第5話 約束の指きり
第5話 約束の指きり
それから三十分後、雨は無事に止んだので、彼女を家の近くまで送る事にした。
「別に頼んでないのに、どうしてついて来るのよ。中学生だから、何の心配もいらないでしょ」
「いや、どう考えても中学生に見えないから心配だしさ」
「あんたは私の親か!それにまだ信じてなかったの?いい加減にしてよ」
「えー」
「えーって言われても…。とにかく、見送りはここまでで良いから、もう帰ってよ!」
どうやら彼女はまた怒ってしまったらしく、僕が何か反論する前に、さっさと先に行ってしまった。
(あーあ、行っちゃった。こっちはからかっただけなのになぁ)
僕はため息をつきながら、来た道を戻り始めた。すると…。
「ねえ、ちょっと待って!」
後ろから誰かが僕を引き止めた。誰かとは勿論・・。
「どうした?やっぱり寂しくなった?」
「違うわよ!」
振り返ると少し先に、春香が何か言いたそうに立っていた。
「あ、あのさ」
「何?」
「また近い内、会いたいんだけど…。駄目かな?」
「え?」
意外な彼女の言葉に僕は驚きはしたが、答えは決まっていた。少し間を開けた後、僕は答えを言った。
「嫌だ!」
「えー、どうして?それは酷いでしょ。」
「冗談だよ、冗談」
さっきは早く帰ってほしいって思っていた自分だけど、話しているうちに大分仲良くなれた気がするし、また会えたらいいなって思ったり。
「じゃあまた近い内この場所で会おうか。春香が泣き叫んでいたこの場所で」
僕は彼女と出会った公園を眺めながら言った。
「変な名前でこの公園を呼ばれたような気がするけど、じゃあ約束。また会おうね」
「うん。約束する」
僕がそう言うと、春香は先程からよりも近くに寄ってきて、小さな小指をさし出してきた。
「じゃあ約束の指きり」
「指きり?やっぱりやる事が小学生だな」
「うるさいわよ!」
こうして僕と春香は、再会の約束をして、指きりを交わし、その日は別れた。
今更だけど桐島春香って、どこかで聞いた事がある名前だけど、偶然かな・・。
第6話へ続く




