表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
第四章: 境界の守護者と四つの異能『選ばれし者たちは、まだ互いを知らない』  作者: ぃぃぃぃぃぃ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/165

第三十四話:ステファニーの迅速な回復

 「――今すぐ、治すよぉ……っ!」

 ステファニーさんが、蒼白な顔で両手を前に突き出した。

 《生護》が消え、本来なら彼女の魔力は底を突いているはずだ。だが、彼女は自らの生命力すら魔力へと変換するような、凄まじい覚悟の眼をしていた。

「癒し上級、大回復《聖癒ディヴァイン・ヒーリング》……っ!!」

 眩い緑の奔流が、俺が展開する光と混ざり合いながら倒れたシエラさんを包み込む。

 瞬時に肩と脇腹の傷が塞がり、不倒のSランクが再び地を蹴った。

「助かった、ステファニー! ライト、その光……助かる、そのまま耐えろ!」

 シエラさんの双剣が唸り、タイラントの巨腕を受け止める。

 傷が治ったことで彼女の動きは戻った。だが――戦況は好転しない。

 ガキィィン! ズドォォンッ!

 俺の《光盾》と《光壁》が、魔族の剣と魔法を交互に弾き飛ばす。だが、防ぐたびに腕が焼き切れるような熱を帯び、魔力残量が急速に目減りしていくのが分かった。

 光の盾には、すでに無数の細かいヒビが入り始めている。

(……くそっ、なんて連携だ。これじゃ、シエラさんでも……!)

 シエラさんが魔族の一体を仕留めようと踏み込んだ、その瞬間だった。

 決まって別の二体が、俺たちを狙って魔法を放ってくる。シエラさんは踏み込んだ足を無理やり止め、俺たちの背後を守るために回避行動を強いられる。

 シエラさんは攻撃できても、それを「通させてもらえない」のだ。

 力任せの巨獣とは違い、魔族は互いの隙をミリ単位で埋め合い、一つの巨大な生き物のようにシエラさんの反撃を消し去っていた。

「ライトさん……っ! お願い……このままじゃ、いつか……っ!」

 膝をつき、鼻血を流しながらもステファニーさんが叫ぶ。

 分かっている。俺は防ぐことしかできない。そしてシエラさんは、その鉄壁の連携によって封じ込められている。

 

 この膠着状態は、勝利への足掛かりではない。

 俺の魔力が尽き、ステファニーさんの体力が限界を迎えた瞬間に訪れる「全滅」へのカウントダウンだ。

 ――パリンッ!

 《光盾》が悲鳴を上げ、光の破片が弾け飛んだ。

 完全に消える寸前、防ぎきれなかった衝撃だけが俺の肩を直接打ち抜く。

「ぐぅっ……!」

 痺れる腕を無理やり動かし、俺は消えかけた光を必死に編み直した。

 

 攻撃は、できない。

 「人間」に酷似した敵を斬る恐怖は、まだ俺の剣を金縛りにしたままだ。

 だが、この檻に閉じこもっているだけでは、最後に待つのは破滅だけだ。

 

(何か……。何か一つでいい、この絶望的な連携を崩す隙は、ないのか……っ!?)

 俺は血の滲む唇を噛み締め、歪む視界の中で、魔族たちの「動きの規則性」を必死に観測し続けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ