食パン
耳を失くした琵琶法師の昔話、好きなんです。
僕らの耳を削ぎ落とす奴らがいる
照れ屋の月は隠れちゃって
顔を出さない
霧を煮詰めたような都会の夜に
魔の手はきょうものびる
じっとみつめる目もなければ
嗅いで回る鼻もない僕らから
このうえ聞くことまで奪おうというのか
僕らの耳を切り離す奴らがいる
でしゃばりの太陽ははりきっちゃって
でかいつらする
光が吹きこぼれるような白昼堂々と
凶刃はにぶく輝く
ささやきかける唇もなければ
赤らめてしまう頬もない僕らだから
両耳まで失くしたらのっぺらぼうだよ
僕らの耳を好んで口にする奴らもいる
揚げても 炒めても なんならそのままでも
ちょっと、猟奇的。