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約束の指きり  作者: りょう
6章 過去を乗り越えて
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第25話

第25話 僕達なりにできる事


「由紀、待たせた?」

「ううん。私も今来たばかり・・。」

由紀から話があるって電話がかかってきて一時間後、僕は少し前に来た事がある喫茶店にやって来た。由紀は既に到着していて少し焦りはしたが、彼女にすぐ声をかける事ができた。

「ごめんね急に呼び出しちゃったりして・・。やっぱちゃんと話はしておこうと思って。」

僕が飲み物を注文し終えたのを見計らって、由紀は話を切り出した。

「僕もずっとそうしようと考えていたんだけれど、やっぱり出来なかった。だから由紀からわざわざ話す機会を作ってくれた事に感謝しているよ。」

「ありがとう。」

「それで話って何かな?・・って聞くのは野暮かな・・。」

「うん・・。話というのは勿論、あの晩の事・・。」

・・・・・

僕が春香の話を全て終えると、由紀と健はしばらく黙り込んでいた。どうしたんだろう・・。

「なあ拓・・。どうしてそれを黙っていたんだよ・・。」

「どうしてって・・。やっぱり話しにくかったから・・。」

「8年以上の付き合いの友達にもか?」

「それは・・。」

「俺は今お前に失望している。そんな大事な事を黙っていたことに対してじゃない、春香ちゃんの気持ちを考えていなかった事に対してだ!」

「僕は春香の事を、ちゃんと考えてたよ。」

「そんなの自分だけそう思っているだけだ。春香ちゃんはまだ、俺達がこの事を知った事を知らないんぞ。お前だけが知っているという事は、俺達にいつ知られるか怖くなって、接しづらくなってしまう。自分から壁を作ってしまうかもしれないんだぞ。そんなのいい筈がないよな?」

「確かにそうだけど・・。けど、どうすればいいの?」

「そんなの自分で考えろ。俺はもう寝る!」

健は怒鳴るだけ怒鳴ってらさっさと眠ってしまった。残ったのは僕と由紀だけになってしまった。

「ねえゆ・・。」

僕は由紀に話しかけようとしたが、途中で止めた。何故なら彼女は、大粒の涙を流していたのだ・・。

「由紀・・。」

・・・・・

「あの時私は何も言わなかったけど、健と同じで怒っていた・・。だってせっかくできた友達が、実は死んでいたなんて簡単に信じられなかったし・・。それを黙っていた拓がどうしても許せなかった。」

「やっぱ由紀も・・。」

「でもね、一週間考えて一つ分かったことがあるの。」

「分かったこと?」

「春香ちゃんの事は確かにショックだけれど、いつ居なくなるか分からない彼女に、私達なりにできる事があるんじゃないかな。」

「僕達なりにできる事?」

「うん。」

僕達なりにできる事・・。その答えはたった一つだけある。それは・・。

「それは、もしかしたら笑顔にする事かな?」

「そうよ、それ!私達が今出来るのは不安を忘れさせちゃうような笑顔よ!」

「うん!」

僕達は周りに人がいるのも忘れて、つい大声を出してしまう。

「それがお前の答えなんだな。」

僕達が興奮していると、後ろから声が聞こえた。

「やっぱ来てくれたんだね。」

僕の正面に居る由紀が言う。僕はその声の主が誰だか分かっていた。8年以上聞いている声。忘れる筈がない。僕が振り向いた先には、一人の男が立っていた。

「健!」

ずっと亀裂が入っていた僕達は、一週間振りに一ヶ所に揃った。

第26話へ続く

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