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味方を殺した罪で事実上追放された私は、死んだと見せかけて旅に出ることにしました 〜生きているとバレて戻ってくるよう命令されてももう遅いです〜  作者: 横浜あおば
第3章 凋落王政の国

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第29話 高級物件

 王族の権力は流石といったところ、美空みくたちが夕食を終えた頃にはすでに家とお金の用意が整っていた。


 鍵を預かり、地図に書かれた住所へと向かった美空は、そこにそびえ立つ高層マンションを見上げて呟いた。


「いくらなんでも好待遇すぎやしませんか……?」


 タダで住まわせてもらえるだけで十分にありがたいのに、皇国なら家賃百万超えレベルの高級物件を手配してくれるなんて。

 シェンリーとメイフェンもぽかんと口を開けたまま建物を眺めている。


「こんなおっきなお家、私たちが住んでいいの?」

「うん、私も戸惑ってる……」


 テンシャンの都市部は異常に物価が高いので、もし姉妹がずっとランシン市内で暮らしていれば一生の間に手が届くかどうかといった物件だろう。


 中に入ると、まるでホテルのような高級感溢れるロビーが広がっていて、奥には受付嬢が常駐したカウンターがあった。その横を通り抜け、エレベーターで二十八階へ。鍵のタグと同じ部屋番号のプレートを見つけ、その部屋の扉を開ける。


「これは……!」


 室内の光景に、美空は扉に手をかけたまま思わず息を呑んだ。

 お洒落な家具と高性能な家電は全て備え付け、窓からはバンタイの夜景が一望出来る。

 成功者だけが住むことが許される家、そんな印象だ。


「美空お姉さん、ベッドふかふかだよ〜!」

「美空さん大変です。お風呂にテレビが付いています!」


 早速室内へと足を踏み入れたシェンリーとメイフェンは、寝室や浴室などを確認して楽しげな声を上げる。かなり興奮している様子だ。


「良かったですね。シェンリーさん、メイフェンさん」


 美空は二人に対してリビングからそう返答し、ソファに腰掛けた。そして、今後のことについて考えを巡らせる。


 王族の地位回復。そのために必要なのは、国民から信頼を得ること。

 多発する台風や洪水などへの災害対応やテンシャン偏重の経済政策が批判されているのだから、まずはそこから改善するべきか。しかし、それらについて美空には何が出来る。

 こればかりは魔法でどうにか出来るものではない。自分から魔法能力者の肩書きを取ったら、どこにでもいる普通の少女だ。王族がどこの誰かも分からない少女に対して政策のアドバイスを求めたとなれば、それこそ王族の信頼は地に堕ちる。

 結局、美空に出来ることなど何も無かったのではないか。ならば、自分にはこんなタワーマンションに住む資格はない。


「あの、シェンリーさん、メイフェンさん。少しお話が……」


 美空は決断し、姉妹に話をするべく口を開いた。

 だが、それと同時に備え付けの固定電話が鳴り美空の声が掻き消された。


「はい、もしもし」


 受話器を手に取ると、電話の向こうの人物、ティーラシンがこう切り出した。


漆原うるしばら様、至急王宮に来て頂けませんか?』

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