第35話
第35話 無邪気な笑顔
「いきなり何を言い出すかと思ったら、そんな事考えてたの?」
「二人とも若干変態だよ。」
「違うわよ春香ちゃん。この二人は完全な変態よ。」
「あ、そうだね。二人はれっきとした変態だよね。」
『すんませんでした。』
僕と健はひたすら謝った。思ったままの事を言ったら、二人は機嫌を損ねてしまったらしく、ありとあらゆる暴言を言われた。せっかくの夏祭りがこんな気分で始まるのは、流石に辛い・・。
「まあ、そういう風に言ってくれるのは嬉しいけど。」
『じゃあ何で言ったの!』
「気分よ、気分。」
「由紀、それはないぜ。」
「いいじゃない。春香ちゃんはもう子供モード入っちゃったし。」
「え?」
由紀に言われて春香を探してみると、さっきの事はまるで無かったかの様に、一人たこ焼き屋やの屋台に並んでいた。
「私達の目的は春香ちゃんの笑顔でしょ?なら、さっきの事をいちいち掘り返さなくてもいいんじゃない?」
「まあ、そうだな。」
「うん。」
彼女の無邪気な笑顔を見た僕達は、一瞬で先程の事なんか忘れてしまった。
・・・・・・
それから一時間僕達は沢山屋台を回った。金魚すくい、射的、型抜きなど小学校の頃によくやった物を全てやり、常に笑いが絶える事は無かった。
「ふぅ、流石に疲れたね。」
「うん。」
で、今は春香と僕は神社の境内にある段差で休憩、健と由紀は食べ物の調達をしていた。
「楽しい、夏祭り?」
「うん。どの屋台もすごく面白かった。」
「そう言ってもらえると、連れて来たこっちも嬉しいよ。」
なかなか会話が続かない。話したい事はお互いあると思うけど、きっかけが掴めないま時間が過ぎて行く。
「ねえ拓・・。」
そんな沈黙を破ったのは春香だった。
「何?」
「私みんなにちゃんと、話しておきたい大事な事があるんだけど、後で時間くれる?」
「大事な事?」
「うん・・。」
「それって僕が知っている事かな?」
「半分は知っている。でももう半分は知らない。」
「僕も知らない事・・。」
恐らく半分は自分が既に死んでいる事だと思うけど、もう半分は予想がつかない。僕が知らない事ってなんだろう・・。
「絶対今日話しておきたい事だから、お願い。」
「分かった・・。」
真剣に頼んでいる彼女を見て、断る訳にはいかないので、僕は了承した。
第36話へ続く




