パメラ、幸せになる
「え? ちょっと待ってよ! 準備も何もしてないじゃない」
「いいんだよ! 俺とお前の仲は知ってるから! 戦地から帰ってきたらすぐに連れて来いって言われてるんだ」
「よかったじゃない! パメラ!」
「え? でも、その、病気の弟もいるし――」
「ああ、サナトリウムで療養してる弟さんだろ? だったらなおさら俺と結婚しろよ。そうすれば軍人恩給で面倒見てやれるしな」
「え? 結婚? まって、仕事のこともあるし、先に身請けしてもらわないと――、それより体の手入れしなきゃ――」
「何慌ててるんだよ?」
「慌てるに決まってるじゃない! 急すぎるわよ!」
「なんだ? 俺と一緒になるのがいやなのか?」
「え? 嫌じゃないわよ……その、色々あるし」
「色々あるのはわかってるよ。お前の過去もひっくるめて、俺のところに来いって言ってるんだよ。弟さんの事だって迷惑でもなんでもねぇよ」
「え? 本当にいいの?」
「お前の弟なら俺の弟だよ」
「うん――」
「何泣いてんだよほら」
「うん、ありがとう――」
「よかったじゃないか。パメラ」
「女将さん」
「今日はもう上がりな。明日からしばらく休ませてやるから、身請けと結婚の準備、しっかりおやり」
「はい!」
「中佐殿、パメラのこと、よろしくお願いしますよ。この子若い頃から苦労のし通しだから」
「ええ、十分承知してます。もちろん、必ず幸せにして見せますよ」
「よろしく頼みますよ。さ、お行き」
「はい!」
「パメラ、改めておめでとう。幸せにね」
「サーシャもね。あのあのご子息、ちゃんと捕まえなよ?」
「ふふ、まずは仲良くなるところから始めないとね。それじゃ女将さん。ちょっと失礼します」
「私も失礼いたします」
「ああ、行っておいで2人とも! 中佐殿もよろしくたのみますよ」
「えぇ、それじゃ」
「女将さん、予約客の来訪時刻です」
「おや、そうかい? パメラは行っちまったし、サーシャはまだ時間がかかるだろうし、おーい! 誰か体の空いてる子はいないかい!? お客人だよ!」
「はーい! ただいま!」
「私も出れます!」
「よろしく頼むよ! さぁ! お客人にいい夢見せたげな! さ、ようこそ青薔薇亭へ! 今宵はごゆっくり!」