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第四章: 境界の守護者と四つの異能『選ばれし者たちは、まだ互いを知らない』  作者: ぃぃぃぃぃぃ


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第十四話:シエラの評価

 ギルドに戻った俺たちは、受付カウンターへと向かった。


「あ、シエラさん!お帰りなさい!」


リサさんが、変わらぬ笑顔で迎えてくれた。


「依頼は完了したか?」


「ああ、無事に完了した」


シエラさんが、依頼書を差し出した。


「スモール・ボア、十頭討伐。確認してくれ」


「はい、確認しますね……スモール・ボア十頭討伐、確かに完了ですね」


リサさんは満足そうに頷いた。


「それでは、報酬をお渡しします。銀貨五枚です。お疲れ様でした」


「ああ、ありがとう」


シエラさんが銀貨を受け取った。


「ライトさんも、お疲れ様でした」


リサさんが、俺の方を見て笑顔を向けてくれた。


「初めての依頼、成功おめでとうございます」


「あ、ありがとうございます……」


俺は、できるだけ平静を保ちながら答えた。女性と話すのは、まだ緊張するが、街に入った時よりは少しマシになった気がした。


「さて、ライト。今日はこれで終わりだ」


シエラさんが、俺の肩を叩いた。


「宿に戻って、休もう」


「はい」


俺たちは、ギルドを出た。外はもう夕方になっており、街の賑やかさも落ち着いてきている。


「今日は、よく頑張ったな」


シエラさんが、歩きながら言った。


「はい……」


「初めての実戦で、七頭も自分で倒せた。俺が止めを刺さずに済んだ。上出来だ」


「ありがとうございます」


俺は、シエラさんの言葉に嬉しくなった。


「だが、まだまだ課題はある」


シエラさんは、真剣な目で俺を見た。


「とりあえず、魔獣相手には剣が振れるようになった。それが重要だ」


「はい……」


「お前のトラウマは、『人を傷つけること』への恐怖だ。だが、魔獣は人じゃない。だから、お前は躊躇なく剣を振れる」


「そうですね……今日、自分でも驚きました」


「それが、お前のトラウマ克服の第一歩だ」


シエラさんは、優しく笑った。


「焦る必要はねえ。一歩ずつ、前に進んでいけばいい」


「はい」


俺は、力強く頷いた。


「ただ、問題はここからだ」


シエラさんは、立ち止まった。


「問題……ですか?」


「ああ。今日倒したスモール・ボアは、体高一メートルほどの小型魔獣だ」


「……」


「だが、これから先、人間大の魔物と戦う機会も増える。ゴブリン、オーク、そういった魔物だ」


「人間大の……」



「その時、お前は本気で剣を振れるか?」


「それは……」


俺は、言葉に詰まった。人間大の魔物となると、体が人間に近くなる分、過去の記憶が蘇って体が動かなくなるかもしれない。


「わからねえ……か?」


「……はい」


「正直でいい」


シエラさんは、俺の肩を叩いた。


「無理に自信を持つ必要はねえ。わからないなら、わからないと言えばいい。だが、心配するな」


「はい……」



「お前には、まだ時間がある。これから、どんどん慣れていけばいい。だから次回は、今回とは違う魔物の討伐にする。魔獣じゃなく人型魔物だ」


シエラさんは、説明を始めた。


「お前がダメなら俺がやっつけてやる。そんな心配しなくてもいい。お前が危なくなったら、俺が守る。それが俺の役目だ」


シエラさんは、自信に満ちた表情で言った。


「……わかりました」


俺は、心から感謝した。


「さて、宿に着いたな」


シエラさんが、ある建物の前で立ち止まった。


「ここが、今日泊まる宿だ」


「はい」


俺たちは、宿に入った。


「二部屋、お願いしたい」


シエラさんが、宿の主人に声をかけた。


「はい、かしこまりました」


宿の主人が、鍵を二つ渡してくれた。


「二階の、201号室と202号室です」


「ありがとう」


「ライト、お前は201号室だ」


「はい」


俺は鍵を受け取り、二階に上がった。


「とりあえず、荷物を置いて休め。夕食は、一時間後に一階の食堂で食べるぞ」


「わかりました」


俺はベッドに座った。体は疲れていたが、心は充実していた。初めての実戦。魔物を倒すことができた。魔獣相手なら、振れる…その事実が、俺にとって大きな自信になった。俺はポケットから「銀貨五枚」を取り出した。街の灯りに照らされて、鈍く光る銀色の粒。


(……これが、俺がこの世界で初めて稼いだお金だ)


 前世でのバイト代とは、手触りも、重みも、全く違う。自分の命を懸け、泥にまみれ、魔獣の牙を抜いて手にした対価。この五枚の銀貨には、俺の「生きている証」が刻まれているような気がした。


一時間後、食堂に降りると、シエラさんはすでに席についていた。驚いたことに、彼女の目の前にはすでに空のジョッキが一つ置かれ、二杯目のエールが運ばれてきたところだった。


「おう、来たか! ほら、座れ。ここの肉煮込みは絶品らしいぞ」


 運ばれてきた料理を前に、シエラさんは豪快にジョッキを煽った。


「ぷはぁーっ! やっぱり戦った後の酒は格別だな! 五臓六腑に染み渡るぜ」


 幸せそうに喉を鳴らす彼女を見て、俺は思わず苦笑いした。


「シエラさん、まだ食事も始まったばかりなのに……飲みすぎですよ」


「バカ言え、これが俺のエネルギー源なんだよ。お前も飲むか? 」


 食事をしながら、シエラさんは真面目な顔に戻って今日の戦いを振り返った。


「ライト。今日の戦いで良かったのは、お前の光魔法の使い所だ。最後の一頭、突進に合わせて光を一瞬強めたろ? あれで猪の目を眩ませて、懐に入りやすくした。教えた以上の応用だ、センスあるぞ」


「えっ……見ててくれたんですか」


「当たり前だろ。お前の『壁』なんだからな」


 シエラさんは三杯目のエールを注文しながら、少し声を落とした。


「さて、明日からも訓練を続けるぞ。次は、もう少し大きな、そして人型に近い魔物と戦う」


「わかりました」


「焦るな。お前のペースで、前に進んでいけばいい。俺が必ず、お前を守り抜く」


俺は、力強く頷いた。シエラさんと共に、俺は確実に成長している。そう信じて、俺は部屋へと戻った。


ベッドに横になり、目を閉じる。魔物を倒したこと。剣が振れたこと。シエラさんの励まし。全てが、俺を成長させてくれている。明日も、頑張ろう。そう心に誓って、俺は深い眠りに落ちていった。

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