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10 クリスマス・ディナー

クリスマス・イブに20代の独身男女(?)が一緒に食事したら、どうなる?

まあ、二人とも男性なんですけど・・・

汐音です。


クリスマス・イブに中山さんとホテルのディナーを楽しんでいます。


今回は、超可愛いワンピースを着てきました。

自分でも、気合入りまくりで恥ずかしい。

別にお持ち帰りされたいとは思ってません。

本物の女性じゃないから、通常のセックスは出来ないし。

でも、中山さんに可愛いと少しでも思われたなら、生きている意味を見出せます。


「あのさ、服、すごく可愛いね。

さっき、羽織っていたコートも素敵だった。

センスいいよなー。

ウチの会社には、こんな服のセンスの女の子いないよ。

仕事のせいか、ボーイッシュというか色気のないファッションが多いんだ。」


「え?ありがとうございます。

褒めていただけるなんて、光栄です。

あの・・・同僚の女性も、休みの日にはファッション変えると思いますよ。

仕事で出社するときは、おとなしめのファッションを選んでいると思います。

私の勤務先でもそうです。」


「そういえば、そっか。

そうだよな。

状況に合わせて、ファッションって変えるものだよね。

でも、うちの会社の女性で、そのワンピースが似合う子はいないと思う。

汐音さんだから、可愛く着こなしてるんだと思う。」


「ええ?そんなこと言われると・・・いい気になっちゃいます。

褒めすぎです。

中山さんこそ、スーツの着こなし、決まってますよ。

ウエスト細くて、胸板厚くて、モテそうです。

いい人いないんですか?」


私なんかどうですか?と言いたいところをこらえます。

私は本物の女性ではない・・・友達になれればいいやと心の中で言い聞かせます。

人事課長や柴田さんの応援はありましたけど、やはり今の状況では冷静に考えてしまいます。



「ありがとう。ははは、前に会ったときのとおり、いい人なんていないよ。

それに、転勤も近いと思うし、そんなこと考えないようにしてる。

今とりかかっている仕事をきちんとこなしたいしね。」


「そうなんですか?転勤は春?」


「たぶん。大体3年で動くからね。次はどこに行くかわからない。

僕はドライブが好きだから、地方で景色のいいところがいいな。

汐音さんは、転勤しそう?」


「私はわからないです。ウチの会社は、3年で動くこともあるし、5年以上いる時もあるし・・・」

私は、転勤の予定を隠すことにしました。

女性になって同じ会社に勤め続けるなんて、そう簡単に言えません。

ましてや、性転換の予定もこんな場所ではいいたくない。

楽しい話をしなきゃ。


すると、中山さんが、早速、趣味のドライブの話をしてきました。


「そっか、まだ仙台にいるかもしれないんだね。

そういえば、僕は、東北をドライブできるのはあと少しだよ。

残念だなあ。まだ行ってないところいっぱいあるよ。

汐音さんは、相変わらず、車で写真撮りに行ってるの?」


「私、あまり運転上手くないから、宮城県から出ないんです。県外は、お隣ですぐ行ける山形県の内陸部くらいですね。だって、ホントの性別の関係から、遠出して、交通事故やトラブルにあったら、大変なことになっちゃう。」


「なるほど、そうだよな。

もし、交通事故やトラブルになったら、相手との交渉とか、警察とかの話になって、その、性別の件でややこしくなっちゃうか。

うん、わかる。そりゃ、心配だ・・・。

・・・そうだ!

じゃ、俺と一緒に遠距離ドライブしないか?俺の車に乗って、遠くの名所に行こう。

名所で写真を撮ってあげるよ。

スタッドレスタイヤ履いてるし、雪景色の中も写真撮れるよ。

雪の鳥海山、雪の岩手山、雪の岩木山とかの前で写真とらないか?

実は、俺、冬は近場の蔵王くらいしかドライブしてないよ。どう?」


「ええっ?雪景色の中の写真ですか?確かに、面白い写真とれそう!

有名な山と一緒に撮影できるなら素敵!

でも、・・・遠いと、日帰りは無理ですね。泊まりになっちゃう・・・かな?」


「そうだね・・・。でもさ、ビジネスホテルで別の部屋に泊まれば、何も問題ないじゃない?

もし、俺を信じてくれるなら、遠距離ドライブしてみないか?」


私の心は動きます。


そうだ、私は本当の女性じゃないから、襲われる事はないだろう。

この人、私のお尻を狙うって感じじゃないもん。

別に、泊まりで行ってもいいかな?

冬景色のドライブと、写真撮影!魅力的!!


「うん、そうだね。ちゃんと別の部屋なら、・・・いいかな。

雪景色で写真撮るの、憧れる!」

私はOKしてしまいます。


すると、中山さんはすごくうれしそうな顔になりました。


「よし、計画を練ろう。

1月でいいかな?

正月明けた頃あたりにどう?

どこ行く?」


私達は計画作成に夢中になります。


行き先は青森になりました。


雪の岩木山、弘前城、八甲田連峰を見に行こうというところまで決まります。

二人とも目が輝いてしまいます。


ディナーにあとは、もう一軒、景色のいいバーでカクテルを飲みながらおしゃべりしました。

私の事情に配慮していただき、私の個人情報は一切聴かず、自分の住所、自分の会社のことや仕事、職場の雰囲気、家族のことなどを教えてくれます。

「私は自分の本名と、勤務先、仕事を教えてないのに、いろいろ聞いちゃいました。すみません。」


「いいんだよ。俺が勝手に喋ってるだけだよ。

汐音さんのことは無理に聴かないよ。

でも俺と同じ、全国に支社がある上場企業に勤務しているほぼ同い年のサラリーマンっていうことはわかってる。

今はそれだけで十分。」


「いいの・・・?ありがとう。」


そんな遅くならない時間に二次会終了。その前にプレゼントの交換。


私はネクタイを、中山さんはネックレスをプレゼントとして渡しました。


「じゃあ、今日はここで、次はスマホで連絡を取り合いながら、ドライブの計画を練ろう。」


「わかりました。私もいろいろ考えます。」

私は、ドライブ・ルートだけでなく、服装も考えてしまいます。


雪の中写真撮るなら、雪靴必要!それも可愛いのがいい。ブーツっぽいやつあるよね?

ボトムは厚手のミニのフレアにして、デニール数が大きいタイツを履こうかな?

うーん、はしゃぎ過ぎ?

ニットもコートも欲しい!


中山さんと別れて帰る道で、私はスキップしたくなる気分になりました。


いきなり、日帰りではない旅行計画が決まってしまいました。どうなるやら。


次回は来週の土日のどこかで更新です。

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