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9 クリスマス・イブにデート?

モテる女性なら、男性からの誘いって、二つ返事で受けないかな?

男を惑わせる返事をしたくなるかも。

汐音です。


ついに、中山さんからの連絡がありました!

私は、すぐに返信したい気分でしたが、返事は少し我慢しようと思います。

いかにも待ってましたみたいな返事の仕方はしたくなかったのです。

軽く見られたくない。

こんな私にもプライドがあったので、焦らしたい気持ちが出てきたのです。


3日後、私は返事を出します。


「ご連絡ありがとうございました。

突然の連絡にどうしていいかわかりませんでした。

私の性別に対して、理解していただけたのなら幸いです。

友達ということなら・・・いいとは思いますが・・・

その、仲良くなれるかはわかりません。

まずは、いろいろお話をしてからですね。」


と、遠回しに、警戒しつつも、全面否定はしないというメッセージを送信します。


さて、どうなるのかな?といろいろ期待しつつ、冷たいかもしれないとも思います。


でも、甘い顔をしちゃだめ。

どんな人か、どんな性指向を持っている人かわからないんだから。

私は考えを引き締めます。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


中山廉です。

やったー!返事が来た!


でも、・・・けっこう警戒してる。

そうだよな。カミングアウトしたあと、ずっと何カ月も放置して、今頃連絡よこすんだから、変な人だと思って当然だ。


ここは何とか会えるように努力してみよう。

多分、俺はあと3か月ほどで転勤だ。

転勤する前に仲良くなっておきたい。

何とか12月中に1回会いたいな。


「すみません。一緒に食事をしませんか?ゆっくりお話をしたいんです。

同世代で、転勤族です。偶然にも、東北という場所で出会った縁を大切にしたいと思います。

ご馳走するとは言いません。割り勘です。

男とか、女とか、関係なく、楽しく東北の話をしませんか。

本名とか、勤務先は聴きませんからご安心ください。

僕の方は、秘密にする必要がないので、情報公開します。

怪しいものではありません。

それから、僕は、ゲイ、ホモではありません。

汐音さんに、人間的魅力を感じました。

会っていただけませんか?」


よし、送信だ。

会ってくれるといいな。一応、真面目さと誠意は主張したかな?

それにしても、同性愛者ではないと言いながら、女装した男性に会いたいと思う俺の気持ち。

複雑すぎる。

好みのタイプだけど、所詮男だよな?

普通の性行為はできないし、子供が産める体でもない。

性転換すれば、名前、戸籍を変更して結婚することが可能になるかもしれないけど・・・


汐音さんも俺の気持ち、よくわからないだろうなあ。

何を考えているんだろう?と思ってるかな?

まあ、正直な気持ちだから、しかたないか?



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「うわっ、ゲイ、ホモではないって・・・つまり同性愛者でないってことね。

でも、私と仲良くなりたいんだ。

なんか、複雑。

私はどうなんだろう?

単に友達になりたいってこと?

私を女として見てないのかな?

うーん、わからない。

・・・でも、会おう!

もやもやしたものを抱えているのはよくないもん。

誠意はありそう。

とりあえず、男の人と仲良くなりたい!」


私はメッセージを送りました。


「わかりました。

お誘いいただき、ありがとうございます。

ちょっと戸惑いましたが、私のようなものと友達になっていただけるのは、光栄です。

お食事を一緒にしましょう。

実は、私、ファーストフードやカフェ程度ならば、女性として行ったことありますけど、

ちゃんとしたレストランには女性として食事に行ったことがありません。

ホテルのレストランとかに行きませんか?」


返信がすぐにありました。


「了解しました。

落ち着いたところで、かつ、街の中心部で食事をしましょう。

僕も、女性と二人でホテルで食事なんて、初めてです。

ワインか、シャンパンで乾杯したいですね。」


そこからは、あっという間に、会う日時が決まってしまいます。

何とクリスマス・イブに会うことになってしまいました。

あるホテルのディナー・コースが空いていたので、中山さんが予約を取ってくれたのです。


中山さんにも、私にも、恋人がいないことが明白です。

何か、悪いなー。

私みたいな偽物女に、クリスマス・イブの時間を割いてくれるなんて・・・

いいのかな?

こうなったら、思い切りおしゃれしていかなきゃ。

会社は休みにしよう。

今の仕事の状況なら休める!

ドレスはオーバーだけど、可愛い清楚系のワンピースでも着て行こう。

メイクも一種懸命しなきゃ。

でも、あんまりゴテゴテしたくはない。

髪の毛、ボブだから、そのまんまで行きたいけど、やっぱり簡易エクステ付けて行こう。

やっぱり、長い髪の毛じゃないと、気持ちが盛り上がらないよ。

クリスマスだから、プレゼント?

うーん、どうしよう。ネクタイくらいあげようかな?

私、ものすごくウキウキしてる。

ムダ毛もチェックしなきゃ。

女性ホルモン投与のおかげで、だいぶ女性っぽくなってるから、以前会ったときよりは魅力的になってるはず。

胸も少し膨らんだし、腰より下に脂肪がついてウエストは括れたし・・・ね。

仕事中、ナベシャツで胸のふくらみを隠すのが大変だよ。

うん、クリスマス・イブ楽しみ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



廉です。

クリスマスイブに誘ってしまった。

彼女がいないこと、バレバレだな。

まあ、オッケーしてくれたから、汐音さんも、恋人とかいないってことか?

そうか、

クリスマスというとプレゼント?

なんか用意して行くか?荷物にならないでそんな高価でないものにしよう!

ネックレスとかにしようかな?


ウキウキしながら、毎日を過ごすと、あっという間にクリスマスイブがやってきた。


仙台駅の待ち合わせスポットで待っていると、コートを着たセミロングヘアの女性が近づいてきた。

可愛い!目を引く美人だ。

汐音さんだ。間違いない。

印象的な目が同じだ。

何か、前に会ったときより、すごくきれいなっている。

髪型が違う?メイクのせいか?

それだけじゃない。何か変わったのか?


「こんばんは。お久しぶりです。

今日はよろしくお願いします。」


あの夏の日に見た弾けるような笑顔だった。

俺は、なぜ、こんなに会いたいと思っていたかを一瞬で理解した。

本物の女性ではないとわかっても、会いたくなる不思議な気持ち、その原因が分かった。


来週は私用があり、余裕がないので、再来週更新です。

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