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味方を殺した罪で事実上追放された私は、死んだと見せかけて旅に出ることにしました 〜生きているとバレて戻ってくるよう命令されてももう遅いです〜  作者: 横浜あおば
最終章 西洋連合の軍事大国

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第81話 コードワルプルギス

 ここまでの騒ぎになってしまった以上、のんびりしている余裕はない。

 人が集まってくるより早くポイントまで辿り着かなければ。


 美空みくは走るスピードを限界まで上げ、残り数十メートルを走破する。


「マルファさん、着きましたよ」


 到着したと同じタイミングで告げると、マルファが言葉を発した。


『それじゃあ、急いでハッキングを始めるね』

「お願いします」

『でもその前に。美空』

「何です?」


 この一刻を争う状況において、一体どうしたのだろうか。

 ハッキングより優先して伝える必要のあることなど無いように思えるのだが。


『これはあくまで私の予想なんだけどね。さっきの人が叫んでたコードワルプルギスって隠語、きっと美空のことだと思うの。警報音が鳴った後の周りの動きがかなり大袈裟っていうか、普通の侵入者相手への対応と比べて明らかに違う。私はこれからサイバー空間に潜るけど……、絶対に、死なないでね?』


 なるほど。フォルツ軍の兵士が叫んだあの言葉は自分が現れたことを知らせるものだったのか。

 そして、今も騒々しく鳴り響いている警報音も同様の意味合い。


 幼い頃の親友カタリナを失った直後のマルファとしては心配になるのも無理はないだろう。


「忠告ありがとうございます、マルファさん。でも、私は死にませんよ。なぜなら私は、皇国の最高傑作にして史上最強の魔法能力者なのですから」


 自信満々に言って微笑みかける美空。

 すると、コピーAIであるマルファは少しだけ笑ったようだった。


『ふふっ、美空は相変わらず頼もしいね』


 それからすぐ、スマートウォッチから彼女の気配が消える。

 港や戦艦をハッキングするため、ネットの世界に潜ったようだ。




「いたぞ、あそこだ!」

「ワルプルギス、遂に来たか……」

「総員戦闘態勢! 忌まわしき東の魔女を、ここで叩くぞ!」


 四方から湧いて出て来たテンシャン、フォルツ、ユナイタルステイツ各軍の兵士たちが、一糸乱れぬ隊列で美空の周囲を取り囲む。

 盾の後ろで一斉に銃を構え、こちらの命を奪おうと狙っている。


「うるさいですね。早いところ片付けてしまいましょう」


 ワルプルギス呼ばわりされるくらいだからもっと強い装備を揃えてくるかと思ったが、一般的な防弾の盾と各軍の制式小銃とは随分となめられたものだ。

 呆れて嘆息した美空は、右手を伸ばし魔法を唱える。


「魔法目録二条、魔法光線」


 直後、伸ばした右手の指先から光線が発射される。

 そのまま体の向きを変えていき、取り囲む兵士たちをあっという間に一掃。


「では、本題に入るとしますか」


 何事も無かったかのように呟いた美空は、海に浮かぶ戦艦に目を向ける。

 可能であれば次の邪魔が来る前に仕掛けてしまいたい。


 美空は沖合に停泊しているユナイタルステイツ軍のアーセナルシップに意識を向けると、神経を集中させ口を開いた。


「魔法目録七条、物体干渉」


 それと同時、腕に巻いたスマートウォッチからマルファの声が届く。


『ハッキング成功、いつでも行けるよ!』

「では、始めてください」


 すかさず合図を出すと、海に浮かぶ戦艦から大量のミサイルが発射された。

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