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護衛騎士の過去 学園に向けて

あれから5年‥‥


ガタガタガタガタ!

王家の紋章の入った馬車が学園に向かっている。


今日はアルベルトとジークの貴族学園の入学の日なのだ。

そんな晴れの舞台の日に駄々を捏ねている者がいた。


「アルベルト様!もう諦めてください」



「やだ!やだ!やだ!行きたくない‥‥学園嫌い!貴族嫌い!面倒臭い!これから6年間通うのしんどい!前世で十分味わった!もうお家帰りたい‥‥」



「前世で経験してるからそんな事言えるんです。私はとても楽しみなんですよ。だって、義父から解放されるんですから」


ジークは満面の笑みで答えた。

義父とはカリュックのことだ。

ジークはアルベルトの側近になるため当主カリュックのフリューク侯爵家に実子として入った。カリュックと愛人の子という設定にしたのだ。

残り3人の兄弟も実子という設定だ。もちろん皆暗部の構成員である。

ジークはカリュックからの厳しい暗部教育から解放され心晴れやかなのだ。



「‥‥前は狂犬みたいにワンワン吠えて文句ばっか言ってたのに‥‥はぁ〜っ、もうジークは立派な私の側近だよ‥‥」


アルベルトは皮肉混じりに言った。そして脱力し馬車の小窓から空を眺めていた。ジークをこんな忠実な側近にする気ではなかったのにと‥‥


「お褒めいただきありがとうございます。私はアルベルト様に忠誠を誓った騎士ですので」


ジークには皮肉が効かなかったようだ。


「その喋りも気にくわ〜ん!!あの頃のジークはどこいったんだ!!ぐぬぬぬぅ、全てカリュックの教育のせいかっ!許さんぞ〜っ!生意気だった頃のジークを返せ〜っ!」


アルベルトはカリュックの教育によって粗暴であったジークがカリュックによって忠誠を誓わされ変わったと思っている。

だが実際は違う。ジークは自ら忠誠を誓ったのだから。


(ふふっ、じじぃは関係ないんですがね。3年前、あなたに守られ自分の願いを叶えられた時から私は一生アルベルト様にお慕い続けると決めたのですから。表向きはアルベルト様の騎士として、裏では暗部の影としてお守りりするために)

※心の中では義父をじじぃと呼んでいる。


「ハァハァハァ‥‥騒いでいたら疲れてきた」


「こんなことで疲れないでください。これから忙しくなるんですから。はい、これが不正を働いている貴族の令息、令嬢のリストアップです」


アルベルトは不正リストの資料を受け取ると、食い入るよう、ものすごいスピードで資料を読み始めた。貴族がどんな不正、犯罪行為に手を染めているのかを頭の中にインプットしているのだ。


パラパラパラパラ、30分以上資料の擦れる音だけが聞こえていた。


「‥‥‥‥‥」

そしてアルベルトは資料を整え顔をあげだ。


(おぉっ!さすがアルベルト様だ!もう覚えら‥‥)


「‥‥こんなにいるの?覚えきれないんだけど‥‥無理」


(れてないようだ‥‥)


「‥‥さすがアルベルト様ですね」


「皮肉りやがって!悪かったね、期待に添えられずに!もう無理だから半分ずつにしようか。はい、こっちはジーク覚えて」


アルベルトは全部覚えるのを諦め、半分ジークに渡したが返された。


「もう、覚えているので大丈夫です」


「あぁ、そうですか‥‥もうジークが覚えてるんだから私は覚えなくていいよね!」

プィと横を向き不貞腐れているようだ。


「その資料は自分と影達と調べたんですから、覚えてるのは当たり前です。でもさすがですね!この短時間で半分も覚えられたんですから!」


その言葉を聞き気をよくしたアルベルトは‥‥


「お、おぅ、そうか!すごいか!私もそう思っていたんだよ!」


「すごいに決まってますよ!」


「えへへ」アルベルトはジークに褒められ照れている。



(相変わらずアルベルト様はチョロいな)


「ジーク!今チョロいなって思ってただろ!」


ギクゥ!

(こういう事には鋭いんだよな。じじぃの暗部教育で顔には出ないよう訓練されているんだけどな)


「そんな不敬な事一切思っておりません」


「本当か?まぁ、許してやろう!これから忙しくなりそうだしね。

だって、この資料に書かれている貴族は全員処罰しないといけなくなるし。

‥‥ふふっ、この学園の生徒がどのくらい減るのか楽しみだ!」


アルベルトはニヤリと笑った。



(ひぃ!アルベルト様は普段ちゃらんぽらんだけど、たまに、じじぃみたいに怖くなるんだよな‥‥)


ガタン!場所が止まった。学園に到着したようだ。


「着いちゃったか。しょうがない学園に行くか。ジーク!私に敵対する者や下心丸出しの奴らが近づいて来るだろうが私が命令するまで先に手を出すなよ」


アルベルトは気を引き締めた。なんてたって、この学園にはアルベルトの敵しかいないのだから。


「御意」

ジークも護衛件、影の仕事モードに入った。アルベルトの身を守る為に。

 

「さぁ、始めるか‥‥汚い者はさっさと処分しないとな‥‥絵梨花が現れるまでに」


(ふふっ、アルベルト様は変わらないお方だ。全ての行動原理はエリカ様なんだから)



この頃のジークはアルベルトの前世を信じきっている。必ずアルベルトの前世の妻、絵梨花がいつか現れることを‥‥そして15年後、この学園の卒業パーティーで絵梨花を見つけるまで探し続けるのだ。


「御意」


忠実なる臣下として‥‥







◆◆◆

追加情報




ジークの空白の5年間、学園での生活、アルベルトはどうして前世の妻が転生してくるのがわかっていたのか、なぜ貴族の不正を許さないのかを新たにアルベルト目線で連載で書きたいと思います。




読んで下さりありがとうございます。

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