第32話
第32話 遊園地
由紀と僕が向かった先は、隣町にある遊園地だった。
「まだこの遊園地あったんだ。」
「私よくこっちに来ていたから知っていたけど、もう何年ぐらい経つのかな?」
「分からない。でも、ずっと続いてるのは確かだよ。」
僕達が来たこの遊園地は、小学校時代よく遊びに来ていた遊園地で、決して大きいとは言えないが、もう何十年も経営しているのは確かだ。しかも入場料無料なので、今時珍しい遊園地だ。
「拓、早く行こうよ。」
「あ、ちょっと待ってよ由紀。」
思い出に浸っていると、いつの間にか由紀は園内に入っていったので、僕は慌ててそれを追った。
・・・・・
遊園地内の客は比較少なめで、どのアトラクションに乗れそうな感じだった。
「何から乗る?」
「うーん、じゃあ全部!」
「子供か!・・まあ、時間はあるから全部とは言えないけど、片っ端から乗る?」
「そうね。じゃああれから乗ろう。」
そう言って由紀が指をさした方向にはジェットコースターがあった。うーん・・。
「よし他の乗ろう。」
「えー、なんで?まさか拓、ジェットコースター怖いの?」
「そ、そういう訳じゃないよ・・。」
「じゃあ乗ろう。」
「わ、分かったよ。」
これが僕の地獄の時間の始まりだった・・。
・・・・・
その後、ジェットコースターを二回、コーヒーカップを一回など、とにかく酔いやすい乗り物ばかり由紀と乗り、僕はフラフラになっていた。
「大丈夫拓?」
「なんと・・か。」
「ちょ、ちょっとココで吐かないでよ!」
そんな感じで楽しい(?)時間はあっという間過ぎて行き、空は夕焼けに染まっていた。ベンチで休憩しながら、僕はふとある事を思い出した。
「そういえば由紀、話したい事があるって散々言っていたけど、結局何?」
「あ、そうだったね。はしゃぎすぎてすっかり忘れていた。」
「忘れていいレベルだったの?」
「全然よくないレベル。これから話す事はとっても大切な事だから、あの観覧車に乗ってゆっくり話そう。」
「うん、分かった。」
僕は由紀に誘われるがままに、観覧車に乗る事にした。
・・・・・
「それで話しておきたい事って何?」
観覧車に乗って数分後、僕は由紀に尋ねた。彼女は外の景色を眺めたまま答えた。
「拓は小学校六年生の時の事を覚えてる?」
「小学校六年生の時の事?」
最初彼女が言いたい事が分からなかったが、小学校六年生の時を思い出してみると、一つだけ共通の話があった。
「そう。あの時の拓は、何も答えられなかったよね。」
「確かそうだったね。」
小学校六年生の時の事、それは由紀が僕に告白してきた時の話だ。けど、どうしてそれを今になって話すんだろう。
「あまりに中途半端だったけど、まだあの時は小学生だったから、答えを求めなかったけど、やっぱりちゃんとした答えが欲しい。」
「え、じゃあ由紀は今でも・・。」
「うん。私の気持ちは小学校六年生の時から何も変わってないの。私は拓が今でも好きです。付き合ってください。」
僕はこの日、観覧車にて由紀に二度目の告白をされた。あの時の答えか・・。
第33話へ続く




