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味方を殺した罪で事実上追放された私は、死んだと見せかけて旅に出ることにしました 〜生きているとバレて戻ってくるよう命令されてももう遅いです〜  作者: 横浜あおば
第4章 旧連邦圏の国

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第59話 超短距離転移

 先ほどまでそこにあったはずの美空みくの姿が一瞬にして消えた。

 ヴィーカは何が起きたのか理解出来ないようで、ただ呆然とその一点を見つめている。


「勝負あり、ですね」


 そんな彼女の背後から、美空が歩み寄って言う。

 すると、ヴィーカは勢いよくこちらに振り向くとぴしっと指をさした。


「ジェーブシカずるい! そんなの反則だよ!」


 負けたことが悔しいのか、はたまた脳が混乱しているのか。ヴィーカは怒り気味に異議を申し立てる。


「反則ではありません。今回は明らかにヴィーカちゃんの負けです」

「何で? だってジェーブシカ、急に消えたよね? 絶対におかしいよ」


 不服そうに頬を膨らませるヴィーカに、美空は淡々と告げる。


「別におかしくは無いと思いますが。ヴィーカちゃんが無詠唱で魔法防壁を展開したように、私も無詠唱で魔法を発動しただけのこと。いわば昨日の仕返しです」


 美空は昨日、年下の少女ヴィーカとの模擬戦闘で衝撃の敗戦を喫した。

 その原因はこちらが力を抑えていたこともあるが、何より彼女が魔法防壁を無詠唱で展開するという離れ業をやってのけたことが大きい。


 その仕返しだというのはさすがに冗談だが、低レベルのものであれば美空にも無詠唱で魔法を発動させられると最初に示しておきたかった。


「魔法を使うなんてやっぱりずるだ!」


 それでもなお負けを認めようとしないヴィーカ。

 まあ、こちらの目的は無詠唱魔法を見せることだったので、ここは彼女の意思を尊重するとしよう。


「……そうですね、確かに私だけ魔法を使ったのは反則かもしれません。先ほどの対決は無かったことにしましょう」


 これで彼女には納得してもらうとして、話を先に進める。


「それで、私が消えた魔法についてですが、あれは転移魔法を応用した技です。どんな理屈か分かりますか?」

「転移魔法って、どこに行くのかを決めてから発動させるんだよね? 何も唱えずになんて無理じゃないの?」


 そう。ヴィーカの言う通り、基本的に転移魔法を無詠唱で発動させることは不可能である。なぜなら、遠くに転移する場合には座標に指定するために地名などを口にする必要があるからだ。


 しかし、先ほど美空は無詠唱で転移魔法を発動してみせた。

 首を傾げているヴィーカに、そのカラクリを説明する。


「まず、転移魔法を発動させる時に座標を指定する理由ですが、それはその場所のイメージを魔法に込めるためです。しかし、その座標が目に見える範囲、例えば今回であればヴィーカちゃんの背後である場合、場所のイメージは明確ですよね? つまり、超短距離の転移であれば場所のイメージを魔法に込める必要はありません。これが転移魔法の応用技、無詠唱超短距離転移魔法です」


「へぇ〜、転移魔法にそんな使い道があったんだ」


 感心したように頷くヴィーカ。

 転移魔法をそんな短い距離で用いることなど考えもしなかったのだろう。


「ではこれからヴィーカちゃんには、この技を習得してもらいます。完璧に出来るようになるのが今日の目標です」


 そして、美空はヴィーカに無詠唱超短距離転移魔法をマスターさせるべく指導を開始した。

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