第52話
第52話 春香が居なくなった後
あれから一年の年月が経ち、また夏がやって来た。とは言っても、そろぞれ受験の準備に忙しくてしょっちゅう遊んでいるわけではないけど、時々遊んでいたりする。ちなみに僕と由紀は、約束通り付き合っているけど、お互いに忙しくなり二人でデートなんて出来やしなかった、
「暑ーーい。ねえ拓、やっぱり家に居ようよ。」
「由紀の言う通りだぜ。俺家に帰って勉強しなきゃいけねえし。」
「あんたはしてないでしょ!」
「いやいやしてるかな。一日一時間。」
「小学生か!」
でも今日は、みんな特別用事はないので三人である場所へ向かっていた。
「にしても、急に春香の墓参りに行こうなんて言い出すとは、思っていなかったぜ。」
「私も。」
「もうすぐ春香が居なくなってから一年経つから、折角だし墓参りに行こうって思ったんだよ。こんなに暑いのは予想外だったけどね。」
僕達が向かっている場所、それは隣町にあるにある春香の墓場だった。わざわざ彼女の母親に連絡を取り(幼稚園が一緒だったから、当然知っていた)、事情を話すと普通に教えてくれた。優しい人だったな・・。
「こっち寄らないでよ健、暑苦しいから。」
「いやいや、寄ってないからな。」
「まあまあ二人とも、暑いからって喧嘩しないでよ。」
猛暑の中を移動すること一時間、ようやく僕達は目的地に到着したけど・・。
「もう無理・・。」
「水を~。」
健と由紀はダウンしてしまっていた。
・・・・・・
ダウンした二人は放って置いて、僕は一人で春香の墓へと向かった。
「はぁ。」
ついついため息を漏らしてしまう。せっかく来たのに何をやっているんだかあの二人は・・。
「一年か・・。」
ようやく墓の前に立って実感が湧く。もう一年立つのだ、春香がいなくなってから・・。
「春香・・。」
花に水をやったり、墓の掃除をしたあとに、拝む。そんな当たり前の事をするだけでも、春香を思い出してしまう。最後に見せてくれたあの笑顔も、一年経った今でも蘇ってくる。僕は本当に彼女が好きだったんだろう。
『拓。』
「え?」
後ろから春香らしき声が聞こえて、思わず振り返ったがそこに居たのは健と由紀だった。
「何だ健と由紀か・・。」
「何だって失礼ね。」
「俺達で悪かったな。」
「あ、いやごめん。春香の声が聞こえたから思わず。」
「春香の声が?気のせいだろう。」
「そうかな。」
「そうそう。暑いからもう帰ろうよ。」
「え、墓参りは?」
結局二人は、墓参りする事なく来た道を歩き出してしまった。それを慌てて追いかける僕。そして、その後ろから・・。
『ありがとう、みんな。』
春香の声が聞こえたような気がした。
エピローグへ続く
次回、約束の指きり最終回!




