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味方を殺した罪で事実上追放された私は、死んだと見せかけて旅に出ることにしました 〜生きているとバレて戻ってくるよう命令されてももう遅いです〜  作者: 横浜あおば
第4章 旧連邦圏の国

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第55話 ヴィーカの実力

 時計の針が午後二時を回った頃。

 美空みくは先生役として早速準備に取り掛かっていた。


「まずはヴィーカちゃんの魔法能力がどれほどなのか、知っておく必要がありますね……」


 カタリナ曰く、ヴィーカに戦闘経験は無いという。

 そのため彼女の実力がどの程度のものなのか、現状では誰にも分からない。


「護衛隊の魔法戦闘訓練プログラムはデータに基づいて組まれていましたし、模擬戦闘で実力をテストしてみましょう」


 方針が決まったところで、美空はヴィーカを呼びに行く。


 食堂の扉を開けると、カタリナとヴィーカがこちらに視線を向けた。


「準備出来たかい?」

「ジェーブシカ、わたしは何をすればいいの?」


「ヴィーカちゃん、少し落ち着きましょうか」


 逸る気持ちを抑えきれないといった様子のヴィーカに気圧されつつ、美空は一度深呼吸するよう促す。

 そしてヴィーカが心を落ち着けている間に、カタリナと軽く言葉を交わす。


「それでコーシチカ先生、最初は何をさせるのかな?」

「ヴィーカちゃんの実力を測るために、模擬戦闘をしようと思います」

「君と模擬戦闘? いきなりはちょっと危険じゃないかい?」

「大丈夫です。強さはしっかりと調整しますから」


 美空が本気を出せば、一国の軍を瞬時に壊滅させられる。それも余裕で。

 だから魔法の扱い方については子供の頃から十分に叩き込まれている。


 心配はいらないと目で伝える美空に、カタリナは理解したのか小さく頷いた。


「じゃあジェーブシカ、早く始めよう!」

「そうですね。場所は滑走路脇の芝生にしましょう」

「確かにあの場所なら、流れ弾で被害が出ることも無いだろうからね」


 美空とヴィーカ、カタリナの三人は基地の中で一番広い空間が確保出来る滑走路付近に移動する。

 そして、カタリナ立ち会いの下、美空とヴィーカによる模擬戦闘の幕が上がった。


「では、最初は私から攻撃をします。ヴィーカちゃんは回避もしくは防御をしてください。余裕があれば反撃してもらっても構いません」

「うん、分かった!」


 元気よく返事をするヴィーカに、美空は小手調べに一つ魔法を放つ。


「魔法目録二条、魔法光線」


 美空が一番得意とする攻撃魔法。もちろん威力は最低レベルに抑えているが、素早さに関しては普段通り。

 果たして彼女はどう守るだろうか。


「…………」


 しかし、ヴィーカは何故かその場に立ったまま、回避行動を取る気配が無い。

 それどころか魔法を唱えようともしていない。


 まずい、このままではヴィーカに命中してしまう。


「ヴィーカちゃん、右に飛んでください!」


 美空は必死に叫び、射線上から外れさせようとする。

 カタリナの言う通り、ヴィーカに模擬戦闘はさすがに無茶だったか。


 だがその直後、予想外の出来事が起こる。


 ヴィーカが無言で手を前に伸ばすと、魔法防壁が展開されたのだ。


「え?」


 あまりに驚いて、思わず動きを止めてしまった美空。

 その隙を見逃さず、ヴィーカがすかさず反撃の魔法を発動させた。


「魔法目録一条、魔法弾!」


 刹那、彼女の手に握られた魔力の塊が美空の眼前に迫る。


 完全に油断した。侮っていた。見くびっていた。

 駄目だ、躱せない……!


「そこまで。勝負あったね」


 と、そこでカタリナが間に割って入った。


「ええっと……」


 何が起こったのか理解が追いつかず、呆然とする美空。

 その様子を見て、ヴィーカとカタリナは悪戯っぽく笑った。


「どうだったジェーブシカ? びっくりした?」

「ヴィーカは戦闘経験が無いだけで、魔法能力が低い訳じゃないんだよ。コーシチカは少し手を抜きすぎたようだね」

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