第10話
第10話 僕達が側に居る
それからしばらくした後、泣き止んだ春香は話の続きをし始めた。
「一人寂しかった私は、いつかは誰かが来てくれると信じて、あのアスレチックの場所で独り言を呟いていた。誰も来なかったけど。」
「まあ、独り言をずっと呟いている子になんか近づきたくないからね・・。」
「そんなのはとっくに分かっていた。逆に怖がられてしまうんじゃないのかって。だから、あの雨の日を最後にしようと思ったんだけど・・。」
「それを僕がたまたま聞いたって訳か・・。」
「うん・・。」
あれは本当に偶然だった。あの偶然さえなければ、きっとこの出会いも生まれなかっただろう。
「それっていつ頃からやってたの?」
「今月に入ってから・・。」
「今日まで約半月・・。辛かったんだね・・。」
「中学二年生なのに、何やってるんだろうね私・・。」
「中学二年生って、僕達と同じ年なの?」
「え?拓や由紀ちゃんも中学二年生なの?」
「うん。」
僕達と同じ年、つまり彼女は一年以上孤独と戦い続けてきたって事だ。それは並大抵の事ではない事は僕にだって分かっている。分かっているからこそ、今彼女にどんな言葉をかければ良いのか分からない・・。でも、何か言わなければ・・。
「ねえ春香。」
「何?」
「確かに春香が受けた痛みはそう簡単に癒えないかもしれない。でも、もう前のように一人ぼっちじゃない。僕や由紀、それに健だってずっとそばにいる。言ってくれれば毎日会いに行く。だから、もう寂しい思いをする必要は無いんだよ。」
「拓・・。う、うぇーん。」
泣き止んだばかりなのに、また春香は泣き出してしまった。でも、今度はさっきとは違った。まるで小さな子供のように、今まで溜めていた全てをさらけ出すように、泣きじゃくっていた。
「拓、私寂しかったよ~。誰も近くに居なくて、ずっと一人で寂しかった。ずっと一人ぼっちかと思っていた。だから、こうして大切な人に会えて嬉しい・・。」
「大切な人って、また大袈裟な・・。でも、僕もこうして会えてすごく嬉しい。これからもよろしくね。」
「うん。」
その夜はとても静かな夜だった。
・・・・・・
その日の晩、僕はまたあの夢を見た。再びあの少女僕の目の前に現れた。またこの夢を見るって事は、結局僕達は何もできてないのか
・・。落胆しながらも、少女を見る。その瞬間、全身が凍りついた。その少女は、見た事がある顔だった。今日も会っている。だから、全身が凍りついたのだ。
「春香?」
少女は、どこからどう見ても、春香だった。以前この夢を見た時は、彼女と出会う前の話だったので分からなかった。だからこそ衝撃が大きい。
「どういう事なんだ・・。」
僕は夢の中でただただ絶句するしかなかった。
第11話へ続く




