第50話
第50話 それぞれの気持ち
「いや、さっきの電話で急に頼んできたから、さすがにビビったぞ。」
「本当に困ったことしてくれるね拓。」
「ごめんごめん。」
実はさっき電話した時にふと手紙の事を思い出して、急遽二人に頼んだのだが、ちゃんと書いてきてくれたらしく、僕は一安心した。ちなみに僕は少し前に手紙を書いた。
「みんな・・。」
春香は今にも泣き出しそうだが、必死に堪えていた。ずっと一人だった彼女にとって、友達からの手紙は初めてだったのだろう。だからそれが、嬉しくて涙に変わったんだと思う。
「じゃあ時間もまだ少しだけあるし、俺から読むか。」
そう言うと健は手紙を広げて読み始めた。
健の手紙
『春香へ まさかお前に手紙を書くとは思っていなかったから、正直何を書けば良いのか分からない。だから、今俺がお前に一番伝えたい事だけを書くわ。
俺はお前の事が好きだ。
前にも言ったかもしれねえが、俺はお前の事がずっと好きだった。気持ちが届かなくても好きだった。だから、拓に取られちまった時も嫉妬したりしたが、俺の気持ちは絶対に変わらない。もう会えないって考えると寂しいが、俺はお前と出会えて幸せだった。だから、最後に一言だけ言わせてくれ。
今まで俺達と居てくれて本当にありがとな。 健より』
・・・・・
健の手紙が読み終わる頃には既に春香は号泣していた。このまま、由紀と僕の手紙まで保つのか心配になってくる。
「時間もないから、次私が読むね。」
春香は泣きながら小さく頷いた。
由紀の手紙
『春香ちゃんへ こうして春香ちゃんに手紙を出すのは初めてだね。私結構手紙書くの苦手だから一度も出せなかった。まあ、住所すら知らなかったけどね。
私、春香ちゃんに出会えてすごく嬉しかった。いつも身の回りにいる人が野郎ばかりだったから、春香ちゃんが来てくれた事によって、久しぶりに女の子の友達ができたの。それが、すごくすごく嬉しくて・・。だから・・、だから・・。私・・。』
そこで読むのが止まってしまう。由紀も泣き出してしまったからだ。これじゃあ本当にどうにもならない。春香は相変わらず号泣してるし・・。時間もなくなってきてるし・・。僕が一人焦っていると、
「・・まだ手紙読み終わってないけど、読めそうにないから・・、一言だけ・・。
ありがとう。」
手紙がもう読めそうにない状態になった由紀が、涙でぐしゃぐしゃになった手紙を捨てて、自分の言葉でそのままの気持ちを伝えていた。はあ、良かった。あと残すは・・。
「さてと、最後は僕の番だね。」
僕が春香に手紙を読むだけ。
第51話へ続く




