表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したスワンプマンは過去の栄光に思いを馳せるか?  作者: 紫 和春


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/43

第25話 女子の部屋

 家に帰宅した長屋は、今日のことを思い出して、少し思い悩んでいた。

「高崎さん、なんというか、引くに引けないような、必死になって男性に取り入ろうとしている雰囲気を感じたな……。俺には想像もつかないような、個人的な信念が存在しているように感じる……」


 なんといえばいいのかわからないが、言い換えるなら違和感のようなものを感じたのだ。長屋や黒須にはあって、高崎にはない何かが。


「明日、話を聞きに行ってみるか……」


 そのように決めて、長屋は寝ることにした。

 翌日、いつものように登校していると、黒須と遭遇する。


「陽介君、おはよう」

「茜、おはよう」


 これまたいつものように黒須が長屋の腕に抱きつく。だがその際、黒須はいつもより強めに腕を抱きしめた。長屋でも少しキツイくらいに。


「あ、茜? 今日なんかあった?」

「え? 何もないよ? ただ、悪い虫がつかないようにしているだけだから……」

「悪い虫……」


 長屋は察してしまった。悪い虫とはおそらく、高崎のことを言っているのだろうと。昨日長屋のことを守ってあげる、と言っていたことに繋がるのだと、長屋は考えた。


(しかし、なんでそこまで茜は高崎さんのことを目の敵にしているんだ……?)


 それを理解するには、黒須の家庭環境やこれまでの人生を理解する必要があるだろう。そこで長屋は一つ提案を打つことにした。


「ねぇ、茜」

「ん、なに?」

「今日さ、茜の家に行ってもいい?」

「ふぇっ……!?」


 突然の話で、黒須は目を丸くする。直後には頬を赤く染めてテレテレする。


「急にそんなこと言われてもぉ……。お部屋の掃除とかあるしー……」


 長屋が見たことない、デレデレした黒須の姿だ。こんな姿を見せられると躊躇してしまい可哀想に思ってしまうが、それでも長屋は押し通した。


「お願い、どうしても今日、茜の家に行きたいんだ」


 まっすぐな目で黒須のことを見る、真剣なお願いであることを、目で訴えるのだ。その視線を受けて、黒須は折れた。


「分かった……。ただし! 私がダメって言ったところは触っちゃダメだからね!」

「もちろん」


 こうして家に入れてもらう許可を取ったところで、学校に到着する。

 教室に到着した直後、長屋はバッグを置いて、1年1組の教室へと向かう。黒須に勘付かれないように、トイレに行くフリをした。

 隣の教室であるためすぐに到着するが、黒須に見つからないようにするには緊張を感じた。すぐに教室の扉をノックする。


「すみません、高崎マリさんはいますか?」


 突然上級生の男子が教室に来たため、少しばかり騒ぎが発生する。そして一人の女子生徒が返事をした。


「高崎さんなら、今日はまだ見てないです」

「……そうですか」


 この時間なら来ていると思っていたのだが、当てが外れたようだ。


(また時間があるときに様子見に来よう)


 そうして昼休みがやってくる。長屋は黒須と一緒に弁当を食べたあと、黒須がトイレに行ったのを見計らって、再び1年生の教室に行く。


「高崎さん、今日は欠席のようですよ」

「欠席……」


 長屋は少し訝しむ。


(昨日の様子から考えるに、どうも俺と茜を避けているようにも見える。高崎さんに事情を聞きたいが、これ以上詮索すると茜のほうが大変になりそうだしな……)


 しばらく高崎に関する話は出さないようにしようと思ったのだった。

 そして放課後、長屋は黒須の家へとやってきていた。


「ちょっと外で待ってて。部屋片づけてくるから」


 そういって玄関を開けて、家の中をドタバタと走る黒須。長尾は玄関先で待っている間、黒須の考えをまとめる。


(茜の家庭環境を知るには、母親との関係、卒業アルバムを使った過去の聞き取りが一番手っ取り早い。おそらく、卒アルの件は簡単に行けるだろうが、母親との関係はそう簡単にはいかないだろう……)


 そのようなことを考えていると、玄関の扉が開く。


「陽介君、お待たせ。入っていいよ」

「お邪魔します」


 こうして長屋は黒須の家に入る。黒須の家は2階建ての一軒家で、ちょっと手狭なこと以外は普通である。

 2階に上がり、彼女の部屋に入る。ベッド、学習机、タンスがあり、物はそんなに多くはない。そして部屋の中央には折りたたみ式の小さなテーブル。そこに麦茶が入ったコップが二つ置かれていた。


「あんまりジロジロ見ないでね……」

「お、おう……」


 そんな黒須の言葉に、今更ながら長屋はドキドキし始めた。


(そういえば、何気に女子の部屋入るの初めてなんだよな……)


 小さなテーブルの前に座る長屋。その隣に黒須が座る。


「それで……、何しよっか?」


 黒須が聞いてくる。

 これがチャンスだと思い、長屋は緊張を抑え込んで聞く。


「実は卒アルが見たいなぁと思って」

「えー? 卒アル見たいのー?」


 少し拒否の様子を見せるが、意外とノリノリな黒須。学習机のキャビネットから卒アルを取り出した。


(さて、ここからだな……)


 長屋は気を引き締める。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ