた時、ヴィショップは思わず心中で「貧乏臭い貴族様だ」と呟いて微笑を浮かべていたが、流石にそれを口に出すことはなく、今でもこうして一日の予定の確認は続いている。


「取り敢えず飯食ったらギルドに顔出すことにしてる。何か依頼があるにしろ無いにしろ、今日動くことはないから夕食は用意しといてくれ」

「かしこまりました」


 レムは返事をすると、空の皿を乗せた台を押して厨房へと下がる。ヴィショップがカップに注がれた紅茶を啜りながら彼女の背中を目で追っていると、ヤハドと話していた筈のミヒャエルが面倒臭さを隠そうともしない声音で話しかけてきた。


「えぇ~! 今日も行くんですか、ギルド!? 昨日仕事を終わらせてきたばかりじゃないですかぁ~。そんなに阿呆みたいに働くこともありませんし、今日は休みましょうよ~」

「そうだな。じゃあ、昨日馬鹿みてぇに騒ぎながら遠くで俺達が戦ってるのを見てるという大活躍をしてくれたミヒャエル君にギルドへの顔出しという大役を任せて、今日は休むとするか」


 そんなミヒャエルに対して、ヴィショップは視線を合わせずに返事を返した。


「……でも、実際働き過ぎじゃない? 何か、ここに帰ってきてから殆ど毎日ギルドの仕事してるし」

「そぉぉぉぉですよねぇぇぇぇ! ほぅら、ヴィショップさん! フレスさんもこう言ってることだし、今日はゆっくり休息を取ることにしましょう! 今日は安息日ですよ!」


 そこにフレスがミヒャエルの言葉を肯定するような言葉を投げ入れる。案の定、水を得た魚の如く上機嫌でミヒャエルが騒ぎ出し、ヴィショップはおろかその起爆剤となったフレスまでもがミヒャエルにうっとおしそうな表情を向ける。

 だが、実際にフレスの言葉は正しかった。事実ヴィショップ達は『クルーガ』に戻ってきてバレンシア家に居候を初めてから、毎日のようにギルドに向かっては仕事をこなしている。だが、それは決してヴィショップ達が労働の喜びに目覚めたなどという訳ではない。

 そのような状況になっている理由の一つは、ギルド内でのヴィショップ立ち位置にに起因している。先のバウンモルコス討伐において『蒼い月』における最高ランクのギルドメンバーであるウォーマッドを失い、それに代わる人員であるアンジェ達もドーマとハインベルツが死亡したことで晴れて騎士団の一員に戻ろうとしている今、『蒼い月』はバウンモルコス討伐と『パラヒリア』での一件の解決で波に乗りに乗っているにも関わらず、主力となるギルドメンバーをヴィショップ達を除いて満足に用意出来ていないという有り様になっていた。その為、必然的にヴィショップ達には優先的に、というよりは半ば強制的に仕事が回されるようになり、ギルドを訪れる度に何かしら仕事を押し付けられるようになっていた。

 ならば『蒼い月』に顔を出さなければいいのではないかという話しだが、そうもいかない。というのも、『グランロッソ』政府がヴィショップ達とコンタクトを取る時の方法が『蒼い月』ある特定の依頼主の名で依頼を発注し、それをヴィショップ達が受注するという形であるからだ。その為、ヴィショップ達は『グランロッソ』政府から何かしらのコンタクトがないか確認する為に頻繁に『蒼い月』を訪れることを余儀なくされ、こうした現状を生み出しているのだった。


「おいおい、“帰ってきてから”とは、随分と情熱的なお言葉じゃねェのォ? あれか? ジイサンをこの家で養わせていただかきます、っていう宣言かァ?」

「ち、違っ、そんなつもりで言ったんじゃないわよ! 私はただ、この家を本当の家だと思って欲しくて…」

「あれ? 無視? 無視ですか、フレスさん? レズノフさんは仕方ないとしても、貴女も無視するんですか?」


 レズノフがフレスの言葉の上げ足を取っ手からかい、フレスが一々赤面する。その横でミヒャエルが慈悲を乞うような視線をフレスに向けていたが、それに付き合う者は誰一人として居なかった。







 結局その後も無駄話が続き、バレンシア家を出て『蒼い月』へと四人が赴いたのは二時間以上が過ぎてのことだった。


「よう、ネェちゃん。今日も来てやったぜ」

「んー? あぁ、レズノフじゃない。何? 今日も依頼受けにきたの? 精が出るわねぇ」


 『蒼い月』に突くや否や、レズノフは奥の半円上のカウンター型の窓口に近づくと肘を突いて、暇そうにパイプを吹かしている女性に話しかける。女性はレズノフの顔を見るとパッと顔を輝かせて、パイプを口から離して会話に応じた。


「まぁなァ。俺ァ、戦場とベッドの上では働き者なんでなァ」

「フフッ。そうよねぇ、ベッドの上でのアンタはとっても働き者だもんねぇ…」


 妖艶な笑みを浮かべ、女性は情愛のたっぷり乗った視線をレズノフへと向ける。そんな二人のやり取りをヤハドは青筋を立てながら眺め、ミヒャエルは勘弁してくれとでも言いたげな表情で見ていた。


「悪いが、五分でケリを付けられる自身が無いなら続きはこっちの用事が終わった後でやってくれ」

「……無粋なヤツ。んで? 用って何? また、何かご指名の依頼が来てないかって質問?」


 そこにヴィショップが割り込んでいく。女性はわざわざレズノフと自分との間に身体を割り込ませてきたヴィショップを冷めた視線で睨みつけると、諦めたような声音で問いかけながらパイプを再び口元へと運んだ。


「分かってんなら、とっとと仕事しろよ。遅れれば遅れた分だけ、こいつとの濡れ場が遠退くぞ」

「分かったわよ。ほら、依頼主はロッソ・マルキュスとかいう奴よ」

(ビンゴだな…)


 依頼主の名前を聞いたヴィショップは心中でそう呟くと、女性の差し出した依頼内容の書かれた紙を受け取り、レズノフを連れて受付を離れてヤハドとミヒャエルの所に戻ろうとする。


「ちょっと! そいつは置いて行ってよ!」


 すると、慌てた様子で女性がヴィショップを引き留める。ヴィショップは何故か得意気な表情のレズノフの顔を一瞥してから女性に振り向くいて返事を返した。


「何も今すぐヤラせるとは言ってねぇだろ? お前がこいつのイチモツを咥え込めるのは、この依頼が終わった後だ。それとも、五分で昇天出来る方に賭けてこの場でやるか?」


 周りの人間にも聞こえるようにヴィショップがそう発すると、周りで酒を飲むなりカードゲームをするなり依頼の打ち合わせをするなりをしていた人間が一斉に視線を受け付けの女性へと向ける。


「…ッ! いいわよ! さっさとどこへなりとでも連れてきなさいよ! てか、あんた等もこっち見んな!」

「あぁ、そうさせてもらうさ」


 室内の人間の下卑た視線を一心に受けた受付の女性は、叩き付けるようにヴィショップにそう告げると、背中を向けてパイプを吹かすことに専念し始める。ヴィショップはそんな彼女の背中に一言投げかけて歩き始めた。


「あ~あァ、彼女拗ねちまった」

「黙ってろ。つうか、いつの間にあのアバズレとヤッたんだ?」


 歩きながら、勿体無さそうな表情を浮かべるレズノフにヴィショップが訊ねる。


「三日ぐらい前だなァ。仕事が終わった後、俺は屋敷に帰らずにここで飲んでただろォ? そん時に意気投合してなァ」

「何が意気投合だ。ただ単に、てめぇがおっ勃ててあの女が股濡らしただけだろうが」

「それを意気投合って言うんだろォ? それより、依頼とやらは何なんだよ? 例の政府からの依頼なんだろ?」


 嘆息を漏らしながらのヴィショップの言葉にレズノフは品の無い笑いで答えると、ヴィショップが受け取った紙に書いてある依頼の内容を尋ねる。ヴィショップは視線をレズノフから文面へと移し、そしてそこに書かれている文章を読み上げた。


「『フレハライヤ』で起こっている子供の失踪事件についての調査を依頼したい。この事件は現地の住民の間では魔女の仕業と噂されており……って」


 そこまで読んでヴィショップは一端言葉を区切り、


「魔女だとォ?」


 残りをレズノフが引き継いだ。

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