第六十六話:防御ライン構築への課題
アルトの加入後、俺たち五人での連携訓練が始まった。
エルトリアのギルド訓練場。
シエラさんが指示を出す。
「よし、今日は五人での連携を試すぞ。ステファニー、お前の《生護》を軸に、パーティ全体の防御ラインを構築する」
ステファニーさんが頷く。
「わ、わかりました〜……!」
シエラさんが続ける。
「ライト、レイナ、お前らは前線で戦え。アルトは後方でステファニーのサポートをしろ」
全員が頷く。
訓練用の魔物が放たれる。
ステファニーさんが特級回復を発動する。
「《生護》〜……!」
淡い光がパーティ全体を包み込む。
絶対的な防御が形成される。
俺は剣を構え、魔物を迎え撃つ。
レイナさんも火魔法を放つ。
シエラさんは前線で俺たちをサポートしながら、魔物を倒していく。
アルトは後方でステファニーさんの隣に立ち、土の壁を築いて二人を守る。
連携は順調に進んでいく。
ステファニーさんの防御が俺たちを守り、俺たちは安心して攻撃に集中できる。
これなら、どんな敵が来ても戦えるはずだ。
俺はそう思った。
でも、それは間違いだった。
「はぁ……はぁ……」
ステファニーさんが息を切らし始める。
訓練開始からまだ一分も経っていない。
「ステファニーさん?」
俺が心配そうに声をかける。
「だ、大丈夫です〜……まだ〜……」
ステファニーさんが無理に笑う。
でもその笑顔は、明らかに苦しそうだった。
そして、さらに数十秒後。
「あ……」
ステファニーさんがよろめく。
その瞬間、《生護》の光が揺らぎ、消えかける。
シエラさんが素早く訓練を止める。
「ストップ!」
全員が動きを止める。
シエラさんがステファニーさんの元へ駆け寄り、その身体を支える。
「お前、魔力枯渇か」
ステファニーさんは俯いたまま、小さく頷く。
「ご、ごめんなさい〜……」
ステファニーさんが申し訳なさそうに謝る。
俺とレイナさんも心配そうに近づく。
「ステファニーさん、大丈夫ですか?」
俺が声をかける。
「あんた、特級スキル使ったら魔力枯渇するじゃない」
レイナさんが少し厳しく言う。
ステファニーさんは涙目で頷く。
「わ、わかってるんです〜……でも、みんなを守りたくて〜……」
その言葉に誰も責めることはできなかった。
シエラさんがステファニーさんに魔力回復のサポートをしながら、静かに言う。
「お前の防御は完璧だ。だが、魔力枯渇じゃ意味がねえ」
「これがお前の弱点だ」
ステファニーさんは俯く。
シエラさんが続ける。
「お前は常に全力で防御を展開する。それは素晴らしいことだ。だが、魔力管理ができていない。特級スキルを使えば、一分も持たずに魔力が枯渇する」
その言葉にステファニーさんはさらに俯く。
アルトが静かに近づく。
「ステファニーさん、少し休んでください」
アルトが優しく言う。
「アルトくん……」
ステファニーさんが顔を上げる。
「大丈夫ですよ。今はゆっくり魔力を回復させてください」
アルトの言葉にステファニーさんは小さく頷く。
シエラさんがアルトを見つめる。
「坊主、お前はどう思う?」
「はい」
アルトが頷く。
「ステファニーさんの防御は絶対的です。でも、魔力枯渇が課題ですね」
「ああ」
シエラさんが頷く。
「この弱点をどうにかしないと、実戦では使えねえ」
レイナさんが腕を組んで言う。
「魔力管理を覚えればいいんじゃない?」
シエラさんが首を横に振る。
「それができりゃ苦労しねえ。こいつは昔からこうなんだ。常に全力で戦う。それがこいつの戦い方だ。だが、それが弱点にもなってる」
その言葉に全員が黙り込む。
俺は思う。
ステファニーさんの防御は完璧だ。
あの絶対的な防御があれば、どんな敵が来ても戦える。
でも、一分も持たないのでは意味がない。
実戦では、もっと長い時間戦わなければならない。
どうすればいいんだろう。
シエラさんがステファニーさんの肩に手を置く。
「お前の防御を維持するには、俺が常にお前の魔力回復をサポートしなきゃならねえ。だが、それじゃパーティ全体の戦術が限定されちまう」
その言葉にステファニーさんはさらに申し訳なさそうな顔をする。
「ご、ごめんなさい〜……」
「謝るな」
シエラさんが優しく言う。
「お前の防御は最高だ。ただ、それを維持する方法を考える必要がある」
シエラさんが俺たち全員を見渡す。
「今日の訓練はここまでだ。ステファニーの魔力枯渇をどうにかする方法を考えないとな」
全員が頷く。
ステファニーさんは俯いたまま、小さく震えている。
俺は思う。
ステファニーさんの防御は完璧だ。
でも、それを維持できないのでは意味がない。
どうすればいいんだろう。
俺にできることはあるのか。
シエラさんがステファニーさんに魔力回復のサポートを続けながら、静かに呟く。
「もう一人、魔力の供給役が必要だな」
その言葉を、アルトは聞いていた。
アルトは静かに考え込んでいる。
何かを思いついたような表情だ。
でも、今は何も言わない。
訓練場に沈黙が広がる。
ステファニーさんの魔力が徐々に回復していく。
でも、この問題を解決しない限り、実戦では戦えない。
俺たちはそれを理解していた。
シエラさんが立ち上がる。
「明日からまた、訓練を続けるぞ」
全員が頷く。
ステファニーさんは立ち上がり、深々と頭を下げる。
「ご、ごめんなさい〜……みんな〜……」
「謝るな」
シエラさんが優しく言う。
「お前の防御は最高だ。それだけは忘れるな」
その言葉にステファニーさんは涙を浮かべる。
「はい〜……ありがとうございます〜……」
俺は思う。
ステファニーさんの魔力枯渇。
これが俺たちの課題だ。
この問題を解決しない限り、実戦では戦えない。
でも、どうすればいいんだろう。
俺は剣を握りしめる。
俺にできることはあるのか。
もっと強くなって、ステファニーさんの負担を減らすことか。
それとも、別の方法があるのか。
俺はそんなことを考えながら、訓練場を後にした。
アルトも静かに考え込んでいる。
何かを思いついたような表情だ。
でも、今は何も言わない。
ただ静かに、ステファニーさんを見つめている。
明日からまた、訓練が始まる。
ステファニーさんの魔力枯渇をどうにかする方法を見つけなければならない。
それが俺たちの課題だ。
俺は決意を新たにする。
もっと強くなる。
そして、みんなを守れるようになる。
そのために俺は頑張るんだ。




