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ゴーレム須田

9話 ゴーレム須田


「それじゃ、私仕事があるので戻るから」


 奥さんは、いそいそと、部屋を出た。


「妻が数々の失礼な言葉、すまん。彼女は人付き合いがヘタでね。気にしないでくれ。仕事は深夜になる。夕食は用意したので遠慮なく食べてくれ。で、私も何かと忙しいので。何かあったら、メイド長のこの郷田に。では、失礼」


 工城鱗二郎が、部屋を出るとすぐにドアが開き男が顔を出した。


「あ、来たのね。彼はこの家の庭師です」


 老メイドに紹介された男はハンティング帽をとり頭を下げた。


「怪しいモンと言われないようにと、顔を出しとけと旦那様に言われまして……」

「中にお入りなさいゴーレム」


 ゴーレム? 外国人なのか。部屋に入った男の顔の色、妙に悪い。

 青黒いとでも言うのか、何処の国の人間か知らないが体のドコか悪いんじゃないのか? 


 男は中年? 顔のシワなどで老人にも見える。

 フサフサしたグレイの髪が若く見せているようで逆に老けても見える。

 ゴーレムなんて名から大きな男を思わすが、背は低い。隣の老メイドと同じくらいだ。160あるかないか。もしかしたらあのスラッとした若いメイドより小さいかも。


「彼はゴーレム須田といいます。私と同じ頃からこの屋敷で働いている者です」


 須田だって、ハーフなのかな? 顔の作りは彫りが深いいかにもな西洋顔だ。

 ギョロっとした大きな目は寝不足なのか血走ってて赤い。それに高い鷲鼻。髪と同じ色のグレイの口ヒゲ。

 簡単に言うと顔の色の悪い背丈が低い外国人だ。

 老メイドと同期? やはり老人か。


 ゴーレムは帽子をかぶり部屋から出た。


「お客様方。御食事の準備をしていますので、しばらくこちらで、おくつろぎください」


 と、老メイドは応接間の別のドアを開け出ていった。

 あっちはキッチンか?


「ふ〜ん。くつろぐって、ナニもないじゃない、この部屋」


 ギャルのレーコは、鏡を出し、寝起きの顔をながめて化粧を直しなから、こっちを見て。


「裏原のソフィアって、実物見たの初めて」


「ウラハラの? ウィッチ・パラダイスのソフィアです。べつに珍しい動物じゃないんで、店に来てくださればいつでも見れますよ」


「あ、店にはよく行くけど。占いは予約でいっぱいでしょ」


 そうだ、最近のソフィは売れっ子で、会えない時が多くなった。

よく、店に来るんだ、あんた。


「ソフィちゃんって、そんなに有名人なの」


 ソフィちゃんって、先輩の悪影響だ。それに彼女は年上だろ幹尾友紀。


「もしかしてテレビとか、出たりする? 握手とか、しちゃったりしていいかな。サインとかも」

 

 と、幹尾は手を出した。握手に応じたソフィは。


「う〜んテレビかぁどうかなあ。イイコト教えてあげる。私のホントの名前」


 あ、出た。それは。


「ソフィア・マーベル・ルン・ヴェルンフェルド・フレイァウルズ・ダヌ・アリュアンロード・マリガン・シヤラスヴィテー・イチュダレ・エンス・ハートホル・ヴァテト・マリーア佐伯なの」


 まえにも聞いたが、憶えられなかった。

 自分の名前とはいえ、よく憶えたなソフィ。


「星レーコだよ、よろしく。渋谷はあたしの縄張り。憶えておいてね」


 なんて、言って握手した。縄張りってヤクザか。


               つづく







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