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異能娘揃う

8話 異能娘揃う


「お客様。お履物はこちらへ。スリッパをご用意してあります」


 ちゃんと人数分のスリッパが出ていた。


 靴を棚に置くメイドさんの背中に小さな羽根が。

 この若い人のメイドカフェ店員みたいな格好は工城鱗二郎の趣味なのか? 


 メイドさんの片方の頬に縦に長い縫い傷みたいのがある。まだ、そんなに古くない傷だ。よく見ると前髪の中、おでこにも似たような傷が。

 この子、何か大きな事故にあい顔に大きな傷をおったなか? で、こんな田舎の屋敷で仕事を。

 傷がなければアキバのメイドカフェでNO1とか、どこかのアイドルグループにいても目立つ可愛い子だ。


「ゴローコー。若いメイドの子に見とれてるとソフィちゃんに嫌われるよ」

「見とれてなんかいないよ。それにおまえがソフィちゃんって言うな」


「どうしたの水戸くん。相変わらず友紀ちゃんと仲がいいのね」


 わあぁ幹尾、よけいなこと言うからソフィが誤解してるぞ。


「こちらの部屋でお待ち下さい」


 老メイドが玄関から一番近いドアを開けた。

 言われて入ると、そこは応接間だ。広い。

 真ん中に二組のソファが小さなテーブルをはさんでいる。

 奥には暖炉がある。

 その反対側の壁に大きな肖像画がかけてあった。

 誰だろう。軍服姿だ。大きい顔がここの工城鱗二郎に似てなくもない。軍人だから祖父かな?


「あ、思わず寝ちゃたわ。みな揃ったのかしら」


 入口から見えない方のソファから女性が立った。

 なんと、この女性は、駅からタクシーに乗った緑髪のギャル。


 ガチャっとドアが開き老メイドが入って来た。

 その後から工城鱗二郎と犬を抱いた女性が。

 この人がおそらく。


「アナタ、コレ真面目に捜してきたの? あなたの趣味丸出しじゃない! 私はてっきり、山伏みたいのや、お坊さんとか、怪しいオヤジの霊能者が来るとばっかり」

「趣味ってなに? 彼女のたちは立派な異能者だよ。紹介しよう。こちらの方は渋谷で有名な霊能力者で事故物件の見立てなどをしている星……」


「星レーコだよ、センセ。あたしだけだと思ってたんだけど」


「ああ、大勢の方が一人がどうとか言うより納得がいく。それから、髪の赤い方は、大学で有名な霊能者の学生が薦めてくれた霊能者の……」


「姫君Rin」

「そう、ヒメギミ・リンさんだ」


 工城さんあんた名前憶えられないのか? 

 しかし、赤髪の子は、大学生の霊能者がオススメの霊能者か。大学生なの? 

 そうとも限らないけど。見ようよっては幹尾と同じ中学生にも。


「あなたおいくつ?」


 奥さんは、姫君に顔を近づけて聞いた。


「秘密」


 だって。しかし、姫君って本名?


「こっちの汚い金髪の子は?」

「汚い言うな! ちゃんと毎日風呂に入ってる」

「その子は取手の中学生で幹尾友紀さん。ほらまえに話した異生物か見える子だ」

「異生物……。ああ、カッパを見た子ね。ここにはカッパより不気味なのが出るから、よく見て帰ってね」


 明らかに信じてない。


「ところでこのボーヤは?」


 坊やって、おじさんよりマシだが、いつも仕事の時はオールバックのヘアーを今日は下ろして学生の頃のようにしている。若く見えるのか。


「君は誰だ? 呼んだ憶えはないぞ」


「すみません。彼は私の助手です。勝手に連れてきてごめんなさい」


 あ、助手って設定か。相棒の方が良かった。


「そうです。ボクはソフィあ、ソフィアさんの助手です。ソフィアさんの占い以外の仕事に、いつも僕がついていきます。水戸光邦です。よろしくお願いします」


「ええ、あなたは水戸の御老公ですか、皆の者頭が高い! ひかえおろう」


 と、緑髪のレーコが笑いながら言った。目尻のしわといい水戸黄門知識は、意外と歳いってそうだこの人。見た目より年かも。


 って、老メイドを見ると頭を下げてる。さすがに夫婦は無表情。

 こんなからかいにはもうなれたが、本当に頭を下げた人を初めて見た。

 老メイドは水戸の人か? 


「あなた、どこかで見た気が」

「あの奥様はもしや『主婦ナビ』でエッセイを書いてる如月カンナさんでは。私、同じ雑誌に載った占いのソフィア佐伯です」

「ああ、原宿の……憶えてるわ。そうよ如月は私の旧姓でペンネームに」


 自分を知ってるのが嬉しいのか、奥さんは機嫌が良くなった。


                 つづく

 

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