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味方を殺した罪で事実上追放された私は、死んだと見せかけて旅に出ることにしました 〜生きているとバレて戻ってくるよう命令されてももう遅いです〜  作者: 横浜あおば
第3章 凋落王政の国

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第34話 返り討ち

 こちらに銃口を向け、引き金に指をかけるリュウ。

 美空みくは右手を前に伸ばし、いつでも魔法を放てる体勢を取っている。


「やったれ」


 マ外相の指示で、リュウが発砲した。

 目にも見えぬ速さで射出された弾丸を、美空は上体を反らして回避。そして、すかさず反撃に転じる。


「魔法目録二条、魔法光線」


 右手から光線が一直線に放たれ、リュウは直撃し吹き飛んだ。

 壁に身体を打ち付け、苦悶の表情を浮かべる。


「くっ、なかなか強いですねぇ……」


 リュウは呟くと、ゆっくりと一歩前に出て再び拳銃を構えた。

 勝ち目など無いのに、まだやる気なのか。

 美空はため息をつき、右手を彼の方へと向ける。


 そんな中、マ外相は高みの見物とでもいった様子で、部屋の端から黙って展開を見守っていた。


「指示だけ出して後は傍観とは、気に入りませんね……」


 美空はちらりとマ外相を見遣りつつ、銃弾をひらりと躱す。

 リュウが諦め悪く立て続けに撃ってきたので、魔法防壁も発動しつつ全てをいなした。


 すると、マ外相がリュウに近づいて口を開いた。


「リュウ、何しとるんや。さっさと片付けんか」

「分かっているのですが、当たらないのですよぉ」

「当たらんのは自分の腕が悪いんやろ? 貸してみい」


 どうやらマ外相が痺れを切らしたらしい。

 リュウから拳銃を強引に奪うと、マ外相はこちらをキッと睨みつけてきた。


「あんた、あんまり大人を怒らせたら良くないで。こう何度も銃声響かせとったら外の人間にバレるやろ。もう諦めや」


 自分の方が優位な立場にあると勘違いしているマ外相。

 銃の扱いなど慣れていないだろうに、なぜ魔法能力者である美空に勝てると思っているのか。

 もはや呆れすら感じつつ、美空は魔法を唱えた。


「魔法目録三十条、重力操作」


 直後、マ外相とリュウが膝から崩れ落ち、床にうつ伏せになった。

 二人は必死に起き上がろうと試みているが、まるで誰かに押さえ込まれているかのように身動きが取れない。


 重力操作魔法とは、名前の通り任意の空間の重力を操作出来る魔法だ。

 今は二人のいる場所を人間が立っていられないほどの重力に変更したので、彼らは相当な息苦しさを感じているはずだ。


「何やこれは……!」

「助けてっ、どうかお助けを〜!」


 苦痛に顔を歪めながら重力に抵抗するマ外相とリュウ。

 しかし、どう足掻こうが無駄だ。美空が魔法を解くまではその苦しみから逃れられることは出来ない。


 美空は二人の顔の前に立つと、腕を組んで彼らを見下ろした。


「私はテンシャンには行きません。諦めて帰ってくださるのなら魔法を解いてあげますが……」


 どうします? と首を傾げると、マ外相が心から叫んだ。


「帰る、帰るわ! だから早く解いてくれや!」


 美空はリュウにも視線を向け、彼らに抵抗の意思が無いことを確認してから重力操作魔法を解いた。

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