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第四章: 境界の守護者と四つの異能『選ばれし者たちは、まだ互いを知らない』  作者: ぃぃぃぃぃぃ


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第十七話:合流の予告

 あれから、数日が経った。

 俺とシエラさんは、ヴァルセリアを拠点に、様々な依頼をこなしていた。

 ゴブリンの討伐。

 スモール・ボアの討伐。

 そして、時には採取の依頼も受けた。

 毎日、訓練と実戦の繰り返しだった。

 だけど――俺の剣は、少しずつ変わってきていた。

 人型魔物に対する躊躇は、まだ残っている。

 だけど、以前よりは力を込められるようになった。

 完璧ではないが、確実に前に進んでいる。

 そう実感できるようになっていた。

 その日の朝。

 俺たちは、いつものように宿の食堂で朝食を取っていた。

「なあ、ライト」

 シエラさんが、不意に声をかけてきた。

「はい」

「少し、お前の今後について話がある」

 シエラさんは、真剣な顔をしていた。

「今後……ですか?」

 俺は、フォークを置いた。

「ああ。お前、このまま俺と二人で旅を続けるつもりか?」

「え……?」

 突然の質問に、俺は戸惑った。

「それは……シエラさんが、そうしろと言うなら」

「いや、そうじゃねえ」

 シエラさんは、首を振った。

「俺が聞いてるのは、お前の気持ちだ」

「俺の……気持ち?」

「ああ。お前は、このまま俺と二人で旅を続けたいか? それとも、もっと仲間を増やしたいか?」

 シエラさんは、俺を真っ直ぐ見つめた。

「仲間を……増やす?」

 俺は、その言葉に驚いた。

 仲間を増やす?

 それは、どういうことだ?

「お前のトラウマ克服には、剣の技術だけじゃ足りねえ」

 シエラさんは、説明を始めた。

「精神的な支えも必要だ。俺一人じゃ、お前のトラウマを完全には克服させられねえ。お前には、もっと多くの人と関わる必要がある」

「でも……」

 俺は、言葉に詰まった。

 女性と関わるのは、まだ怖い。

 シエラさんは例外だが、他の女性と接するのは、まだ抵抗がある。

「心配するな」

 シエラさんは、優しく笑った。

「お前に会わせたい奴らがいる。昔、一緒に旅をした仲間たちだ」

「昔の……仲間?」

「ああ。もう何年も会ってねえが、居場所は知ってる。そいつらに、お前を紹介したいと思ってる」

「俺を……紹介?」

「ああ。俺が心から信頼してる仲間だ。お前の力に、必ずなってくれる」

 シエラさんは、真剣な目で言った。

「そうなんですか……」

 俺は、少し不安になった。

 昔の仲間。

 それは、どんな人たちなんだろう。

 もし、女性だったら……。

「シエラさんは昔、どんな風にその人たちと戦っていたんですか?」

 俺は、恐る恐る尋ねた。

「……それも、会えばわかる」

 シエラさんは、少しだけ目を細めた。

「ただ、あいつらとの旅は……俺にとって、かけがえのないものだった」

「……」

「詳しいことは、会ってからのお楽しみだ」

 シエラさんは、わざと詳細を言わなかった。

「だから、安心しろ。俺が信頼してる仲間だ。お前を傷つけるような真似はしねえ」

「わかりました……」

 俺は、ゆっくりと頷いた。

 シエラさんが信頼している仲間なら、きっと大丈夫だろう。

「で、その仲間って……何人いるんですか?」

「何人かいる」

 シエラさんは、曖昧に答えた。

「何人か……」

「ああ。一度に全員と会うわけじゃねえ。まずは、一人ずつ合流していく」

 シエラさんは、説明を続けた。

「お前のペースに合わせて、少しずつ仲間を増やしていく。焦る必要はねえ。お前が慣れてから、次の仲間と会えばいい」

「わかりました……」

 俺は、少しだけ安心した。

 一度に大勢と会うのではなく、一人ずつなら、まだ対応できるかもしれない。

「で、いつ会うんですか?」

「もうすぐだ。一人目とは、数日後に会う予定だ」

 シエラさんは、地図を取り出した。

「オルフェアって街だ。ここから、三日ほど歩いた場所にある」

「オルフェア……」

「ああ。そこで、一人目の仲間と合流する」

 シエラさんは、地図をしまった。

「準備はいいか?」

「はい」

 俺は、力強く頷いた。

 不安もある。

 だけど、それ以上に期待が大きかった。

 新しい仲間と出会える。

 それは、俺にとって、大きな一歩になるはずだ。

「その仲間って……男性、ですか?」

 俺は、恐る恐る尋ねた。

「……さあな」

 シエラさんは、意味深に笑った。

「会ってからのお楽しみだ」

「……」

 答えをはぐらかされた。

 ということは、もしかして……。

 そう考えると、不安が膨らんだ。

「なあ、ライト」

 シエラさんが、突然真剣な声で言った。

「はい」

「俺たちはあくまでお前の仲間だ。お前が世界を救うためのな」

 シエラさんは、真剣な目で続けた。

「お前は勇者なんだ。いずれ、お前が俺たちを引っ張っていく」

「俺が……ですか」

 その言葉に、背筋が伸びる思いがした。

 勇者。

 その言葉の重みが、改めて胸に響く。

 俺は、世界を救うために召喚された。

 そのために、仲間を集めていく。

 それが、俺の役割なんだ。

「よし、じゃあ今日中に準備を済ませて、明日出発するぞ」

「はい!」

 俺は、シエラさんと共に、準備を始めた。

 新しい街へ。

 新しい仲間へ。

 俺の旅は、これから更に広がっていく。

 不安もあるが、シエラさんがいてくれる限り、俺は前に進める。

 そう信じて、俺は準備を続けた。

 明日から、新しい旅が始まる。

 そして、新しい仲間との出会いが待っている。

 その仲間が、どんな人なのか。

 男性なのか、女性なのか。

 それは、まだわからない。

 だけど――シエラさんが信頼している人なら、きっと大丈夫だ。

 そう自分に言い聞かせながら、俺は荷物をまとめていった。

 翌日。

 俺たちは、ヴァルセリアを出発した。

 オルフェアへと向かう道は、平坦で歩きやすかった。

「なあ、ライト」

 シエラさんが、歩きながら言った。

「はい」

「お前、緊張してるな」

「え……わかりますか?」

「ああ。顔に書いてある」

 シエラさんは、笑った。

「新しい仲間と会うのが、不安なんだろ?」

「……はい」

 俺は、正直に答えた。

「もし、女性だったら……と思うと」

「心配するな」

 シエラさんは、俺の肩を叩いた。

「お前は、少しずつ成長してる」

「でも……」

「最初は、俺だって不安だった」

 シエラさんは、遠くを見つめた。

「新しい仲間と旅をするのは、誰でも不安なもんだ」

「シエラさんも……?」

「ああ。だが、今となっては、あいつらと旅をして良かったと思ってる」

 シエラさんは、笑った。

「だから、お前も大丈夫だ」

「……はい」

 俺は、少しだけ勇気をもらった。

 シエラさんでさえ、最初は不安だったんだ。

 なら、俺が不安なのも、当たり前なのかもしれない。

「焦るな。一歩ずつだ」

「はい」

 俺は、力強く頷いた。

 そして、オルフェアへと向かう道を、歩き続けた。

 新しい仲間との出会いが、待っている。

 それが、どんな出会いになるのか。

 まだわからない。

 だけど――俺は、前に進む。

 シエラさんと共に。

 そして、いずれ来る仲間たちと共に。

 世界を救うために。

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