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14/21

14 異変発生




 授業を聞いている最中も、高嶺さんは時折振り向きながらこちらを睨む。

 その対象は、僕──というよりは間違いなくリリー。

 リリーもリリーだ。高嶺さんに喧嘩を売るような真似をしないでほしい。

 あとでよく言っておかないと!


【いま言ったら? ちゅーか君は本当にあんな子が好きなの?】


 授業中の教室でなんてことを口走るのか!

 ギョッとしながらも僕はリリーを睨みつけてやった。

 ところが、クラスメイトたちは誰もが素知らぬ顔。

 もちろん高嶺さんもだ。今のが聞こえていなかったのか?


【君があたしに言いたいことがあるって願ったから、思念の番人(ソウルマインダー)が念話モードをONにしてくれたんだ。俗に言うテレパシーというか……まあつまり声に出さなくても頭の中で思うだけで会話できるやつだよ。あたしとユウキでもできるけど、本来はヒーロー同士の連携をとるために実装されてるんだ】


 超思念(ハイパー・ソーツ)はこういうことも実現してくれるのか。これぞ未来の超科学って感じだなぁ。

 ヒーローたちを生み出し、その力を最大限に引き出し、完璧に制御するシステムなんだからこれくらいは当然か。一般人には敢えて細かな機能は公開されていないようだけど、実際にヒーローになってみるとすごい。

 僕は、リリーに言い返す言葉を頭の中(・・・)で思ってみる。


【『あんな子』って、僕の(おも)(びと)をそんなふうに言わないでくれる】

【めちゃくちゃ節操のない女の子じゃないか。ヒーローだったら誰でもいいんだよ? 君よりかっこいいヒーローが現れたら絶対に乗り換える。君が女子に慣れていないことも、一撃で落とせることも、手玉に取れることもきっと全部わかってて近寄ってきてるんだ。それでもいいっていうの?】


 (ひど)い言われようだが、僕だってもちろんわかってる。

 今まで女の子が寄ってきてくれたことなんて一度もないんだ。別に高嶺さんほどの美少女じゃなくても。


 なのに、そんな僕のところへ誰もが認める美少女がやって来た。

 その理由は、リリーの言うとおり僕がヒーローになったから。それ以外に理由はない。


 僕だって、等身大の僕自身を好きになってくれる彼女が欲しい。それが本音だ。

 でも、僕が何の取り柄もない、平凡にすら手が届かない男子であることもまた、僕自身が誰より一番よくわかってる。

 だからこそ、ずっと僕はヒーローになりたかったんだから。


 どんな理由であろうが、こんな僕のことに興味を持ってくれた女の子なんだ。

 たとえ彼女が悪の化身だったとしても──……。


 この念話(テレパシー)機能、思い浮かべた事柄を相手に伝えるかどうかは思うだけ(・・・・)で取捨選択できるらしい。

 僕は、伝える意思を強く持って、明確に頭に思い浮かべた。


【それでも、いい。僕は彼女のことが好きだ】

【……ふーん。割といいじゃん】

【何が】

【君が。そんな感じ出されたらなんかちょっとムラムラするんだけど】

【ちょ……そっちからは手を出さない約束でしょ!?】

【もちろんそうだよ。でも誘惑するのも自由だよね】

【残念だけど、僕は高嶺さん一筋で行くことに決めたから。絶対に彼女のことは裏切らないよ】


 隣の席に座るリリーは、頬杖を突いて重そうな胸を机の上にのってり乗せながら僕を見つめ、頭の中だけの通話を使ってくっくっく、とほくそ笑む。


【へぇ。そりゃ楽しみだねー。あたしからは絶対に手は出さないから、ひたすら誘惑に耐えるゲームしてみよっか。今から一生】


 めちゃくちゃ嫌な笑顔だ。これから時間をかけて僕を拷問するためのメニューを考えているんだろう。

 うわ。最悪──……


 ドガアアアアアアン


「キャッ」「うおっ、なんだよ!」「なになに? 地震!?」

「みんな落ち着いて! 静かに! 先生が見てくるから」


 突然の爆音。建物が揺れ、パラパラと天井から粉が落ちる。

 八雲先生は僕たちを落ち着かせるためにこう言い、ポニーテールを揺らしながら教室を出て駆けていく。

 リリーは席を立ち、窓から運動場をそっと覗いた。

 

「ねえリリー。今のはなんだろう?」

「ロケットランチャーだね。見た感じ」

「えっ!!」

「ダメだよユウキ、窓に近づいちゃ」


「全員、窓から離れろ!」


 リリーと同じく、窓から外を確認していた華城(かじょう)が叫んだ。

 クラスメイトたちは机や椅子をガチャガチャ鳴らせながら一斉に廊下側へと動き出す。

 華城は全員ここで待つように伝えたあと、先生に続いて教室を出て行った。

 僕はリリーに耳打ちする。


「なんでそんな物を学校でぶっ放すんだよ!?」

「わかんないよ。とりあえず君はおったてて」

「はい?」

「だからこうすんの!」


 リリーは僕の手を掴むと、スカートの中へ滑り込ませて自分のお尻を触らせた。

 さらさらした布の感触の向こう側……温かくて柔らかくて反面張りがある。

 だめだ。これ完全にエネルギー体とかじゃない。人間なんだけど!

 ……とか思ってたらTPはポーンと1000万を超えた。

 

 このTP上昇の基準ってなんなんだろう。今回一瞬で1000万を超えるところまで持って行かれたんだけど、今までと何かが違うのかな……。


 高嶺さんの黒ブラと、暴漢に胸を揺らされているのと、パンツが見えたので100万だった。

 そのあと、リリーの胸の谷間と白ブラと際どいミニスカートを追加して500万。そこにはギャップなんかも作用した。

 でも、よく考えたら視覚だけか。


 今回はお尻を触った。すなわち触覚だ。手触りとか体温。

 それに加えて触られて少し恥ずかしそうな表情を浮かべるリリーの様子も見えたな。自分からやった手前引っ込みがつかなくなって、好きなように(まさぐ)られるのを必死で我慢するような顔をしていた。

 めくれたスカートの合間からパンツも少し見えたし、これだけ近い位置にいると女子の香りが常時脳天を突き抜けている。

 もしかすると、触覚や嗅覚を含めた総合力が大事なのかもしれない。確かに、リリーや高嶺さんの胸に顔を(うず)めた時は1000万を超えていた……!


 リリーは魔法少女ミルキへ変身すると、あっという間に外へ飛び出した。

 どうやら空を飛ぶには、飛行魔法を使うミルキになりきる必要があるらしい。

 


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