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護衛騎士の過去 アルベルトとの出会いのお話

私はジーク・フリューク27歳。表向きはフリューク侯爵家4男として産まれたことになっている。

本当の私‥‥俺はスラム街で産まれた。両親は貴族のお遊びで殺された。それから俺は1人で生きてきた。憎き仇の貴族を探すため、

貴族の家に忍び込み盗みを働き稼いでいた。

そんな時、物凄い豪華な屋敷に忍び込んだ。何か手がかりがありそうだと。そこに第二王子が住んでいる屋敷とは露知らず‥‥ここからジークの人生が一転する‥‥アルベルトに出会ったことによって‥‥


 誰もが寝静まった頃、ジークは難なく屋敷の中に忍び込み、金目の物がありそうな部屋に入った。そこにはジークと同じぐらいの少年が待ち構えていた。


「カリュックの言う通りだね!君すごいよ!この警戒網を掻い潜って私の元に来るなんて!」


その少年の雰囲気は子供ではなかった。そして少年の髪色を見てジークは一気に血の気が引き青白くなっていった。髪が金色なのだ!金の色は王族にしか現れない、この国に住んでいるなら誰でも知っている。


「ちぇっ、王族かよ。変な場所に忍び込んじまったな。はぁ〜っ‥‥痛い思いしたくなければ金目の物を渡しな」


俺はさっさと盗んでトンズラしようとした。

もし少年に騒がれ捕まったら殺されるんだから命懸けだ!


「へ〜っ!私と同じ歳ぐらいなのに肝が据わってるね!カリュック」


「御意」


「グェ‥‥っ!」


ジークは執事服の男に倒された。

さっきまでは俺と少年しかいなかったのに‥‥


「離せ〜っ!痛ててててっ〜」


カリュックは腕を締め上げた。


「容赦ないねカリュックは!まだ子供なんだからお手柔らかにね。

ところで、君の名は?」


「‥‥痛ててててっ〜!話すから離せ!」


名を名乗らないからカリュックは再び締め上げた。


「もう離してあげて。色々と聞きたい事あるから」


「御意」


主人の命令ですぐに離した。


「‥‥ジークだ」


「格好いい名前だね!それでジークは何で盗みなんかしてるの?両親は働いてないの?」


「俺の両親は貴族に殺されたんだ。何もしていないの殺されたんだ!俺の目の前で!だから俺は貴族の屋敷から盗みを働いてその貴族を探してる!いつか父ちゃんと母ちゃんの復讐のために!だから俺はまだ死ねないんだ!」


「その格好からして孤児だとは思ってたけど‥‥やはりこの国の貴族は腐っているな。早めに対処しないと絵梨花が住みにくい国になってしまうな‥‥ジークは隠密の才能あるし、ちょうど僕と同じぐらいの側近を探してたんだよ。カリュック!あとは教育頼んだよ」


「御意」


「えっ!殺さないのか?お前は王族なんだろ!キャン!!」

またカリュックに押し倒された。主人に不敬を働いたからだ。


「カリュック!このぐらいの言葉でいちいち倒さなくていいから!可哀想だろ!これから私の側近になるんだから」 


「申し訳ありません」


御意以外喋れるのかよ!コイツ絶対普通の執事じゃないよな‥‥

こんな奴に俺は教育されるのかよ‥‥


「いいよ、その喋りで。堅苦しい喋りだと疲れるしね。私はアルベルト、この国の第二王子だ。ちなみに8歳だ!見えないだろ?実はね、前世の記憶持ちで精神年齢は30超えてるから!ふふっ、私が王子だって驚いてるね!」


「そこに驚いてないから!王族だって髪の毛見れば分かるし!驚いてるのは前世持ちだって所!普通、頭おかしいって思うだろ!!」


「ハッハッハッ!確かに!だから王宮から追い出されたんだけどね。兄上とカリュック以外は信じてくれなかったんだよ。まぁ、この方が自由だし、絵梨花を探しやすいしね」


「まぁ、普通は信じないよな‥‥さっきから気になるんだけど!エリカって誰だ?」


「前世の妻だよ。この国に絵梨花が転生してくるんだって!まぁ、いつになるかわからないけどね」


「そうか、会えるといいな」


「えっ!こんな話し信じてくれるの!」


「信じてはいないけど気持ちはわかる。俺も父ちゃんと母ちゃんに会いたいし‥‥まぁ、お前の側に入れば親の仇が早く見つけられそうだしな‥‥それまでは側にいてやるよ」


「ハッハッハッ!いいよ!それまでは側にいてね。これからよろしくジーク」


アルベルトは右手を差し出した。そして‥‥


「ふん」


ジークは恥ずかしながらアルベルトの右手を掴み握り合った!



これがジークとアルベルトの出会いだ‥‥今のジークは思っていないだろう‥‥これから長い付き合いになることを‥‥


「アルベルト様!早速、此奴の教育に入ります。暗部として数年で一流の影に育ててみせます。では」


「‥‥暗部?影?ちょ、ちょっ!じじい離せ〜〜〜〜っ!!説明しろ〜〜〜っ!」


そのままジークはカリュックに連れ去られていった。ジークはアルベルトの侍従か執事見習いになると思っていたのだろう。だが暗部だと聞き、危機感を覚えたのだ。

王家の暗部といったら、老若男女に恐れられている組織なのだ。暗部の影に出会ってしまったら必ず殺されてしまうのだから‥‥


これからジークは厳しい訓練の末、最高の影として育ちカリュックの後任に指名されるほどになるのだ。


「頑張れよジーク、俺の為に(・・・・)、これから腐った貴族らを消していくんだから‥‥そうすればジークの仇にも辿り着くだろうしな……

絵梨花‥‥もうちょっと待っていてくれ。絵梨花が現れるまでこの国の掃除しとくからな」


誰もいなくなった部屋でアルベルトは本来の口調で呟いた。さっきまでの優しい口調ではなくなっていた。

この時のアルベルトはただジークを利用したいだけだった。

だが、後にジークはアルベルトにとって大切な存在になっていく。

この時のアルベルトはまだ知らない。



読んで下さりありがとうございます。

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