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♠アンデルセンログ 異世界見聞録  作者: Y・セイ
♠Episodeー five 人魚国と海の魔女
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act19  不可思議な魔法

 祖母ちゃんも、ハルシェシスも、バステトも、ペーターも、僕もダメージが強く立ち上がれず両手両膝を地面に付いている。


「ふん、弱い、弱いわね、この程度で、あたしをを倒そうだなんて、思い上がりも甚だしいわね」


「…………くっ!」


「さてと、どうやって始末してやろうかしら、大鎌で全員の首を刎ねようかしら? それとも串刺しにしようかしら?」


 そう呟きながら、何かを思いついたような顔をして、ビュルギャは嫌らしい余裕の笑みを浮かべる。


「あっ、ふふふ、良いことを思いついちゃった。そうしたら魂を奪う事を考えている段階で思い付いた魔法を試してみようかしら、まだ試作段階の魔法だけど、お前達がどうなろうと知った事じゃないしね、今後の為の実験体になってもらうわ」


「い、一体何をするつもりだい?」


 祖母ちゃんは顔を強張らせる。


「一、二、三、四、五人いるのね、一体どうなるのかしら? わたしにもよく解らないわよ、うふふふ」


 ビュルギャは大鎌杖を身構えた。そして、意味がよく解らない呪文をブツブツ唱え始める。


「……ソウル・フォランドリング!」


 詠唱が終わったと同時に大きな光の渦が僕達を包み込む。


「な、なんだよ、これ!」


「くっ、眩しいぜ!」


「う、うわあああああああああああっ!」


 光の渦が僕等を包み込み、僕は包まれた光の中で意識が遠のき、そして気を失った。


 何か不思議な感覚が僕の身に起こっていた。体が自由に動かない。そして、五感が正常に機能していないような感じだ。


 しばらくして意識が戻り始め、僕は薄目を開けた。何か見え方が違っていた。


「頭がふらつくわね」


 バステトが呟いた。


「ああ、何かぼんやりしてるぜ」


 祖母ちゃんが答える。


「参ったな、何かされたのか?」


 僕が呟いている。僕?


「えっ、な、なんで僕が其処にいるの?」


 僕は眼前の僕を指差した。


「僕がそこにいるだと? ハンス、何言っているんだ俺は俺だぞ! って、何でだ、俺がそっちに居るぞ!」


「えっ、あたし、あら、あら、あら、なんであたしがペーターのダガーナイフを持ってるんだい?」


 僕等は大混乱だ。


「あはははははは! 入れ替わったね、魂が見事に入れ替わったじゃないか! お前達が混乱している様子が滑稽だよ! とても滑稽さ!」


 ビュルギャは僕らの様子を見ながら大笑いしている。


「も、もしかして、あたし等の中身が入れ替わっちまったって事かい?」


 祖母ちゃんのような言い方でペーターが言及する。


「そうみてえだな、俺っち先生になっちまっているし……」


 祖母ちゃんの中身はバステトになっているようだ。


「僕は中身はハンスなんだけど、外身はハルシェシスになってるよ」


「アタシはバステトちゃんになっているわ、毛がふわふわよ、気持ちが良いわ」


 バステトの中身はハルシェシスみたいだ。


「参ったぜ、これは、俺はハンスの肉体の中にいるみたいだぞ」


 ペーターは僕の肉体の中にいるようだ。


 兎に角、肉体と魂が入れ替えられてしまったようだ。


「ふふふふふ、ようやく理解したのかい、そうさ、お前達の心と体は入れ替わってるんだよ、そして、お前達、それが何を意味するか解るかい?」


「そ、それは、どういう意味だい?」


「つまり、お前達は更に弱くなったって事だよ、心と体が一致しなきゃ、力なんて発揮できないだろ? お前達はちぐはぐな動きしかできないって事さ、そんなカスみたいなお前達にそろそろ止めを刺してやろうかね~ 魔法の実験は成功したし、お前達は用済みだしね」


 薄気味悪い笑いを浮かべながらビュルギャが大鎌を肩に載せた。


「み、皆! 構えな! ビュルギャが襲ってくるよ!」


「こ、こんな状況でかよ、やべえぞ!」


 バステトも緊張感を滲ます。


「喰らいな!」


 凄いスピードで間を詰めて来たかと思ったらバステトに襲い掛かる。


「くっ、バステトちゃんの体しなやかだけど、ち、力がそこまでじゃないわよ!」


 サーベルを使ってビュルギャの大鎌をいなそうとするも、捌ききれず肩口や腕に攻撃を喰らってしまっていた。


「ハルシェシス! お前何やってんだ! 俺っちの体に攻撃を喰らっちまってるじゃねえか!」


 祖母ちゃんの姿のバステトが援護にとばかりに近寄ってくる。だがバステトには魔法は使えない。


「どうすりゃ良いんだ! ヴァーヴェル・フラム! ヴァーヴェル・フラム! ヴァーヴェル・フラムか!」


 杖を振るって呪文を唱えるも、何も出ない。


「くっ、出ねえ、何も出ねえぞ!」


「そりゃ、出ないよ、あたしが呪文を唱えないと」


 そう言及しながら中身が祖母ちゃんのペーターがダガーナイフの剣先をビュルギャに向ける。


「ヤイ・セイダマズル・アースメギン・ガストル・ゲイルエルダー!」


 剣先から炎の槍が放出される。


「出た! だけど、全然弱い! 威力が無さ過ぎるよ」


 迫力がない炎の槍がビュルギャに向かうも、大鎌杖で簡単にいなされてしまう。


「効かないねぇ、こんな程度の攻撃じゃ……」


 ビュルギャは蔑むような視線を僕等に送ってくる。


「もうそろそろ飽きてきたね…… もう終わらせようかね」


 ビュルギャが大鎌杖を再び構える。


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