第23話
第23話 初めて生じた亀裂
「さてと、拓。春香ちゃんは眠ったしそろそろ始めるか。」
「うん。」
あれから時間はあっという間に過ぎていき、時間は日付を越えていた。春香は既に眠っており、起きているのは僕と由紀と健だけ。目の前にはお茶が置かれ、準備は整った。
「まあ、時間も遅いことだし、単刀直入に言わせてもらう。お前はこの前から俺と由紀に何を隠している?」
「それは・・。」
ストレートな質問に僕は一瞬黙ってしまう。「拓、私この前も言ったと思うけれど、私達三人は小学校からの友達なのよ。今まで誰一人だって隠し事はしていなかった。でも拓は今、私達に隠し事をしている。本当は私、怒りたい所なんだけど、そこは我慢する。だから、どうしても言いにくい事かも知れないけど、話してくれる?ね?」
「由紀・・。」
やはり彼女の言葉は僕の背中を押してくれる。何て心強い。おかげで、僕は話しやすくなった。
「分かった・・。二人にちゃんと話すよ。この前から今日まであった事全てを。」
・・・・・
翌朝・・。
「おはよう、健、由紀。」
「・・・。」
「・・・。」
僕は完全に二人に無視されていた。その理由は勿論昨晩の事だけど、今は思いしたくない。
「どうしたの三人とも?旅行最後の日なのに、どうして空気が重いのよ。」
何も知らない春香は無理に明るく振舞っていたが、すぐに空気に飲まれてしまっていた。ただただ重々しい空気が流れ続け、別れる頃には誰も会話をしていなかった。
「じゃあ、また今度。」
いつ会うか分からないような挨拶をした後、それぞれの帰路について、予定よりかなり短くなった一泊二日旅行は終わりを告げた。僕はその帰り道、あの話をした事を後悔していた。初めて見た健の本気の怒り、由紀の涙・・。どれも見たくない物を見てしまった。こんな事何も知らない二人に突然話したら、絶対ショックがデカイと分かっていたのに、僕は話したんだ。ただの馬鹿だ僕は!最低だ!
「ごめん、健、由紀・・。本当にごめん。」
この旅行で僕達三人に、8年間の中で初めての亀裂が生じ、僕は得た物より失ったものの方が100倍大きかった。
第24話へ続く




