act14 海の魔女との問答 2
返事をせずに、ただ睨みつけるばかりのビュルギャに祖母ちゃんは更に声を掛ける。
「そのビュルージャ・バートリーという人物は北ミズガルズ地区でギュムナシオンという学校の学園長をしていた人物らしいんだ。そこで、生徒の命を触媒にして、自分の魔力を高める実験をしていたと……」
聞いているビュルギャはイライラとした様子を顔に滲ます。
「しかし、その非道行為に気が付いた生徒の一部がその真相を暴き、ビュルージャ・バートリーを問い詰めた。だけれども、問い詰められたビュルージャは逆上してその生徒を魔法で殺そうとした。しかし、その生徒は反射呪文で魔法を跳ね返した事により、逆にビュルージャは大怪我を負ってしまったという事なんだよ」
「それで、お前は何が言いたいの?」
ビュルギャは小首を傾げる。
「その生徒の名前は、マシュー・バリーという名前で、魔法を反射しきれなかった為に魔法を受けて死亡してしまった。実は、そのマシュー・バリーはあたしの仲間のペーター・ポーンの大親友で、ペーターはマシューの仇打ちをしようとビュルギャを追っていたんだよ」
祖母ちゃんは紹介するようにペーターに手を向ける。ペーターは薄笑いをを浮かべながら顔を上げ前に出てきた。顔から興奮の色が滲み出ている。
「久しぶりですね、バートリー学園長」
「はあ? 何を言っているんだい? バートリー学園長? あたしは海の魔女のビュルギャだよ、何か勘違いをしているんじゃないかい?」
「いや、あんたはバートリー学園長だ。その胸の傷はマシューが跳ね返して付けたものだ。あんたは俺の事を覚えていないかも知れないが、俺はあんたの事を良く覚えているよ」
「…………」
ビュルギャは押し黙る。そして、しばらく考えた様子を見せてから再び口を開いた。
「じゃあさ、いずれにしても、お前達は、あたしを仇として退治しようと思って此処へ来ったって事かい?」
ビュルギャの問い掛けに祖母ちゃんは頷く。
「あんたがビュルージャ・バートリーだったとしたら、そうなるかな…… ペーターの仇打ちもあるし、色々と企みの匂いもするしね……」
「ふっ、ふはははははははははははは、そうかい、そうかい、お前達はあたしを殺そうと思って来た訳かい、参った、参ったね」
ビュルギャはビュルージャ・バートリーとは認めないまま、僕等の意図や行動を笑った。
「あたしが誰だという事は一旦置いて於いて、あたしを殺そう、退治しようと思って此処へ来たってっていうのはとっても不快だね、あたしは今、遺憾な気持ちで一杯だよ。このあたしを退治しようだなんてね……」
「まあ、敵討ちだからね、何が何でも一矢報いたいんだよ」
それを聞いたビュルギャは大きなため息を吐きながらアクアを見た。
「しかしながら、アクア王女、あんたも酷いね、あんたの悩みを解決しようと尽力したのに、あたしを退治しようって輩を此処まで連れて来るなんて」
「わ、私は、薬の事を聞きたくて来ただけです。でも、アンナさんやペーターさんが言っている事が真実なら、ちゃんと話を聞いておきたい…… この国の王女として……」
「…………ちっ、あたしから受けた恩も忘れたのかい……」
ビュルギャは気に入らないといった表情を浮かべる。
「……仕方が無いわね、じゃあ、告白するわよ、ご名答よ! そのビュルージャ・バートリーって人物は過去のあたしだよ、良く辿り着いたわね」
大きく息を吐きながらビュルギャは告白する。
「認めたな」
ペーターは目を剥く。
「ただね、一つ言わせて、あたしは大怪我をしてしまったの、そして、大怪我をして深く反省をしたのよ、あたしの過去の罪をね。そして反省をして引退をして此処に自らを幽閉したの。でも困った事に怪我が酷くて中々治らない、酷い事をした罰を受けたとあたしは思っているわ、そして何年も何年も痛みが続いて苦しんでいるのよ」
何やらビュルギャは反省と怪我人アピールをし始めた。
「だから、この島に立ち寄った事があるフック船長に傷が治ると言われているアダーストーンとエリクサーを探してもらっていたのよ、苦痛から解放される為にね」
ビュルギャは自分の肩から腹にかけて袈裟状に巻かれた包帯を指差しながら訴えてくる。
「だから、見逃せとでも言うのか?」
ペーターは怪訝な表情をする。
「お前達は、怪我人を更に鞭打つのかい、あたしは既に罰を受けているんだよ」
「いや、そんなのは罰じゃない。単なる自業自得の結果だ」
ペーターは顔を横に振り認めないという意思を示す。
「あたしを許せないのかい?」
「ああ、仲間だったジョン・ダーリングの死とマシューの死を、お前の死を以て償ってもらおう」
ペーターは厳しく言った。
「ふははははははははははははっ、駄目かい、許してもらえないのかい、それは残念だね、じゃあ仕方が無いから抗わせてもらおう」
開き直ったような雰囲気でビュルギャは言及した。




