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第四章: 境界の守護者と四つの異能『選ばれし者たちは、まだ互いを知らない』  作者: ぃぃぃぃぃぃ


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第二十話:ステファニーとの合流

 俺は、ゆっくりと、本当にゆっくりと、振り返った。

 そして――その人を見た。

 ピンク色の髪を、高い位置でポニーテールに結んだ女性。

 年齢は、二十代後半くらいだろうか。

 ふんわりとした雰囲気の美人だった。

 笑顔が、とても明るい。

 そして――その女性は、シエラさんを見て、目を輝かせていた。

「やっぱりお姉さんだ〜!」

 その女性は、嬉しそうに声を上げた。

「本当に久しぶり〜!」

「おう……」

 シエラさんは、少し驚いた顔をした。

 だけど、すぐに笑顔になった。

「久しぶりだな、ステファニー」

「お姉さん、本当にお姉さんだ〜!」

 ステファニーさんと呼ばれた女性は、シエラさんに抱きつこうとした。

 だけど、シエラさんは軽く手を上げて、それを制した。

「おいおい、ここはギルドだぞ」

「あ、そっか〜。ごめんなさい〜」

 ステファニーさんは、少し残念そうにしたが、すぐに笑顔に戻った。

「でも、本当に久しぶり〜!いつぶりだっけ〜?」

「ああ、もう一年以上になるか」

 シエラさんは、懐かしそうに笑った。

「元気にしてたか?」

「もちろん〜!お姉さんに会えなくて寂しかったけど〜」

 ステファニーさんは、明るく答えた。

「もう〜、お姉さんたら連絡もくれないんだから〜。私、ここでずっと……1年も待ってたんだよ〜?」

 俺は、その光景を見ながら、固まっていた。

 女性だ。

 しかも、明るくて、人懐っこそうな女性だ。

 どう接すればいいのか、わからない。

 なにより優しそうな人だけど……あのトゲトゲの棍棒で戦うのかな……?

「あれ?」

 ステファニーさんが、俺の方を見た。

「お姉さん、この人は……?」

 その瞬間、俺の体はさらに硬くなった。

 視線を向けられた。

 話しかけられる。

 これは――まずい。

「ああ、紹介する」

 シエラさんが、俺の方を向いた。

「こいつは、ライト。勇者として召喚された」

「勇者〜!」

 ステファニーさんは、目を輝かせた。

「すごい〜!」

 そして――俺の方に近づいてきた。

「初めまして〜!私はステファニー〜!」

「あ、あの……」

 俺は、反射的に一歩後ずさった。

 だけど、ステファニーさんは気にせず、さらに近づいてくる。

「よろしくね〜、ライトさん〜!」

「は、初めまして……」

 俺は、震える声で答えた。

 心臓が、激しく打っている。

 呼吸が、浅くなる。

 だけど――逃げるわけにはいかない。

 シエラさんがいる。

 大丈夫だ。

「ライト、落ち着け」

 シエラさんが、小声で言った。

 俺は、深呼吸をした。

 落ち着け。

 この人は、シエラさんの仲間だ。

 悪い人じゃない。

「ライトさん、緊張してる〜?」

 ステファニーさんが、首を傾げた。

「大丈夫〜、私怖くないよ〜」

「は、はい……」

 俺は、小さく頷いた。

 だけど、体は硬いままだった。

「ステファニー、こいつは女性が苦手なんだ」

 シエラさんが、説明した。

「だから、あまり急に近づくな」

「え〜、そうなの〜?」

 ステファニーさんは、少し驚いた顔をした。

「ごめんね〜、ライトさん〜。びっくりさせちゃった〜?」

「い、いえ……大丈夫です」

 俺は、必死に答えた。

 だけど、全然大丈夫じゃなかった。

「ステファニー、お前に頼みがある」

 シエラさんが、真剣な顔で言った。

「頼み〜?」

「ああ。こいつと、一緒に旅をしてほしい」

「え〜!」

 ステファニーさんは、目を輝かせた。

「本当〜?お姉さんと一緒に旅ができるの〜?」

「ああ。お前の力が必要なんだ」

 シエラさんは、続けた。

「こいつは、勇者として魔王討伐の旅をしている」

「魔王討伐〜!」

「ああ。だが、こいつには……少し面倒な弱点がある」

 シエラさんは、俺の方を見た。

「女性恐怖症だ」

「あ、そっか……。じゃあ、ちょっと離れるね〜」

 と言って、少しだけ距離をとってくれた。

「……」

「それに、人を傷つけることへの恐怖もある」

 シエラさんは、説明を続けた。

「だから、お前の力が必要なんだ」

「私の……力〜?」

「ああ。お前は、特級回復士だ」

 シエラさんは、真剣な目で言った。

「どんな怪我でも治せる。それが、こいつの恐怖を和らげる。こいつには、絶対に回復役が必要だ」

「そっか〜」

 ステファニーさんは、少し考えるような顔をした。

 そして――俺の方を見た。

「ライトさん、私でよければ〜、一緒に旅するよ〜」

「え……あ、はい」

 俺は、戸惑いながら答えた。

 この人が、仲間になる?

 シエラさんの言っていた、最初の仲間が、この人なのか?

「よろしくね〜、ライトさん〜」

 ステファニーさんは、明るく笑った。

「私、癒し系だから〜、怪我したらいつでも治すよ〜」

「は、はい……ありがとうございます」

 俺は、小さく頭を下げた。

 だけど、まだ緊張は解けなかった。

「ステファニー、お前の装備は?」

 シエラさんが、尋ねた。

「ちゃんとあるよ〜」

 ステファニーさんは、腰に下げていた武器を見せた。

 メイスだった。

 先端に、何か宝石のようなものが埋め込まれている。

「お姉さんにもらったバックラーもあるよ〜」

 ステファニーさんは、背中に背負っていた小さな盾を見せた。

「そうか。それなら安心だ」

 シエラさんは、満足そうに頷いた。

「じゃあ、これから三人で旅をする」

「うん〜!」

 ステファニーさんは、嬉しそうに答えた。

 俺は、その光景を見ながら、複雑な気持ちだった。

 仲間が増える。

 それは、嬉しいことのはずだ。

 だけど――女性だ。

 しかも、明るくて、人懐っこい女性だ。

 俺は、この人とうまくやっていけるんだろうか。

「ライト」

 シエラさんが、俺の肩を叩いた。

「大丈夫だ。ステファニーは、お前を傷つけるつもりはねえ」

「はい……」

「少しずつ、慣れていけばいい」

「はい」

 俺は、頷いた。

 シエラさんが言うなら、きっと大丈夫だ。

 そう信じるしかなかった。

「さて、じゃあ改めて依頼を選ぶか」

 シエラさんが、掲示板の方を向いた。

「今度は、三人での依頼だ」

「うん〜!」

 ステファニーさんは、元気に答えた。

「ライトさんも、一緒に頑張ろうね〜」

「は、はい……」

 俺は、小さく答えた。

 ステファニーさんは、本当に明るい人だ。

 だけど――俺にとっては、まだ怖い存在だった。

 これから、この人と一緒に旅をする。

 そう思うと、不安と期待が入り混じった。

「お姉さん、どの依頼にする〜?」

 ステファニーさんが、掲示板を見ながら尋ねた。

「そうだな……」

 シエラさんが、依頼書を眺めている。

 俺は、その横で、静かに立っていた。

 新しい仲間。

 ステファニーさん。

 この人と、どう接すればいいのか。

 まだ、全然わからなかった。

 だけど――シエラさんがいてくれる。

 それだけで、少しだけ安心できた。

「これなんかどうだ?」

 シエラさんが、ある依頼書を指差した。

「森の魔獣討伐。推奨ランクはE。三人なら、サクッといけるだろ」

「いいね〜!」

 ステファニーさんは、嬉しそうに答えた。

「ライトさんも、それでいい〜?」

「あ、はい……」

 俺は、慌てて答えた。

 ステファニーさんに話しかけられて、また緊張が走る。

「よし、じゃあこれを受けるぞ」

 シエラさんが、依頼書を取った。

「受付に行くぞ」

「はい」

 俺たちは、受付カウンターへと向かった。

 ステファニーさんは、俺の横を歩いている。

 俺は、できるだけ距離を取ろうとしたが、ステファニーさんは気にせず近づいてくる。

「ライトさん、大丈夫〜?」

「だ、大丈夫です」

 俺は、必死に答えた。

 だけど、全然大丈夫じゃなかった。

 心臓が、激しく打っている。

 だけど――逃げるわけにはいかない。

 この人は、仲間なんだ。

 そう自分に言い聞かせながら、俺は歩き続けた。

 受付で、依頼の手続きを済ませた。

 受付嬢が、俺たちに依頼書を渡してくれた。

「気をつけて行ってきてくださいね」

「ああ、ありがとう」

 シエラさんが、軽く手を振った。

「さて、じゃあ出発するぞ」

「うん〜!」

 ステファニーさんは、元気に答えた。

「ライトさん、頑張ろうね〜」

「は、はい……」

 俺は、小さく答えた。

 これから、三人での旅が始まる。

 不安だらけだった。

 だけど――シエラさんがいてくれる。

 それだけで、少しだけ前に進める気がした。

 俺たちは、ギルドを出た。

 そして、新しい依頼へと向かって歩き出した。

 三人での、初めての旅。

 それが、どんな旅になるのか。

 まだ、全然わからなかった。

 だけど――俺は、前に進む。

 シエラさんと、ステファニーさんと共に。

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