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♠アンデルセンログ 異世界見聞録  作者: Y・セイ
♠Episodeー five 人魚国と海の魔女
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act12  ビュルギャ・コシチェイ 

 岸壁の船が寄せられそうな部分にカシオスの船は近づいていく。


「あそこに接岸するんで、帰りもあそこに止めるから、今日の夕方と明日朝のどちらかにはあそこに来てくれよ、俺はそこであんた達を待っているから」


「ああ、解った、宜しく頼むよ」


 船はゆっくりと接岸する。


 そうして、いよいよ僕等は島へと上陸を果たした。噂通り植物が殆ど育つことがなさそうで岩肌剥き出しな荒涼とした島だった。


「ねえ、カシオスさん、海の魔女はどこら辺にいるんだろう? 知ってたら教えて欲しいんだけどさ」


 祖母ちゃんは辺りを見回しながら問い掛ける。確かにどこに向かって行けば良いのかよく解らない。


「いや、申し訳ないが、俺は島の真ん中までは行ったことがないから、此処からはちょっと解らないよ……」


 カシオスが話し終えるか終えないかのタイミングでアクアが声を上げる。

 

「先生、それに関しては私が知っているから大丈夫よ。このまま外周を左の方に進んで行くと、島の真ん中に向かっている細道が見えてくるの。それを辿って行くと海の魔女の居場所の方に行けるのよ」


 アクアがは指を差し説明してくれる。


「どうやら王女様が知ってそうだから、この先は大丈夫だな」


 カシオスは長く島に留まって居たくないのか、そそくさと船に乗り込んでいく。


「此処まで送ってくれてありがとう。帰りも宜しく頼むよ」


 祖母ちゃんがカシオスに声を掛ける。


「ああ、了解だぜ」


 そう答えながら、カシオスは岸から離れていった。


「じゃあ、アクア、海の魔女のところまでの引率を宜しく頼むよ」


「は、はい」


 僕等は岩場伝いに島の中央に向かって進んで行く。


「因みに、アクア、早速で申し訳ないけど、海の魔女の居場所って、城みたいな感じかい? それとも洞窟みたい感じなのかい?」


「洞窟みたいな感じよ、小山があって側面に穴が開いていて、そこから入って行くのよ」


「ふっ、いかにもって感じなんだね」


 祖母ちゃんは軽く笑う。


「兎に角、洞窟の中にビュルギャ様の住処があるって感じです」


「成程だよ」


 僕等はアクアの先導に従い島の中央へと進んで行った。


 崖と崖の間のような道を進んで行くと、説明通り山が見えてきた。そして、その側面にぽっかりと穴が開いている。


「そこの中です」


「ああ、了解だよ」


 正直な所一人だったら入り込みたくない雰囲気がたっぷりだった。


「じゃあ進むよ、いいかい、ペーターは冷静に、アクアはビュルギャに惑わされたり騙されないように注意して!」


「了解」


「はい先生」


「それで、バステト、ハンス、ハルシェシスはいざという時、戦力として頼むからね」


「了解よ」


「了解だ」


「うん」


 皆はそれぞれ返事をする。


 いよいよだ。僕等は周囲を警戒しながら洞窟へと足を踏み入れた。


 しばらく洞窟路が続いた先に広い空間があった。そこは大きな部屋といった様相で、壁には大きな本棚があり紫色や緋色、はたまた黒い怪しげな本が沢山並べられていた。


 また、実験道具なのか緑色の怪しい液体が大きなフラスコのような容器に収められている。いかにも魔女の部屋といった雰囲気だった。


「こんにちは、ビュルギャ様、私です。アクアです。ちょっと聞きたいことがあってやって参りました」


 一度来たことがあるアクアが声を掛けた。


「ふふふふふ、アクア、変な奴等を連れてきたんだねえ、ちょっと困るわよねぇ」


 ネットリとした口調がどこからともなく聞こえて来る。


「ビュルギャ様?」


 大きな瓶の裏から、ガッチリとした体形の女性が姿を現した。大凡の雰囲気は他のコシチェイと同じで黒髪に赤い目、そして灰色の肌をしている。傍にはゴブリンのような者が二名付き従っていた。


 ビュルギャの体形は今まで会った他のコシチェイに比べ一番大きな体付きをしていた。そして、片肩から脇腹に掛けて袈裟懸け状に包帯のような物が巻かれている。あれは傷の痕跡なのだろうか?


「そいつらは一体誰だい? あたしに聞きたい事って何だい? そして此処まで態々何をしに来たんだい?」


 何か心を見透かされているような雰囲気があった。解っていて敢えて質問をされているような感じだ。


「一緒に来た方々は冒険者で、私に恋愛のアドバイスや協力をしてくれた人達です。この方々もビュルギャ様に聞きたいことがあるとかで連れて来ました」


 ビュルギャは僕等を訝し気に見詰める。ペーターは敢えて顔を伏せている感じがあった。


「ふ~ん、それで聞きたい事って何かしら?」


 まだ戦いという訳ではなく質疑応答の段階だが、恐ろしい程の緊張感が襲ってくる。


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