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味方を殺した罪で事実上追放された私は、死んだと見せかけて旅に出ることにしました 〜生きているとバレて戻ってくるよう命令されてももう遅いです〜  作者: 横浜あおば
第3章 凋落王政の国

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第37話 緊急会見

 朝十時。

 メイフェンは近くのスーパーに買い物へ行こうと支度をしていた。


「えーと、あとはこれも買っておかないとね……」


 美空みくはシェンリーとリビングのソファでくつろいでいたのだが、その時テレビにニュース速報のテロップが表示された。そして、映像が切り替わりキャスターが大写しにされる。


『速報です。今からテンシャン軍がシャムコン王国に関係する緊急発表を行う模様です。ここからは、ランシン市の会議場から中継でお伝えします』

『はい、こちらは十時より会見が行われる予定のランシン市内の会議場です。突然の告知にも関わらず、世界各国のメディアが集まっています。時刻を二分ほど過ぎていますが、まだ始まる様子は……たった今軍幹部が姿を現しました』


 会見の場に登場したのは軍統合本部長であるリュウと、その他陸海空軍の上層部。

 ただならぬ雰囲気が画面を通して伝わってくる。


「これって何の会見なんだろう?」

「さあ? つまんないから早く終わってくれないかなぁ」


 買い物の準備を中止したメイフェンは、シェンリーと顔を見合わせてテレビに視線を向ける。


 リュウがマイクを手にすると、報道陣のカメラが一斉に彼を捉える。その向こうでは世界中の視聴者が彼の発表に注目していることだろう。


「…………」


 美空は静かに、リュウが口を開くのを待つ。

 世界中のほとんどの人に理解不能な状況の中、自分だけはこれから何が起こるのかある程度の予測が出来ている。


『えー、お集まり頂いた皆様。統合本部長のリュウです。これから我々はある一人の人物に対し、宣戦布告を行います。それは、皇国からの脱走兵、漆原うるしばら美空です。彼女は今、シャムコン王国内に潜伏していることが確認されています。そこで、我々はシャムコン北東部の村に攻撃を仕掛けます』


 フラッシュが収まるのを待ち、リュウは言葉を継ぐ。


『漆原美空はきっと、村を守るべく動く。ただ、見捨てて逃げるというならそれも良いでしょう。その時はシャムコン王国ごと火の海にするまでなのですから』


 にやりと口元を歪めたリュウに、記者から質問が飛ぶ。


『相手は個人、それも少女です。どうしてそこまでするのですか?』

『その攻撃について、シャムコンとは合意されていますか? 一方的な戦争行為では?』

『多額の税金を投じて他国の脱走兵へ作戦を展開する理由は?』


 大荒れの様相を呈する会見場。

 ただ、声を上げる記者の中にテンシャンのメディアは無い。

 国内の報道機関は完璧にコントロールされているらしい。


 リュウは右手を持ち上げ記者を静かにさせると、不敵に笑って言った。


『漆原美空は人を超える魔法力の持ち主。我々テンシャンにとって、いえ世界にとっての脅威、敵です。だからそれを、排除してやると言っているのですよぉ』

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