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第四章: 境界の守護者と四つの異能『選ばれし者たちは、まだ互いを知らない』  作者: ぃぃぃぃぃぃ


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第三十七話:光属性の強化

 数日後。俺はギルド裏の訓練場で、シエラさんと対峙していた。

「ライト、お前の覚醒させた《光盾》と《光壁》は優秀だ。だが、今のままでは戦術が後手に回る」

 シエラさんの声は真剣そのものだった。

「……はい。守るだけでは、勝機を掴めない」

 決意は、今も胸にある。怖いままでも向き合うと決めた。逃げずに、戦う。

「今日は攻撃スキルを習得する。お前には初級遠距離魔法《光弾ライト・ボルト》を覚えてもらうぞ」

 シエラさんが手を掲げると、掌に小さな光の球が集まり、的に向かって放たれた。

 ヒュンッ、と空気を切り裂く光の弾。

「いいか。これを的に向かって撃ってみろ。攻撃だぞ、ライト」

 俺は頷き、的に向かって手を突き出した。

 敵を討つ。仲間を傷つけさせないために、自らが刃となる。

 強く、強くイメージを描き、魔力を練り上げる。だが、光を「弾」として固めようとした瞬間、脳裏にあの魔族の絶叫がよぎり、無意識に心臓が脈打った。

(――防がなきゃ、傷つけたくない……ッ!)

 パァンッ、と眩い光が弾ける。

 だが、放たれたのは攻撃ではなかった。俺の周囲に、幾何学的な紋様を描く半球状の障壁が展開されたのだ。

光護壁ホーリー・バリア

「……は?」

 シエラさんの声が困惑に揺れた。

「わぁ〜! ライトさん、すごい〜! 中級魔法だよ〜!」

 訓練場の隅で見守っていたステファニーさんが、目を輝かせて駆け寄ってくる。

「……待て。俺は『攻撃』を教えていたはずだ。なぜ、より強固な『中級防御』が発動している?」

「あ、あの……すみません。攻撃のイメージをした瞬間、どうしても魔力の制御が……」

 初級の《光盾》や《光壁》は、意識して展開できるようになった。だが、魔力を「攻撃」へ変換しようとした途端、俺の潜在意識がそれを拒絶し、勝手に「防御構造」へと魔力を再編成してしまう。

「……なるほどな。お前の魔力回路は、もはや呪いに近いレベルで『守護』に固定されているのか」

 シエラさんは頭を抱えたが、すぐに気を取り直してもう一度指導を始めた。今度はより具体的に、破壊のイメージを叩き込まれる。

 だが。

光結界ルミナス・バリア

 放たれたのは、魔法攻撃を広範囲で遮断する、さらなる中級防御魔法だった。

「……《光護壁》は《光盾》の上位拡張。《光結界》は《光壁》の完成形か」

 シエラさんが、疲れ果てた様子で座り込んだ。

「お前の意思に関わらず、攻撃しようとした魔力がすべて防御へ転換される……。本来なら失敗して霧散するはずの魔力が、これほどの高密度な魔法に再構築されるとはな。変態的な適性だ」

「すみません……。俺、攻撃したかったんですけど……」

「……いや、いい。編成は極端すぎるが、戦えないわけじゃない。お前の防御を制する者が戦場を制する。お前が完璧に守るなら、仲間は一分の隙もなく『全力で攻撃できる』ということだ」

 シエラさんは少し遠くを見つめ、不敵に笑った。

「決めだぞ。あの『火力の化身』を呼び戻す。性格は最悪で偏屈だが、あいつの極大火力の『矛』とお前の『盾』が合わされば、次は今回のような苦戦はせん」

 新しい仲間。攻撃特化の天才。

 俺は、その見知らぬ誰かへと思いを馳せる。

 ――今は、まだ守ることしかできない。

 攻撃魔法を形にする覚悟も、魔力を御する技術も、今の俺には足りない。

 

 だが、向き合うと決めた以上、逃げ続けるつもりはない。

 この光は、いずれ、仲間を救うための刃にもなる。

 俺は、自分の役割を全うするために、新たに手に入れた二つの「盾」を力強く握りしめた。

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