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第四章: 境界の守護者と四つの異能『選ばれし者たちは、まだ互いを知らない』  作者: ぃぃぃぃぃぃ


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第五十話:五人目の仲間への布石

 翌朝。

 アルケインの街に爽やかな光が差し込む中、俺たちはギルドの食堂でテーブルを囲んでいた。シエラさん、ステファニーさん、レイナさん、そして俺。四人で囲む朝食の風景は、昨日までと比べれば、いくらか穏やかな空気に包まれていた。

 ふと隣に座るレイナさんに目を向けると、彼女の横顔は昨日までとは明らかに違っていた。周囲を威圧するような高圧的な態度は消え、どこか吹っ切れたような、柔らかい表情を浮かべている。

「ライト」

 レイナさんが、不意に俺に話しかけてきた。以前なら身構えていたその声も、今は自然に受け入れられる。彼女の瞳の中に、確かな信頼の色が見えたからだ。

「昨日の訓練……よくやったわね。あんた、やればできるじゃない」

 その素直な称賛に、俺は少し照れくさくなる。

「いえ……レイナさんのおかげです。俺の光を、レイナさんが導いてくれたから」

 彼女は満足そうに小さく笑うと、少し視線を泳がせて付け加えた。

「謙遜しなくていいわよ。あんたの光がなければ、あたしの闇も意味がないんだから。……あたしたち、お互いに必要なのよ」

 その言葉が胸に温かく染み渡る。俺は深く頷き、彼女の言葉を受け止めた。向かい側のステファニーさんが「二人とも、本当に仲良くなりましたね~」と微笑み、レイナさんは「……まあね」と照れくさそうに視線を逸らす。

 そんな俺たちの様子を、シエラさんが豪快に笑いながら眺めていた。

「ああ。お前ら、いいコンビになったな。昨日の《煌闇の紫矢》は完璧だった。あれなら、魔王軍の幹部とも渡り合えるだろう」

 だが、シエラさんはすぐに表情を引き締め、腕を組んだ。

「だが――まだ終わりじゃないぞ。お前らには究極の火力があり、ステファニーには絶対的な防御がある。だが、それだけじゃ盤面は完成しねえ」

「足りない……?」

 俺が首を傾げると、シエラさんは戦術的な視点から鋭く説いた。

「どんなに強力な攻撃も、当たらなければ意味がねえ。敵に回避されればそれまでだ。守るだけじゃいつかは突破される。……必要なのは、戦場を支配し、敵の動きを制御する力だ」

 敵の足を止め、急所を暴き、火力を確実に叩き込む舞台を整える力。

「お前らのパーティに、最後のピースを加える。戦場を支配し、敵を制御する――そんな力を持つ仲間だ」

 レイナさんも興味を惹かれたようで、前のめりになる。

「どんな人なの? その仲間って」

「それは会ってからのお楽しみだ。だが、確実に言えることがある。そいつが加われば、お前らのパーティは本当の意味で完成するはずだ」

 シエラさんによれば、その仲間は今別の場所にいるが、近いうちに合流できる予定だという。それまで今の連携を、特に《煌闇の紫矢》を完璧にしろという激励を受け、俺とレイナさんは力強く頷いた。

 朝食を終えた俺たちは、そのまま訓練場へと向かった。

 道中、レイナさんは俺の隣に並んで歩き、ふと俺を気遣うような言葉をかけてくれた。

「ライト。連射するのはかなり大変そうね。あたしは魔力には自信あるけど……あんた、本当に大丈夫?」

「わかりません。でも、やってみます」

 レイナさんは少しだけ笑うと言った。

「そうね。やってみないとわからないわね。……でも、絶対に無理はしないでね。別に心配してるわけじゃないけど、あたしの相方が倒れたら困るだけなんだから」

 訓練場に着き、俺たちは連射の限界を見極める特訓を開始した。

 一発目、成功。

 二発目、成功。

 三発目、魔力の供給が追い付かず、威力が微かに落ちる。

 四発目、俺の視界が急速に狭まり、血管を熱い魔力が逆流する感覚が走る。

 そして五発目――。

 最後の一撃を放った直後、俺の足から力が抜け、膝が砂を噛んだ。

「ライト!」

 即座に駆け寄ってきたレイナさんの肩を借りながら、俺は激しい息を吐き出す。

「大丈夫?」「はい……五発。なんとか、撃てました」

 シエラさんが歩み寄り、満足げに頷く。

「ライト、お前の限界は五発だな。それがわかっただけでも、今日は収穫だ」

 ステファニーさんの回復魔法が俺の体に浸透していく。魔力が戻っていく安堵感はあるが、一度焼き切れたような神経の疲れまでは拭い去れない。立ち上がろうとした足には、まだ鉛のような重さが残っていた。

 訓練を終えて宿に戻る道すがら、レイナさんは俺の隣を、歩調を合わせるように歩いていた。

「ライト。今日も……お疲れ様」

 小さく、けれど本当に心のこもった声だった。

「はい。レイナさんも、お疲れ様でした」

 俺は思う。

 これから出会う新しい仲間。最後のピース。

 それがはまれば、俺たちのパーティは本当の完成を迎えるだろう。

 けれど、シエラさんが最後に漏らした一言が、夕闇の風に乗って耳に残っていた。

『ただし――その力は、使い手を選ぶがな』

 新しい仲間との出会いが、もうすぐやってくる。

 期待と、得体の知れない予感を抱きながら、俺はその日を静かに待つことにした。

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