表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/45

水戸光邦

1話 水戸光邦


 ボクの目の前に「魔法少女隊ウィッチーパフェ」のピンクことピーチ・キャンディが立っていた。

 彼女はピンク色のビラをボクに差し出した。


「どうぞ。よかったら来てください」


 その声は「魔法少女隊」のキャンディそのものだ。

 ボクはこの人気アニメのキャラが本当に現実化して現れたと思ったくらいだ。

 彼女の言葉にビラの内容も見ないで。


「ハイ、行きます」と言ってしまった。


     ◇ ◇


 一浪して、入った大学を卒業し。

 警察学校へ。そして交番勤務をへて、警視庁に。

 コレは大出世だ。警視庁で刑事に。


 見習いだからか、雑用が多い。


 ボクは、最近あたりまえのように大学時代お世話になった先輩がオーナーの店「ウィッチ・パラダイス」の事務所で昼飯を食べている。


 「ウィッチ・パラダイス」というのは裏原宿にある魔法・おまじないグッズの専門ショップだ。

 一階の店の方には女の子たちでけっこう混んでいる。

 そのショップのあるビルの三階に事務所がある。


「水戸君、またいつものカルビ弁当だね」


 ボクはこのコンビニ弁当が好物なんだ。


「たまには、前の焼肉ランチ弁当でも」

「あ、あそこですか。財布と相談してみます」

「なに言ってんの。行くときは僕が出すよ」


 気前のいい先輩だ、期待しよう。


 先輩は大学時代に居たサークル「オカルト研」の初代会長だ。

 歳はボクより一回りくらい離れている。

 名前は松平 武。そしてボクは水戸光邦。

 で、同じ徳川御三家姓なので先輩はボクを気に入り、卒業後も色々世話になっている。が、二人共本物の御三家とは関係ない。ボクはだけど。先輩は、どうなのか。ボクは知らない? 


 先輩は、けっこうな実業家で、まだいくつも会社経営をしている。このビルも持ビルで四階には、やはりオーナーの探偵社もある。

 噂だが先輩は警察関係の仕事もしていたらしい。 


 しかし、ボクがここへ来るのは先輩に会うためじゃない。

 大学に入学した翌日にあまりにも可愛いコスブレ女子につられて会名も知らずに会合に参加したボク。

 その可愛いコスプレ女子がココに居るからだ。


「先輩、ソフィはまだ」

「みたいだね。ねぇ青山ちゃん、ソフィちゃんはお昼まだ? もう一時まわってるよ」


 と、先輩は部屋の中央ディスクに居る事務室長の女性にたずねた。


「ソフィアさんはまだ。長引いているようで。モニター出します」


 先輩の後ろの7台モニターの一つが写った。

 モニターのカメラはこちらから操作出来る。

 客が映った。

 グレイのパーカーを着た長髪で小太りの男だ。


「また、あいつか。あいつ入店禁止にしなかった?」

「いいえ、オーナーが。あのお客様は払いがいいのでとりあえずと」

「僕そんなこと、言いました?」

「はい」


 モニターに映ってる女性は、アラビアンナイトのお姫様みたいな姿をしている。

 ソフィの仕事着だ。

 彼女が大学時代に出会ったコスプレ女子だ。

 情けないことにいまだに片思いだ。

 

             つづく

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ