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可哀想なデュークのお話

短編]婚約者が婚約破棄としょっちゅう言うから本当に婚約破棄します。後悔しても遅いですよ。を先に読んでいただけると話しがよりわかると思います。



どうも次期ヴェントン侯爵のデューク19歳です‥‥すみません間違えました。デューク・ヴェントン男爵19歳です。

妻のエリンと新婚旅行から帰ってきたら侯爵から降格して男爵になって領地も取り上げられました。

そして妻からは‥‥


「デューク様‥‥実家に帰らせてもらいます」


その言葉を残し実家の伯爵家に帰っていった。もう絶対帰ってこないじゃん!帰ってきて〜〜。あ!でも帰る所ないや!あと3日で屋敷からの退去命令出てたわ。


きっとエリンとは離婚するだろう。そしてこちらの瑕疵で慰謝料も取られる。元ヴェントン侯爵家に仕えていた使用人達にも退職金払わないといけないからお金なんてすぐになくなるだろう。あとニックの不貞相手の男爵にもやらないと駄目だろうな。ニックの子がいるんだし。はぁ〜(溜息)


父は責任をとって私に当主を譲り、田舎の小さな家で隠居している。私に丸投げして逃げたのだ。

当主って!ただ名ばかりの男爵譲って貰っただけで財産もないじゃん!



破滅の原因はニックが卒業パーティーでエヴァちゃんに婚約破棄したのが我が家の破滅の始まりだ。私の弟、馬鹿なの!?王家主催のパーティーでやる?‥‥やりそうだな我が弟なら。

それでエヴァちゃんが婚約破棄を了承した。当たり前だよね。

で、慌てたニックが婚約破棄の撤回を求めたらしい。馬鹿じゃない!!もう無理でしょ!撤回なんて!こんな入婿いらないでしょ。

挙げ句にはスカッシュ伯爵家の次期伯爵になれると本気で思っていたらしい‥‥それを聞いた時は呆れて言葉に出なかったよ。まぁ、元凶は我が母だとすぐわかったけど。母は頻繁に開いていた茶会で、ニックが次期伯爵になると話していたらしい。私が新婚旅行に行っている間に何やってるんだよ!

母はそんな戯言を言っていたから父には離婚され今頃は市井に下っているだろう。母の実家の伯爵もこんな女門前払いされているだろうし。だって、あの王弟に目を付けられてるんだよ!

私は母の伯爵乗っ取り計画のせいで貴族から爪弾きされてしまい、もう頼れる人がいない‥‥どうしよう‥‥神様助けて‥‥


◆◆◆

「ギィギィギィ‥‥バタン!」


とうとうこの時が来てしまった。

私は屋敷の門を閉まるのを眺め、頭を下げた。私の生まれ育った領地は国の役人らが運営していく。まだ、後釜の貴族が決まっていないのだ。

私は何年も当主教育をしていたのに無駄になってしまったな。

さてと、どこに行けばいいのやら‥‥お先真っ暗だな。


トボトボと行き先を決めずに歩いていたら馬車がデュークの前で止まった。


「ふぅ!間に合ったようだ。久しぶりだねデューク君」


そこにはデュークにとってはあり得ない人物との再会だった‥‥


「‥‥スカッシュ伯爵!!‥‥申し訳ありませんでした。ニックがスカッシュ伯爵家に対して‥‥」


デュークはスカッシュ伯爵に対してその場で土下座をしようとしたらスカッシュ伯爵に体を持ち上げられ土下座できなかった。


「大丈夫だよ、デューク君も被害者みたいなものだからね。謝罪だけ受けっとっとくよ」


「我が家がスカッシュ伯爵家にやった行いは決して許されるものではありません」


デュークは真面目なのだ、ニックと違って。


「デューク君は昔から変わらないな!エヴァも君のことを本当の兄みたいに慕っていたね。そんなデューク君を私も好ましく思っていたよ」


「‥‥ありがとうございます。あのう‥‥今日はどんな御用で私に会いに来たのでしょうか?‥‥あっ!もしかして婚約破棄の慰謝料少なすぎたことでしょうか?必ず払いますか‥‥」


「違う!違う!もう慰謝料の件は大丈夫だから!今日はね、デューク君を迎えに来たんだよ。我が家の離れが空いていてね、デューク君に住んでもらおうと思ってね」


「えっ!!私のこと恨んでないのですか?」


「君と元侯爵のアレックスには恨みはないよ‥‥やっぱ少しはアレックスに恨みあるかな!ハッハッハッ!」


「寛大な心に感謝致します。本当にスカッシュ伯爵に甘えてよろしいのでしょうか?」


「いいさぁ。妻にも伝えて了承してあるから安心してくれ。

実はね、アレックスから手紙が届いたんだよ。デュークを頼むってね!」


「いつのまに手紙を‥‥」


私は驚いていた!男爵を押し付け、私に丸投げして逃げたと思ったのに‥‥私のこと気にしてくれていたなんて‥‥


「アレックスの頼みだけど私は善意でデューク君の面倒みるわけではないよ。君には私の新事業の手伝いをしてもらおうと思ってね。新事業の内容は市井の子供の学園を立ち上げようとしてるんだ。市井の底上げをして、より王国の発展に繋げようと思ってね。まぁ、エヴァの入れ知恵だけど。そこで君には教師をやってもらいたいんだ」


「‥‥私に出来ますでしょうか?」


「デューク君は学園でも優秀だったし、当主教育も完了しているだろ!こんないい人材どこにもいないよ!」


「それでしたらよろしくお願いします‥‥グスン、グスン」


デュークはやっと頼れる人が現れ心の荷が降りた。生活の指針が出来たのだから。

そして、泣いているデュークをレイモンドが抱き慰めた。


「よく1人で頑張ったね‥‥あとは私に任せなさいデューク君」


「うぇ〜〜〜〜っん!おじさん!ありがとうございます。」


「ハッハッハッ!15年ぶりに聞いたね!そうだよ、君のおじさんだよ。昔のようにおじさんと呼んでいいからね」





『神様!ありがとうございました!』

デュークは心の中で神様に感謝した。


デュークの願いが叶ったのだ‥‥手を差し伸べてくれる人が現れたのだから‥‥


◆◆◆


「ガタガタゴトゴト!ガタゴト!」


私はおじさんの馬車に乗せてもらいスカッシュ伯爵邸に向かっている。


「もう落ちついたようだね。

デューク君に渡す物があるんだ。アレックスが君宛に書いた手紙だよ」


おじさんから父からの手紙を受け取った。


『デューク・ヴェントン男爵様へ

いかがお過ごしですか。私は田舎のポツンと一軒家で暮らしています。もちろん1人です。今まで身の回りの世話を焼いてくれる侍従がいないので大変ですが楽しく過ごしております』


(楽しいんかい!!こっちは大変だったんだぞ!

うん?これは本当に父からの手紙か?なぜ他人行儀なんだ?)


『デューク様最近は暑くなりましたのでお体に気をつけてください。父より』


「これだけ?ごく普通の手紙なんだけど!もっと重要なこと書くでしょ!」


「どうだったアレックスの手紙」


「これ読んで下さい!どうでもいい内容です!今から父を殴り飛ばしに行っていいですか?」


デュークはレイモンドに手紙を渡した。


「ふむふむ、アレックスらしいね。暗号で手紙書いてあるよ。アレックスは王弟に目をつけられ手紙は検閲されてるだろうからね」


「‥‥そうですか‥‥父も大変なんですね本音で手紙を書けないなんて。でも暗号で書いてあるって、どうしてわかるのですか?」


「ふふふ、学生の頃に2人で考えたんだ。私達は暗部に憧れていてね。その真似事で考えたんだ。久しぶりだからわからない所があるけど読んであげるね」


「父の知らない一面を知れました。手紙よろしくお願いします」


「では、読むよ!」


『デューク!悪かったな、お前に全て押し付けて。

私がお前の側にいると迷惑をかけてしまうからな。私がいるとデュークのこれからを潰しかねない。

だから私の代わりにレイモンドに託したんだ。レイモンドならきっとお前の事を導いてくれるだろう。だから頑張れよ!デューク!お前は私と違って優秀だからな。

陰ながらデュークの幸せを祈っているよ。何も出来ない父より』


「‥‥父さん‥‥頑張るよ。父さんの耳に届くくらいに!」


デュークは涙が滲んできたが、それをグッと堪え馬車の窓から田舎のある方を眺めた。


「もう一枚あるぞ‥どれどれ‥‥」


『田舎暮らし最高〜っ!俺、貴族の暮らし嫌だったんだよ!当主は仕事ばっかだし、自由はないしさぁ。もう、貴族間の堅苦しい会話もしなくて済むしな!

デューク、こっちで俺は楽しんでるから俺の事は気にするな!

レイモンド後はよろしくな!俺は今から遊び‥‥じゃなくて食糧確保の為、近くの湖で魚釣ってくるわ!暑いから涼みにはちょうどいいしな。

レイモンドはこれから大変(・・)になるだろうし。ハッハッハッ!ざまぁ!

じゃあな!また手紙だすわ」


ビリビリビリビリ。レイモンドが手紙を破り始めた。


「あの野郎〜っ!本当に楽しんでるじゃないか!!私がこの後、大変になる事もわかっているのか!

‥‥デューク君、いつかあいつを殴りにいかないか?」


(あの優しいおじさんが怒ってる!父もいつもの真面目さが全然ないし。これが本来の父なんだろうか)


「そうですね。私は始めから殴りに行きたいと思ってたんです。今のでより一層ボコボコにしたくなりましたよ」


「じゃあ、デューク君が立派になったら一緒に行こう。奴の顔面を殴りにね」


2人は力強く握手をし約束した。 


癪だけど父のおかげでおじさんとの絆が深まったよ。まぁ、田舎暮らしを満喫してそうでよかったよ‥‥でも、絶対に殴りに行くからな!必ず出世してやる!

待ってろよ、2人で行くから!それまでは身体には気をつけてね父さん



読んで下さりありがとうございます。

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