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第四章: 境界の守護者と四つの異能『選ばれし者たちは、まだ互いを知らない』  作者: ぃぃぃぃぃぃ


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第百五話:受け入れと和解

 シエラが剣を石畳に突き立て、裁定を終えた静寂の中。

 四人は、互いに向き合っていた。

 ライトが、震える手で剣を握り直す。その手は、もう迷いで震えているのではなかった。

 強い決意で、震えていた。

「アルト……」

 ライトの声が、静かに響く。

「俺は……お前の秘密を知って、最初は裏切られたと思った」

 その言葉に、アルトは顔を伏せる。

「でも、今なら分かる。お前は……俺たちを守るために、一人で地獄を見続けてきたんだな」

 ライトが、一歩前に出る。

「お前が見てきた『俺が死ぬ未来』――それを、何度も見続けてきたんだろう」

 その言葉に、アルトの身体が震える。

「……はい。何百回も……何千回も……」

 アルトの声が、掠れる。

「ライトさんが、敵に斬られて倒れる。そんな未来を、何度も見ました。そして、それを避けるために……必死に、計算して……」

「そうか……」

 ライトが、剣を鞘に納める。

 そして――アルトの前に、手を差し出した。

「なら、もう一人で見るな」

 その言葉に、アルトは顔を上げた。

「ライトさん……?」

「お前が見てきた『俺が死ぬ未来』――それを避けるのは、もうお前一人の仕事じゃない」

 ライトの手が、アルトの肩を掴む。

「俺も一緒に戦う。お前の計算を信じて、俺は剣を振るう。そして――お前が見落とした危険は、俺が剣で切り払う」

 ライトの瞳が、真っ直ぐにアルトを見つめる。

「もう一度、俺たちの仲間として――共に戦ってくれ」

 その言葉に、アルトの瞳から涙が溢れ出す。

「ライトさん……」

「ふん、遅いわよ、ライト」

 レイナが、涙を乱暴に拭いながら前に出る。

「アルト、あんたに一つだけ言っておくわ」

 レイナが、杖を握りしめる。

「私の火力を、二度と『計算の範囲内』なんて言わせないわよ」

 その言葉に、アルトは目を見開く。

「どういう……」

「私の魔法は、あんたの計算を超える。それくらいの自信はあるわ」

 レイナが、不敵に笑う。

「だから、あんたが『失敗するかもしれない』と思った時――私の火力が、その失敗を焼き尽くしてみせる」

 レイナの瞳が、アルトを見据える。

「もう、一人で背負わせない。あんたの計算が外れたら、私の魔法で軌道修正してやるわ」

 その言葉に、アルトは何も言えなかった。

 ただ、涙が止まらなかった。

「アルトさん……」

 ステファニーが、杖を握りしめて前に出る。

「私……ずっと、何も気づけなくて……ごめんなさい……」

 ステファニーの声が、震える。

「でも、これからは違います。アルトさんの心を、私が癒します。アルトさんが一人で抱え込まないように、私が……そばにいます」

 ステファニーの杖から、柔らかな光が溢れ出す。

「だから……もう、一人で泣かないでください」

 その光が、アルトを包み込む。

 温かい、優しい光。

 三年間、一人で耐え続けてきたアルトの心を、ようやく癒す光。

「みんな……」

 アルトの声が、震える。

「俺は……俺、みんなを……」

「分かってるわよ」

 レイナが、優しく笑う。

「あんたは、私たちを愛してくれてたのよ。歪んだ形だったけど、それでも――確かに、愛してくれてた」

「だから、今度は俺たちの番だ」

 ライトが、アルトの肩を強く叩く。

「お前を、俺たちが守る。お前が一人で地獄を見ることがないように、俺たちが隣にいる」

「二度と、一人で背負わせない」

 三人の声が、重なる。

 その言葉が、アルトの心を満たしていく。

 三年間、閉じ込めてきた感情が、ようやく解放される。

「……ありがとう、ございます……」

 アルトの声は、もう掠れていなかった。

 涙は流れていたが、それは悲しみの涙ではなかった。

 初めて――本当に初めて、アルトは仲間を信じることができた。

 計算ではなく。

 未来予測ではなく。

 ただ、純粋に――信じることができた。

 アルトの瞳に、新しい光が宿る。

 それは、計算の光ではなかった。

 仲間への、信頼の光だった。

「みんな……俺、もう大丈夫です」

 アルトが、立ち上がる。

 その身体は傷だらけだったが、その瞳は――誰よりも強く、輝いていた。

「これからは、一人じゃない。みんなと一緒に、未来を作ります」

 アルトの言葉に、三人は頷いた。

 そして、四人は――互いに手を重ね合った。

 ライトの手、レイナの手、ステファニーの手、そしてアルトの手。

 四人の手が、一つになる。

 その瞬間、四人の魔力が共鳴した。

 光、闇、癒し、そして演算。

 四つの力が、一つに溶け合い、新しい力を生み出す。

「これが……俺たちの、絆……」

 ライトが、その力を感じ取る。

「ええ。計算じゃない、本当の――絆よ」

 レイナが、微笑む。

「みんなで、一緒に戦いましょう〜」

 ステファニーが、嬉しそうに笑う。

「はい……みんなで、勝ちましょう」

 アルトが、静かに頷いた。

 シエラは、その光景を見て、静かに笑った。

「……ようやく、本当のパーティになったな」

 その言葉が、四人の心に響く。

 そして――四人は、クロノスへと向き直った。

 もう、迷いはなかった。

 一人で戦うのではない。

 四人で、共に戦うのだ。

「行くぞ、みんな」

 ライトの号令に、三人が応える。

「ああ!」

「当たり前でしょ!」

「はい〜!」

 四人の声が、一つになる。

 そして――真の結束を果たした勇者パーティが、因果を操る魔族へと、その刃を向けた。

 新たな戦いが、今、始まろうとしていた。

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