第45話
第45話 プール
行きがけに春香の水着を買い、僕達は家から二十分ほど歩いた所にある市民プールへとやって来た。
「それじゃあ、着替えが終わったら出た所に集合ね。」
「うん。」
到着してすぐに、そう言ってお互い脱衣所へ向かった。時間はあまり多いとは言えないので、とにかく急がなくては。
(ゆっくりする事も出来ないのか・・。)
プールに誘ったのは自分のくせに、結局ゆっくりする事が出来ない。これなら、普通に家で過ごしていた方が良かったのかもれない。そう思ってしまう。
(遊べても二時間か・・。これじゃあ本当に楽しめそうな気がしないな・・。)
現在の時刻は1十時過ぎ、春香は先ほどここに居られるのは、三時までらしい。僕らが初めて出会った時の時間だ。それが限界。健や由紀に会う時間が必要だし、そこから逆算するとここに居られるのは十二時過ぎまで。二時間でどこまで遊べるのかは分からない。
「とにかく早くしないと。」
これ以上考えたら逆に時間が勿体無いので、僕は急いで着替えを済ませた。
・・・・・・
「ごめん、待たせちゃった?」
「全然待ってないよ。」
僕が着替えを済ませてから約五分後、着替えを済ませた春香がやって来た。あ・・。
「?どうしたの拓?」
「え、あ、いやなんでもないよ。さあ、行こう。」
「う、うん。」
先程買った水着が思った以上に似合って、思わず見惚れてしまったなんて言えるはずもなく、僕は歩き出した。
「ねえ、何から入る?」
歩きながら春香が訪ねてくる。この市民プール自体そんなに広くはないが、流れるプールやウォータースライダーなど、有名な物はいくらかあるので、飽きる事なく遊ぶ事は出来る。
「うーん、そうだな・・?春香は何から入りたい?」
「私は・・あれが乗りたい。」
そう言って春香が指さしたのはこのプールの中で、最も大きいアトラクションのウォータースライダーだった。あれか・・。
「よし、別のにしよう。」
「うん。じゃあ行こう・・って、乗らないの拓?」
「僕は勘弁してください。ウォータースライダーだけは・・。あー、トラウマが蘇るー。」
「トラウマって何かあったの?」
「いや、特には。」
「じゃあ乗ろう。」
「トーラーウーマーがー。」
「どうしていちいち語尾を伸ばす必要があるの?」
そんな下らないやり取りの末、時間がないので僕が折れる事にした。うぅ、怖いよ・・。
第46話へ続く




