まだ可哀想なデュークのお話
誤字報告ありがとうございます
どうもお久しぶりです。デューク・ヴェントン男爵22歳です。
あれから3年経ちました‥‥まだ父を殴りに行けていません。
今では平穏な日常を過ごしていますが、3年前のスカッシュ伯爵家は大変でした。父の手紙に書いてあった通りに大変でしたね‥‥精神的に。
3年前の話しに戻りますね。
あの時の馬車の中でおじさんが私に縁深い人がスカッシュ伯爵邸で待ってると言われました。おじさんは誰だか教えてくれず、サプライズで教えられないと。もしや!エリンではないかと!私はスカッシュ伯爵邸までドキドキしながら馬車に揺られていました。
そして、到着し貴賓室に案内されたらなんと!!私にとって恐ろしい方がいたんです!
ガチャ!侍従に扉を開けてもらい、部屋に入った瞬間、私のドキドキはなくなり、逆に心臓が止まった(止まってません)なぜなら、そこには‥‥
「初めましてかな?私はアルベルトだ。君はエヴァ嬢に婚約破棄をした彼の兄だね」
「‥はい、お初にお目にかかりますアルベルト公爵様。私は男爵のデューク・ヴェントンです」
(ぎゃあぁああ〜〜!!)
自分の心の中で叫んでいた!表面上の私は冷静さを装った。頭をフル回転させ今の現状を考え、結論が出た。
‥‥‥おじさん騙したなぁ!たしかに縁深いよ!ニックが危害を加えようとしたアルベルト公爵だもん!それでヴェントン家は地に落ちてしまったんだから!
それより、どうして伯爵邸にいるんだよ!‥‥もしかして私を捕まえるため待ち構えていたのか!!これがおじさんのサプライズか!!)
私はおじさんの方に顔を向けた。首をブンブン振っている。違うみたいだ。私はホッとした。これ以上人間不信にならなくて済んだのだから。
アルベルト様にヴェントン家として謝罪するため、ジャンピング土下座をし許しを請うた。周りから大層立派な土下座に見えたでしょう。アルベルト様の騎士がパチパチと小さく拍手してるし。
「弟ニックの不敬、大変申し訳ありませんでした」
(ここで私は捕まるんだろう。ごめんなさいおじさん、教師になれそうにありません。グスン‥ニックよ‥‥兄もお前の元に行く‥‥待っていてくれ‥‥)
※まだニックは死んでいません。
デュークは勘違いしてる。アルベルトはエヴァに会いに来ただけなのだから。決してデュークを捕まえに来たわけではない。
「面を上げよ、もうヴェントン家には罰が下っている、これ以上のことはしないから安心してくれ」
(良かった〜!ニックすまん!まだ兄はそこには逝けん!もう少し母と一緒に待っていてくれ)
※まだ母オリビアも死んでいません。
顔を上げたが、とても気まずい雰囲気だな‥‥どうしよう?
おじさんも同じ様な状態だし。
そこにデュークとレイモンドの救世主エヴァが現れた。
「どうでした。ニックと違い真面目で誠実な方だから心配ないでしょ」
淑女の鑑と呼ばれていたエヴァがアルベルトに対し砕けた口調で喋っている!
デュークは目が点になり驚愕した。
「ふむ‥‥合格だ」
何が?私は何に合格したんだ!
おじさんは首をブンブン振っているから知らないのだろう‥‥もしかしておじさんはアルベルト様がこの屋敷に訪れてる事を知らなかったのか?今度は首を縦に振っている。
おじさん‥‥私何も喋ってないよ!以心伝心じゃん!おじさんと私の間に以心伝心スキルを獲得した。
※この世界には、魔法、スキルの
ない世界。ただデュークが妄想しているだけです。デュークはそのような世界の小説が大好きなのだ。
その合格のおかげでスカッシュ伯爵のお仕事の手伝いを出来ることになり離れに住まわしてもらう事ができました。
当主はおじさんなのに決定権はアルベルト様にあるようだ。王弟には逆らえないよね。
それからアルベルト様は頻繁にこの屋敷に訪れおじさんを困惑させた。エヴァちゃんに婚約を申し込んだ時なんて白目を剥いて気絶してたね。
そして現在に戻る。
月日が流れ学園を創立することができたのだ!
「坊ちゃま、とうとうこの時が来ましたね!じぃは嬉しく思います」
涙をハンカチで拭ったセバス。
そう!このセバスがおじさんのサプライズだったのだ!
セバスは長年ヴェントン家に仕えてた執事だった。私が小さい頃から私の世話をしてくれ信頼できるじぃだ。
嬉しいけどセバスじゃなく、エリンがよかったと当時思ったが今ではセバスが側にいてくれて良かった。
セバスはヴェントン家から退去しなければいけなかったので泣く泣く解雇した。もう歳だからたんまりと退職金を渡した。老後に困らないようにと。だがセバスは父に頼み込み、おじさんに雇われていたのだ。
退職金少し返してくれないかな?
自分のお金も足しちゃったんだよね。セバスに話しても、いつも話しを逸らされるからもう返ってこないだろう。
「セバス!もう私は22だぞ!坊ちゃん呼びは止めろ!今日から教師になるんだから生徒の前では名前で呼ぶ様に」
「‥‥まだまだ坊ちゃんですよ。早く結婚していただければ名前で呼びましょう。
さぁ、当主様がお待ちしておられますので行きましょう坊ちゃん」
そうだな!早く行くか!さぁ、学園に。
おじさんは創立者として、私は教師として。
そして後にデュークは庶民の英雄として慕われる貴族になるのだが
この時のデュークはまだ知らない。
◆◆◆
さて、セバスから坊ちゃん呼びを止めさせるためデュークに新たな婚約者は現れるのだろうか!?
たぶん次回現れます。
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