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味方を殺した罪で事実上追放された私は、死んだと見せかけて旅に出ることにしました 〜生きているとバレて戻ってくるよう命令されてももう遅いです〜  作者: 横浜あおば
幕間 山岳地帯の国

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第43話 山岳地帯の国

 聖暦二〇二一年三月二十二日。

 季節は春を迎え、日差しもすっかりと暖かくなった。


 テンシャン軍を壊滅させたことでシャムコン王国にいられなくなった美空みくは、標高八千メートル級の山脈の麓に位置する小国にいた。


 真っ白に輝く山々と青く美しい湖を望む風光明媚な町。今日はここで宿を探すことに決める。


「さてと、ホテルはどこにあるのでしょう?」


 山歩きの拠点やリゾート地として栄えるこの町なら、きっとどこかに宿泊出来る場所があるはずなのだが。

 湖畔に沿って歩いて行くと、やがて商店や飲食店などが集まったエリアに着いた。そして、そのエリアの一角でバックパッカー向けの安宿を見つける。


「所持金も多くないですし、ここにしましょう」


 扉を開けると、カランカランと鈴が音を立てた。

 中は木のぬくもりが感じられる古民家的な造りになっていて、なかなかお洒落な雰囲気。


「すみませ〜ん」


 フロントに人の姿が見えなかったので一度呼びかけてみる。

 すると、奥の方から一人の少女が姿を見せた。


「いらっしゃいませ。ご宿泊ですか?」

「はい。予約とかしてないんですけど、大丈夫でしょうか?」

「本日はまだ空室がございます。何日間のご利用ですか?」

「一泊でお願いします」


 やり取りの後、少女は部屋の鍵を取りに奥の部屋へと戻る。

 そして、「お待たせしました」と言って鍵を差し出してきた。


「ありがとうございます」


 美空はそれを笑顔で受け取り、早速部屋へと向かう。


 廊下を歩きながら、ふとフロントの少女のことを頭に思い浮かべる。

 先ほどの少女、自分よりも結構年下に感じられたが一体何歳なんだろうか?

 自分が護衛隊に入隊したのは十三歳の時だったが、彼女もそのくらいの年齢のように思える。だとしたら、かなり大人びた少女だ。


「まあ、人のことは言えないのですが……」


 自分の思考に苦笑しつつ、鍵を開けて室内へ足を踏み入れる。


 あまりに宿泊料が安いので、もしかして部屋中埃まみれだったりするのでは? などと一瞬不安が過ったが、ベッドも水回りもきちんと清掃されていた。

 これも全部、あの少女がやったのだろうか。


「もし余裕があれば、色々と話を伺ってみることにしましょう」


 そう呟いた美空は、大きくあくびをしてからベッドに横になる。

 移動の疲れとぽかぽかとした陽気のおかげか、十秒もしないうちに眠ってしまった。

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