表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハンス・アンデルスンの異世界大冒険紀行  作者: Y・セイ
ーEpisode one カエルの王子様
13/96

act9  協力


「協力って私はどう協力をするのですか?」


 メアリーは戸惑いつつ問い掛けてくる。


「呪いを解くには、呪いを掛けた相手を倒す必要がある。あたしたちはこの後その呪いを掛けた魔法使いを探しに行くつもりなんだ」


「で、でも、倒すって、私なんて何の戦力にもなりませんよ」


「それは解っているよ、ただその魔法使いの元にはカエルになったヘンリック王子も連れていく事になる。彼、カエルになってしまって、更に国を取られてしまったみたいな状況で、メンタル的に弱っているんだ。なんで一緒にいて彼を励ましてあげて欲しいんだよ」


 この件は僕等の内々で決めた事だが、真実のキスの件に関しては伏せる事にしたのだ。


 変に意識されるのも困るし、拒否されても困るのだ。なので旅に同行してもらい、その旅の中で二人に互いを好きになってもらい真実のキスをしてもらう算段だ。つまり魔法使いを倒しに行きつつ、その行程の中で真実のキスもしてもらうという、二段構えの作戦だ。


「な、何故、私なのでしょうか?」


 メアリーは困惑した表情で聞いてくる。


「いやね、王子が、身の回りの世話をしてくれていた気心知れたメアリーさんが一緒だと、心が落ち着くっていうんだよ」


 祖母ちゃんはミカエルを見る。


「ごめん、メアリー、もしできたら私と一緒に来てもらえないだろうか? 私が居なくなった後の事も聞きたいし…… 君が一緒に居てくれると本当に心の励みになるんだよ……」


 ミカエルは細く気持ちの悪い目で見詰める。


 メアリーは少し考え込む。色々と思案している事が伺える。


「確かに王子様だったとするならば、いつの間にか自分の国や居場所や地位がなくなって戸惑われていると思います。凄くショックを受けている事でしょう。城の者で味方になって欲しい存在が必要なのも解ります。そして、貴方が本当にヘンリック王子だったら絶対に助けなければなりません。王位継承者は王子様なのですから……」


 メアリーは自分にも言い聞かすように言った。


「解りました。傍に仕えていた身として、補佐をさせて頂きます……」


 そして、決意を固めた表情で僕達に伝えてきた。


「本当かい? よかったよ、大変助かるよ」


 祖母ちゃんは喜色を浮かべお礼を告げる。


「ほ、ほ、本当かいメアリー、嬉しい! 私はとても嬉しいよ」


 ミカエルも嬉しそうに目を細める。実は格好を付けているのかもしれないが余り魅力的な目付きではない。


「で、でも、貴方が偽物だったら承知しませんよ! 偽物だったら焼きガエルにしますからね!」


 メアリーは厳しい目線をミカエルに送る。


「う、う、嘘なもんか! 本当だよ! 私はヘンリック王子なんだから!」


 ミカエルは必死になって訴える。


「……それで、どの位の期間の旅になりそうなのですか?」


 メアリーは祖母ちゃんに問い掛ける。動揺が解けて聡明そうな雰囲気が出てきた。


「そうだね、最低でも一か月は掛かると思うけど、もし、一ヶ月で魔法使いが見付からなかったら一回仕切りなおそうと思っているんだ。だから取り敢えずは一ヶ月位かな……」


 祖母ちゃんの説明にメアリーは頷く。


「解りました。城の方に言って、暇ををもらいます」


「メ、メアリーさん、城の方に暇願いを出す時には、カエルの王子の件はくれぐれも内緒だよ」


「解っています!」


 メアリーはキッパリと答える。


「そうしたら、明朝、国の北部へと出発しようと思っているんだけど、あたしらの泊っている宿屋に来てもらえるかな?」


「承知しました」


 そうして、僕らは城の召使であるメアリーに接触。そして思惑通り一緒に旅に出てもらう事を承知してもらった。


 いよいよ呪いを掛けた魔法使いの探索旅へと出発だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ