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約束の指きり  作者: りょう
最終章後編(2) 最後は笑顔で
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第51話

第51話 最後は笑顔で


拓の手紙

『春香へ 振り返ると僕達が出会って一ヶ月の間に沢山のことがありました。出会いや四人での旅行、デートもしました。それらは僕の一番の思い出です。

って、何か堅っ苦しい文になっちゃったけど、どれも忘れられない思い出なのは本当だし、春香に出会えてよかったと思う。出会っていなければ、恋だってしなかったし、誰かの為だけに何かをしようともしなかった。だから、春香は僕の人生を大きく変えてくれた。感謝するよ。ありがとう。

だらだら長文になると色々面倒臭いから、最後に一言。

僕の為にこちらに来てくれてありがとう。大好きだよ。』

・・・・・・

これで全員の手紙が読み終わり、残された時間は五分弱。春香と由紀はま泣いていけど・・。

「なあ二人とも、いい加減泣き止んでくれよ。時間がなくなってきちまったよ。」

「・・うん。」

健の言葉で何とか泣き止んでくれた。

「さて・・。どうするか。」

「最後は春香が挨拶して締めようよ。」

「え、私?」

「当たり前だろ。もう残り時間がないんだから、春香が締めてくれ。」

「分かった・・。」

残り時間後四分。

・・・・・・

「いきなり締めを任されて、戸惑っているけど時間がもう無いから、言いたいこと沢山言うね。

健、由紀ちゃん、拓。私と友達になってくれてありがとう。

健はいつも元気で拓と喧嘩してばかりだったけど、私はそういう所が好きだよ。」

「ったく、余計なお世話だっての。」

「由紀ちゃんは明るくて、優しくて、時には厳しくて・・。私の憧れで・・。本当に・・。」

ここまで来て、春香はまた泣き出してしまう。

「ほら春香ちゃん、最後ぐらいしっかりしよう・・。」

「うん・・。」

そう言う由紀も今にも泣き出しそうだった。本当女の子って困るな・・。

「由紀ちゃんに出会えて良かった・・。」

「春香ちゃん・・。」

時間は刻々と迫ってくる。あと二分。春香の体が少しずつ薄れ始めていた。

由紀への言葉が終わり、春香は僕を真っ直ぐ向いてこう言った。

「最後に拓。私はあなたを好きになれて良かった・・。また会えて良かった・・。ずっとずっと、側に居たかったよ・・。一人になるのは寂しいよ・・。でも、きっと信じていれば会えるよね。だから私、信じ続けるね!最後に一言。」

その言葉を聞いた僕は、目頭が熱くなるのを感じた。ダメだ泣いちゃ・・。春香を笑顔で見送らなきゃ・・。

「拓、大好き!」

無理矢理涙を我慢しながらそれを言うと、春香はみんなが見えるような位置に立った。

「これで終わりだね・・。みんな・・。私そろそろ行かなきゃ・・。」

彼女から発せられた声は徐々にか細くなり始める。

「春香!」

「春香ちゃん!」

「私・・何度言うけど、みんなに会えて良かった。だから・・。だから・・。」

もう姿がはっきりしてない。時間がない・・。何かを言わなきゃ・・。

焦る僕を悟った春香は、僕達が何かを言う前に、満面の笑みを浮かべながら、

「拓、健、由紀ちゃん。」

「さよなら・・そして、ありがとう・・。」

そう言って、消えていった・・。

八月三十一日、午後三時。春香は笑顔だけを残して、僕らの目の前から消えていった。

「春香ーー!」

僕は届くはずがない彼女の名前を、泣きながら叫び続けた・・。

第52話へ続く

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