act11 城壁の中
城壁を潜り抜けると、そこには広大な土地が広がっていた。内部は城であって城でない。だだっ広い町や農地がそこにはあった。
そして、町を歩く人も多かった。その歩き回っている人も二本足で歩く獣もいれば、獣人もいて、普通の人、鳥人なんかもいる。比率は圧倒的に獣や獣人が多いが、それでも鳥人や他の種族も居る。関係悪化や確執が生まれつつある状況なのかもしれないが、まだ戦争に至った訳ではないから、一応そこら辺は自由なのだろう。かなり怪しい振舞だったハルシェシスも通してもらえたし。
「しかし、凄い広さだね、外にも草原が広がっているけど中にも草原が広がっている。城壁が国境だと言っても良いぐらいの感じがあるね」
祖母ちゃんも感嘆の声を上げる。
「ふふふ、そうでしょう」
ハルシェシスは何故か自慢げに答える。
「さてと、アンナ、ハルシェシスさん、これからどうするんだ? この国の王に会いに行くのか? それともさっき衛兵に言ってたみたいにバステトとかいう人に会いにいくのか?」
ぺーターが問い掛ける。
「残念だけど、今の状態で王に直接会いに行くっていうのは至難の業だわね、それをするには、それなりの人物の仲介が必要よ、だがらバステトに先に会いに行くという事が必要になる訳ね……」
ハルシェシスは真剣な表情を作りながら答える。
「成程なんだね」
祖母ちゃんはニヤリと笑う。
「そう、そうなの、バステトは王様の従弟の子供になるから、仲介役としては打って付けの存在になるわ、その上でアタシの大親友だし、アンナの教え子だしね」
「アンナの教え子?」
ペーターが聞く。
「そうよ、バステトは元エインヘイヤルなのよ」
ハルシェシスは嬉しそうに答える。
「へ~、そうなのか」
ペーターは納得したような顔をする。
しかしながら、僕は祖母ちゃんがこの世界でかなり活躍していたんだという事を知り、驚きと尊敬の気持ちが更に深まった。
「さてと、バステトが住んでいるっていうのは、シヴァスって場所なんだろ、それはどこらへんだい?」
祖母ちゃんがハルシェシスに問い掛ける。
「アタシは解らないわ、だって、この国の住人じゃないし、ただ黒熊の衛兵さん達が北だって言ってたからそっちじゃない?」
「だから、そっちってどっちなんだい?」
適当な返答に祖母ちゃんが周囲を見ながら突っ込む。
「…………」
「おっ、あそこに、地図みたいなのが貼ってあるぞ、あそこに書いてあるんじゃないか?」
ペーターが塀に貼ってある案内みたいな物を指差す。
「そうよ、獣の国はちゃんとしてるから、初めて来た冒険者にも解りやすく書いてあるのよ」
取って付けたようにハルシェシスは言う。
そんなこんな塀に近づくと、それは確かに地図だった。
ご丁寧に城壁内の地域区分が書き込まれている。
「おや、上の方にシヴァスという地区が刻まれてあるねえ」
「そこだわよ、そこにバステトが住んでいるのよ!」
ハルシェシスが強く断言する。
黒熊たちは若しかしたらというニュアンスだったのに強引だ。
とにかく、僕等はそのシヴァスという地域へ向かう事になったのである。




