act18 攻防
「煩いね、煩いね、邪魔だから、さっさと始末してやるよ」
ビュルギャは大鎌と魔法の杖が相まったような武器を手にした。死神の鎌の刃の根元に魔法玉が付いているような感じだ。
グルグルと大鎌を回したかと思うと、肩に載せるような構えをする。
「皆、気を付けな、あいつ、強そうだよ! 前衛はハルシェシスとバステト、ペーター。後方支援はあたしとハンスだ」
僕等はすぐにフォーメーションを組む。
「きええええええええっ!」
ビュルギャが叫び声と共に大鎌を振り翳してきた。魔法の杖としての効果と大鎌としての効果が重なっているのか、大鎌の刃状の波動が大鎌の振りより先行して飛んでくる。
「な、なによこれ!」
大鎌の攻撃を受け止めようとバスターソードを構えるハルシェシスなのだが、刃状の波動はバスターソードを擦り抜けハルシェシスを襲う。
「うわあああああああああっ!」
ハルシェシスは眼前紙一重で刃状の波動を躱した。
しかし、もう一度その技を仕掛けられたら避けられるかどうか解らない。
「喰らいな!」
グルグル大鎌を振り回して刃状の波動を幾筋も飛ばしてくる。ハルシェシスだけでなく全員に無数の波動が襲い掛かってくる。
「うお! マジかよ、これ避けきれるのかよ!」
バステトが叫ぶ。
「こ、このままじゃ、やばいね、魔法で防御シールドを張るよ」
祖母ちゃんは杖を構えると呪文を唱え始めた。
「ヤイ・セイダマズル・アースメギン・リヒフ・ヒミンブリュンヤ・ヴィタドール!」
僕等の前方約五メートル程の所に光る半球体の防御幕が形成された。刃状の波動は弾かれその防御幕によって阻まれる。
「ちっ、あの赤毛女、魔法使いかよ! だったら!」
ビュルギャは低く構えたかと思ったら、こちらに向かって物凄いスピードでジャンプしてきた。
「直接切り裂いてやるよ!」
半球体の防御幕に接近すると、鋭利な大鎌で防御幕を直接切り裂き越えてくる。
「こ、超えた! やばいぜ!」
ビュルギャは前衛3人の眼前に迫ると大鎌を横一線に振るってくる。ガキンという音がなり大鎌の動きが止まった。
「そうそう好きにはさせないわよ!」
ハルシェシスがバスターソードで大鎌を受け止めている。
「ちっ、中々動きが速いじゃない! でもね!」
ビュルギャは大鎌をグルグルと回しバスターソードを弾くと、至近距離から再び刃状の波動の波動を繰り出してきた。
「喰らいな!」
「やばい! こ、こんな至近距離で!」
正直防御が間に合わない。
僕等は全員身を丸め防御態勢をとる。しかし刃状の波動の勢いに負け、我々全員は後方に吹き飛ばされた。
「ぐっ、ぐううううううううううっ」
バステトとペーターは尻餅を付き、ハルシェシス四つん這いになっている。僕と祖母ちゃんは辛うじて杖とクロスボウを杖にして立ちあがるが、フォーメーションは完全に崩壊だ。
「み、皆、大丈夫かい?」
祖母ちゃんが声を掛ける。
「や、やべえ、ハルシェシスが大きいのを喰らっちまった」
バステトがハルシェシスを見ながら声を上げる。
四つん這いになっているハルシェシスの胸辺りから血が滴り落ちていた。
「強い…… 想像以上に強いね…… あれで怪我しているとか本当なのかい?」
さすがの祖母ちゃんも弱気な言葉を口にする。
ハルシェシスは何とか四つん這い状態から立ち上がった。胸には斜めに大きな切り傷が付いている。
「大丈夫かい、ハルシェシス」
「な、何とかね、しかし、アイツ運動性能が高いわよ」
「そうみたいだね」
「どうするの?」
「どうしようかね……」
祖母ちゃんは眉根を寄せる。
「とりあえず体制を整えてから、攻撃に転じよう。受けてばかりじゃ正直凌ぎきれないよ」
「先生、どうする気だよ?」
バステトが問い掛けてくる。
「そうしたら、あたしが拘束魔法であいつの体を止める。そして、そこに皆で一斉に攻撃を仕掛ける」
「拘束できるのか?」
「多分すぐに解かれちまうだろうね…… でも、数秒は止められる筈だ。その瞬間に四方八方から攻撃を喰らわせるんだよ」
「なるほど……」
「じゃあ、いくよ、散開しな」
「ああ」
祖母ちゃんは杖を構える。僕等はビュルギャを取り囲むようにポジションを取る
「……いくよ、ガストル・アースメギン・ディュルズ・バー……」
「むっ、体が動かない! 何だ、拘束魔法か? 生意気な!」
ビュルギャは拘束を解こうと力を込めている。
「今だ! 掛かれ!」
僕は遠方からクロスボウを放ち、ハルシェシス、バステト、ペーターは武器を身構え襲い掛かる。
「むっ、むううううううううう! ぬがっ!」
戒めを無理やり弾き飛ばし、ビュルギャは大鎌を振り回す。
「させるか! 雑魚共め!」
皆の攻撃が当たる前に、無数の刃状の波動が飛び散る。
「うわああああああああああっ!」
僕等は再び弾き飛ばされた。
「く、くっ、想定以上に強かったわね……」




